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本来
美容整形は「若く、美しくなって幸せになる」欲望を満足させるために
民間から
自然発生した
贅沢医学です

正式な標榜科目として
「美容外科」と
呼ばれるようになってから
「美容外科は形成外科の一分野だ」と歴史をねじまげる輩がいますが

これは大間違いです

形成外科は第一次世界大戦のあと
戦争で容貌を破壊された兵士を社会復帰させるための医学として
発達しました

古代インドで刑罰として「鼻そぎの刑」をうけた罪人の鼻を修復した
という
伝承もありますが

いずれにせよ
「普通に復元する」のが目的の医学です


社会復帰を目的としたリハビリセンターは形成外科と目的が同じです

一方

若く美しくなるためのスポーツジムは美容外科と目的が同じなのです

よく似た施設ですが
施設に来る人の目的は全く違います

「美容形成外科」と名乗っているクリニックがありますが
これは

「肛門婦人科」とか「眼耳鼻科」という類いの
造語です

「整形外科」も もちろん全く違う科目です

ちなみに
整形外科は骨折や関節の損傷など「骨・筋肉治療」の科です

何故
美容外科と形成外科という
違う科目を併記しているクリニックが多いのでしょう

それは
最近まで
大学の医学部で美容外科を教える教授が皆無だったからです

形成外科は美容外科手術の失敗を修復する技術を持っていますので

大学の形成外科では失敗した美容外科の患者が
やってきます

誰が失敗したのか
追跡したら
美容外科クリニックでアルバイトしていた、大学の形成外科医が犯人
というケースが
実に多いのです

大学の形成外科医が美容外科の開業医のもとで
技術を身につけ
美容外科医に変身するのが
普通のコースです

現在
国家財政が逼迫してしまい
国立大学は独立行政法人になり、国の援助なしで、自分で稼がなくてはならなくなりました。

「美容外科?あんなもの医者のやることじゃないよ」と賎業扱いしていた国立大学病院にも

背に腹は変えられず
美容外科治療が始まりました

私立大学でも、かなり前から財政改善のために
美容外科診療を行っています

僕の母校
昭和大学の形成外科を創設した鬼塚教授は
東大から
植民地である昭和大学に
整形外科に移籍して来られたかたです
僕が
整形外科の大学院にいたとき形成外科の手ほどきをしてくださいました

先生は
かねがね
「美容整形する医者はくずだよ」と
軽蔑しておられました

形成外科のセンスは抜群で
世界のトップクラスの技術の持ち主でした

この大先生を
金の力で
高須クリニックのアルバイトに
引っ張っちゃった

高須クリニックの
形成外科部門を
グレードアップさせるためだよ

大先生
毎回
自分の医局員をお供に連れてくる

「門前の小僧」って
知ってるかい?

大先生を含めて
医局員たちの美容整形センス
めきめき上達

美容外科の技術を身につけた医局員
次々
大学勤務やめて
美容外科クリニック開業
有能な人材
流出

「次の形成外科の教授の本命」
と目されていた
助教授も
さっさと医局辞めて
美容外科クリニック開業

このクリニックが
おおはやり 大盛況
これを見て
一足飛びに高須クリニックに就職を希望する医局員が続出

屈指の腋臭手術の名人になり
クリニックの院長としても成功をおさめた
五味先生は
医局から
いきなり高須クリニックに移籍すると
他の医局員が追随するのを
心配し
わざわざ
僕の仲良しのいる
トルコのアンカラ大学に
一年間留学して
ほとぼりをさまして
就職してきた

ほどなく
この悪事は
ばれてしまい

「高須克弥は昭和大学形成外科を私物化してる」と悲憤慷慨する立派な
医師もでてきた

教授が代替わりして
闇で医局を私物化してたということで
「医局の癌」の僕は排除
「脱税医者」なんだから 誰もかばってくれない

当代の
保坂教授は
「高須クリニックで働いたら破門だぞ」って
言ってるそうだ

保坂教授だって医局員だった時
高須クリニックでアルバイトしてたのに
勝手なもんだ

保坂教授の考えは理解できる
情報を制限しなければ
支配力が低下してしまう

北朝鮮や中国がメディアに神経質なのは
馬鹿な民を支配するのに
邪魔だからだ

僕も
同じ考えだ

高須クリニックに就職した若い医者に
全ての技術を伝授したりはしない

「君はワキガ」「君はホウケイ」「君はハゲ」
一つの技術を教えて
専門家を育てる

十年同じ仕事させときゃ
匠の技が身につくはず

十年も高須クリニックで働いてくれたら
高須グループのファミリーとして
独立をゆるす

専門家は経営者としてのライバルには
育たないから
安心なんだ

現に
前出の五味先生のように
ホウケイやハゲや脂肪吸引で専門家として成功した
高須クリニック卒業生は多い

帝国維持には分割統治しかない

僕が
医業停止になったら
帝国の求心力が失われる

ボスが帰って来るまで
組織を維持するには
残された
組織構成員の
忠誠心が
何より重要

自分の育てた医者の忠誠は
正直
心配していなかった

独立開業には
そこそこの資金が要るし

一人一人は
みんなエキスパートだが

みんな専門家ばかりだ

タイヤやハンドルの職人だけでは
自動車メーカーを作れないからね

想定外の展開だった

副院長が切り出した
「先生、長い間お世話になりました。多くのことを教えて下さりありがとうございました。ご恩は生涯忘れません」

「君、辞めたいのかね。開業は大変だよ」

「ご心配下さってありがとうございます。その点は楽観しております」

聞けば
金を出してくれるスポンサーもいるし
彼と一緒に辞める医者が四人もいる

看護婦から事務員まで
めぼしいスタッフを
ごっそり
引き抜くつもりだ

みんなで力を合わせて
高須クリニックに負けない立派なクリニックチェーンを作りたいんだと

僕にやさしかった、三越の岡田社長の叫びが
出そうになった

「なぜだー!!!!」


また
あした