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バブルの真っ最中は
面白いくらい
不動産と株式の価格が増大し
富が増殖する

いまのドバイにそっくり

倍々ゲームなんだもん

むちゃくちゃに気が大きくなる

莫大な資金があれば
不可能も可能になる

僕が率いる「高須レーシングチーム」は
ルマンで善戦した
ルマンのレース場はハブル紳士の社交場だった

このとき
優勝したのは
レナウンがバックアップした
マツダのチーム
だったが

レース場での一番人気は高須レーシングチームだった
ルマンでは
レースの記録の本が毎年出版されるのだが
この年のグラビアは高須レーシングチームの車が一番大きく写ってた

「レーシング界の彗星・タカスグループ」は
花形だったよ

タカスグループは
ほどなく
F2カテゴリーのマカオグランプリで優勝
栄光の高須レーシングチームの車は
今も
マカオレーシング博物館に飾られている

ドライバーのリカルド・リデロはミハエル・シューマッハに続いて
F1カテゴリーに移籍
タカスグループもF1カテゴリーに参戦計画

夢はカーレースの二階級制覇

クリニックも札幌、仙台、横浜、東京、名古屋、大阪、広島、福岡と
拠点が増え
マニラ、香港の提携クリニックも大はやり

ハワイ高須クリニックでも大成功

ハワイでアメリカの美容外科クリニックの経営のノウハウがわかったので

次はアメリカ本土攻略を計画

事務長のヘンリー・フォックスは
芸能プロダクションの経営プロジェクト提案

連れてきたのが
俳優兼歌手のこの男

名前は
ウェイン・ニュートン

まるでプレスリーのコピー
「彼にまかせれば、ハリウッド制覇も夢じゃない」

夢は果てしなく広がり

僕の野望も巨大化する

僕の野望を阻んだのは
日銀の「平成の鬼平」と呼ばれた
馬鹿総裁

不動産事業に貸し出しを制限する「総量規制」を始めやがった

日本のバブル経済ってのは
「信用増大による土地本位制」

金本位制でも米本位制でも
いいんだ

信用の基盤をどこにおくかだけの違いだ

今の世界は「原油本位制」か「アメリカ政治力本位制」

日本の土地が信用の基盤なら
土地が値上がりすれば
それを担保に
いくらでも資金が集められるんだ

集めた金で土地を買えば
信用はますます増大して
更に資金が集まる

「日本の土地は絶対値下がりしない」なら
いくらでも
金は集まる

「総量規制」は 金が集まるルートを閉鎖してしまった

金がなければ
土地が買えない

売れない土地は値下がりし
信用は収縮する

限りない成長モデルは
限りない収縮モデルに変貌

これが 有名な
バブルの崩壊

僕の友人のバブル紳士の
恐竜たちは
みんな絶滅してしまった

僕も
絶滅寸前まで追い込まれた

しかし

瀬戸際で踏み止まった

美容外科医は
基本的に
肉体労働者
「稼ぐに追い付く貧乏なし」
♪月月火水木金金♪
♪二十四時間はたらけますよ~♪
利子さえ払えりゃ
損失なし

働けど働けど我が暮らし楽にならず

なんて
泣きごと言わず
実に
よく働いたな

結局

バブル崩壊にもかかわらず
クリニックの経営は
びくともしなかった


しかし

さらなる不幸が襲い掛かる

かっちゃんとジョンソンの地獄はまだ始まっていない

序曲は
明日から始める

おやすみ