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ミケランジェロは
職人かたぎの芸術家で
芸術家のタニマチを大切にしないことで有名だった
大パトロンの
ローマ法王だって
ミケランジェロの作品にはクレームをつけさせなかった

ミケランジェロの好みは
筋肉隆々のマッチョの青年

彼の手にかかると
少年のダビデも
最後の審判のイエスキリストも
K-1の選手みたいに改造された

たぶん
彼は
現代アメリカの一部の男たちに
もてはやされている
マッチョな体形に美を見いだす
マニアックな
人だったのだろう

「芸術家はパトロンに奉仕すべきだ」と考える僕は
タニマチの下僕を演じていた
ラファエロとレンブラントが好み
人間
脂肪のつきかたで
美しさが決定されると信じている僕は
がりがりと
むきむきは
好きじゃない

赤身の牛肉より霜降り
赤身のマグロよりトロのほうが
美味いんだい

八月三十一日に
僕の体使って実験する
体形整形マシーン「ミケランジェロくん」は
開発者の言によれば
「全く新しいコンセプトの美容整形ができる」そうだ

「ミケランジェロくん」は
特殊なメカニズムとコンセプトを持つ脂肪吸引機

脂肪吸引の技術と機具はは約三十年前
僕の恩師で
パリで開業している
ピェール・フルニエ先生が発明した

僕は
フルニエ先生の一番弟子で
脂肪吸引の技術を日本に伝え
マスコミを使って
普及させた

古い体質の
日本の医学界は
脂肪吸引について懐疑的で
「インチキではないか」とか「脂肪は再生するから吸引はムダだ」とか
ずいぶんケチをつけられた

あれから三十年
ケチをつけたやつらは
医学界の権威づらして
脂肪吸引を行い、学会でコメントしている

フルニエ先生も脂肪吸引の開発初期には
フランスの医学界で同様な目にあったそうだが
今では
「脂肪吸引の父」として
名誉が復権している

フルニエ先生のコンセプトは
「脂肪が醜くついているのだから、出来るだけ徹底的に脂肪を吸引する」だった

ミケランジェロ君を開発したドクターのコンセプトは
「脂肪を取りすぎると肉体は醜くなる。脂肪を美しく彫刻して、美しい肉体を掘り出す」

フルニエ先生の脂肪吸引(ライポサクション)に対して
脂肪彫刻(ライポスカルプチャー)と呼ばれてる

さっき
ミケランジェロ君の代理店からメールが来た

昨日は、ミケランジェロ君の送金を早々にご手配いただきありがとうございました。

目下、ミケランジェロ君、スペシャルキット、Dr.&ナースの輸入準備に奔走しております。
先生方のホテルは土曜の夜からマリオットで2泊とりました。
セールスマン サンディ・アーガスも(もちろん自腹で)随行してまいります。
本日は、院長脂肪サヨナラパーティ&中瀬編集長の出世祝いパーティですね。
南の島へ出奔中の画伯のかわりにお供物をお届けにまいりましょうか?

おくもつは
白米

画伯に
送っときなさい