こころの病と食べ物 | 精神科医:みえしん院長

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おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックの臼井卓士ですニコニコ
前回、「ホメオスターシス」(=恒常性)についてお伝えしました(→過去記事 )。これは環境因子の変化にかかわらず身体の状態が一定に保たれるという性質のことでしたね。実際私たちの身体は昨日と今日、先週と今週という短い期間でみれば、一見何の変化もありません。ホメオスターシスは生物が生物である要件のひとつであるほか、健康を定義する重要な要素でもあるのでしたね。
さて、では血圧が上がってきた熱が出てきた手足が腫れてきた脂肪肝になったといった場合はどうでしょうか?一般にはこの状態がを「病気」と呼びますよね。実際には、たとえば、
細菌感染右矢印免疫細胞の抵抗右矢印免疫が押され気味右矢印身体が免疫を動員右矢印発熱
などといった過程で「熱が出てくる」わけですが、ホメオスターシスという観点からは、周囲には常に細菌はいるわけで、免疫は常に細菌と小競り合いをし、自身の安泰を図っているわけです。安泰な状況がホメオスターシスが保てている状態です。そしていつもなら容易に鎮圧できた細菌に押され気味の場合ホメオスターシスが保てなくなっている状態と言えます。また強い打撲で骨がその力に負けてしまった場合は骨折です。これも骨のホメオスターシスが保てなくなった結果と言えましょう。すなわちホメオスターシスが保てなくなることが病気への入り口なのです。
さてメンタルヘルス、こころの問題について考えてみましょう。
身体も今まで元気であったのに、急に風邪をひいたり容易にホメオスターシスが乱れますが、同様に、
「昨日まで晴れ晴れした気分だったのに、職場で嫌なことがあってイライラしている」
「昨夜寝られなかったので今朝はすごくだるい」
などのように「こころ」も身体と同じようにホメオスターシスを保つことは難しいのです。
さてここから栄養とホメオスターシスの話に入っていきます。身体の例から始めます。風邪の場合もそうですが、そもそも栄養状態が良い場合、粘膜が丈夫でウイルスに感染しにくくなりますし、万一ウイルスが侵入してきても早く身体がウイルスを処理してくれます。それに万一風邪をひいてしまっても回復が早いです。骨折の場合もそうです。頑丈で柔軟な骨は容易に骨折しません。万一しても回復は早いのです。反対に高齢で骨粗しょう症が進行している場合など容易に骨折しますし、回復も時間がかかります。
じようにこころの問題(=脳の問題)も脳が活発に動けるような栄養状態ですと、メンタルヘルス不調は起こりにくいですし、万一なっても回復が早いです。分子整合栄養医学による治療では、栄養素を整え脳の機能に関係する脳内神経伝達物質を整えることを目指しています。実は日本ではあまり知られていませんが、アメリカカナダやヨーロッパなどでは何十年も前から分子整合栄養医学によるメンタルヘルス不調の治療が行われているのです。
長くなりますので続きは次回に。

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