いつも食べ物やお酒のことばかり書いてますが、今日は本業の話。
あるとき、左の耳に黒っぽいできものができたと言って受診された患者さんがいました。
茶褐色のブツブツしたできものがあり、周囲にもかるく盛り上がった色調の変化があります。
ダーマスコープで詳細に観察したところ、悪性を疑わせる像は無く、脂漏性角化症と診断。
耳介は皮膚の可動性が無く、大きなものの切除が難しところであることと、脂漏性角化症の場合は表皮レベルに腫瘤がとどまる事が多い為、炭酸ガスレーザーによる蒸散治療を選択しました。
局所麻酔をして、炭酸ガスレーザーで腫瘤を表の方から削っていくようなイメージです。
一か月後には少し赤みは残るものの、隆起や色調の変化は改善されました。
これが切除だったら、けっこう大変なことになっていたと思います。
やはり、美容治療でも、確実な診断と適切な治療法の選択は大事ですね。
炭酸ガスレーザー照射
施術の内容
1. ホクロや厚みのあるしみ(脂漏性角化症)、アクロコルドンや稗粒腫、イボ(尋常性疣贅)などの腫瘤に水に吸収される波長のレーザーを照射し、組織を蒸散させて除去し、上皮化や収縮で皮膚を再生させる治療です。
2. 麻酔は注射による浸潤麻酔を行います。
3. レーザー照射部はすりむき傷や掘れた潰瘍となりますので、軟膏を塗ったりハイドロコロイドを貼ったりして、皮膚の再生を促します。
4. 上皮化が完了した後も、しばらく赤みが持続します。
治療できない方
・ケロイド体質の方
・局所に感染のある方
・悪性腫瘍、免疫不全の患者さん
施術後の注意事項
1. レーザー照射部位は強くこすったり、刺激したりしないでください。不潔にしたり、すぐに化粧をしないでください。
2. レーザー照射部位がピンク色の間は紫外線を当てないでください。
3. 体質や部位により、肥厚性瘢痕になることがあります。医師の指示に従ってください。
4. 母斑やイボなどでは再発をすることがあります。医師の指示に従ってください。
起こりうる合併症
・陥没変形
・色素沈着、色素脱失
・感染
・再発
・肥厚性瘢痕