ヘンリー・フォックス
二十年前まであった、ハワイ・高須クリニックの事務長
「映画の二十世紀フォックス社の創業者の親戚でアメリカの政界財界にコネクションがある」とほらふいて
売り込んできた
食わせ者
僕は
食わせ者大好き病
意気投合して
ハワイ高須クリニック設立
アメリカでは
クリニックを会社組織にできるんだ
ここを拠点にして
アメリカ本土に
美容整形クリニックチェーンを
焼肉のベニハナみたいに展開する目論み
計画は順調に推移
当時日本はバブル経済の真っ最中
「東京都の土地の地価の総額でアメリカ本土が買える」くらい
みんな金持ち気分
銀行は担保なしでじゃぶじゃぶ金貸すんだもん
日本中に
金があふれてた
美容外科業界は経済繁栄と連動する業界
売れっ子の僕は
大繁盛
繁盛してる業界は
税務署のハイエナさんの
餌さ場
ターゲットの日本の高須クリニックに
国税局の渾身の調査と取り立て
経済活動縮小
ハワイ高須クリニック経営はヘンリーにまかせてた
ヘンリーから連絡
前立腺癌が進行して末期だって
「最高級の治療受けたい。ハワイ高須クリニックの金流用していいか？」
シャバに未練ありすぎのヘンリー必死
♪なんで 見捨てておかりょうか♪
もちろん許可
薬石効無くヘンリー天国へ
菩提を弔うため
ホノルルのアラワイにあるヘンリーの家に行った
「ヘンリーのお墓はどこ？」と僕
「ヘンリーの墓はあそこ」と奥さん
案内されたのは
テニスコート
若いピチピチした娘たちがテニスしてる
「ヘンリーの遺言でね」と奥さん
「火葬して、遺灰をコンクリートに混ぜて、若い娘のくるテニスコートにしてくれ」って
遺言したんだって
変態ヘンリーめ
若い娘に全身踏まれて
さぞや満足だろう
ハワイ高須クリニックの銀行口座
からっぽになってた
ひどいやつだ
おいこら！
ヘンリー
天国に口座移しちゃいかんよ
取り戻しに行くから
首を洗って
待ってろ