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中国の偉い人の大多数は
中国語医学の言語が話せない

だから

通訳は
とても大切

しかし
どの国でも
医学用の言語は
一般人には理解しにくい

トンファンは
日本と中国の
美容整形の言語のわかる
数少ない人材として
重宝されていた

トンファンは
二十年位前
貨物船で日本にやってきた

彼の在籍する医科大学から久留米医大の形成外科に研究生として派遣された

というのは
ビザ申請の為の大義名分

到着して、ほどなく久留米医大から脱走し

ツテをたどって
当時
新興美容整形外科として中国で有名だった、わが高須クリニックに
「廊下でも物置でもいいから、居させて欲しい」とやってきたわけだ

昔のマタタビヤクザは
「軒端三寸」借りるために仁義切ったもんだが

トンファンの仁義は
哀願するだけ

「上海から日本の運賃七千円、久留米から名古屋までの運賃その二倍。お金ない。お腹減った。高須先生、私たすけるよろしい」

わかったわかった

寄宿させてやる
日本の医師免許がないんだから、仕事はしなくていい。邪魔にならないよう、見学させてやる。日中友好のボランティアだ

寝る所を確保しても
食わなければ、困るだろう
秘書の鈴木美由紀は
毎日、トンファンに
二千円の食事代を渡す係り

二ヶ月後、鈴木秘書から報告
「トンファン先生、お金貯めてますよ!もう六万円貯まったそうです」


続く