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ドバイで十年ぶりに
再会した
こいつは
ドクター・ルイス・フエダー

ニューヨークで開業している
カリスマ美容外科医
30年前からの
悪友

カリスマなのはずなのに
彼が
手術してるとこ
誰ひとりみたことがない

もしかしたら
すごく
手術が下手くそか

美容外科手術のトレーニングを
受けていないのかも
しれない

一度も手術したことがなければ
絶対に
失敗したこともないはず

「絶対に失敗しない、伝説の名医」は
うそじゃない

アメリカには
こんな
カリスマ名医が
うじゃうじゃいる

有名で金持ちで何度も奥さんチェンジしてる

化粧品会社を経営してるか、もしくは
化粧品会社のビジネスパートナーである

興味があるのは
化粧品の売上と
会社の株価

手口はみな
よく似ている

彼ら(ドクター○○)は

「ドクター○○の開発した化粧品」なるものの
広告塔だが

ドクター○○は
その化粧品を
自分自身には
決して使わないし

ドクター○○自身
肌が
とても汚い

僕みたいに
きれいな肌の持ち主は
一人もいない

金持ちになると
ヨットに乗って
自分の島に
保養に行くんだもん

フェラーリのオープンカーに乗って
毎日
ゴルフして
プールサイドでシャンパンのんでりゃ

肌は汚くなるぜ

クリニックの手術室から出ない僕にかなうわけない

何で
こんな
くず医者が
カリスマなのかと
いえば

彼自身が
アメリカ資本の先兵だから
なのだ

アメリカのテレビショッピングは
日本より
ずっと
さきを疾走している

30年前
ドクター・ルイス・フエダーに
初めて会ったとき

彼は
アメリカ通販化粧品会社の「ジャパネットタカタ」だった

ごめんね たかたさん
あなたの会社は立派だからね
ケチつけてるんじゃないからね

手口は
彼のほうが
先輩だからね
いわば
アメネットフエダーだよ

当時
彼は
「化粧品業界のビリー・グラハム」

呼ばれてた

ビリー・グラハムは有名なカリスマ伝道師で
彼の説教聞いたら
みな
悔い改めて
教会に多額の寄附をせずには
いられなくなる

ドクター・フェダーの
通販番組は
タカタさんより
グラハム師に近い

スタジオに集めた聴衆にドクター・フェダーは
語りかける

「いままであなたが使ってきた化粧品はとても肌に悪い。科学的なドクター・フェダーの化粧品に変えれば、赤ちゃんの肌に戻ることができる」

聴衆は陶酔して
ドクター・フェダーに帰依し
彼の薦める化粧品を購入する
聴衆の熱狂が生中継され
テレビの視聴者も
化粧品を
注文する

ネット通販のなかった時代

カリスマ美容外科医のテレビショッピングは
莫大な利益をあげてた

世界中に美容外科クリニックチェーンをつくろうとしてた
僕を
同じ匂いのする仲間だと
誤解して
近寄ってきた
ドクター・フェダー

「アジアに化粧品のマルチシステムを作ろう」と持ち掛けてきた

なめるなよ

僕が
ネズミ講の一味になるような
下品な
日本人に見えるのかね


商談決裂


続く