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官邸では突如起こった異常事態の対応に追われていた。
当初は関西以西の発電所トラブルと考えられていたが、 ゆきかぜと同様、次々と入ってくる外電が韓国や中国、
「利倉さん、やはりゆきかぜからの問い合わせ通りですね。 日本から順に西へ発電機のトラブルが発生しています」 が高いな、果たして只の事故かそれとも何者かの破壊工作か」 利倉の表情は苦痛に歪んでいた。
今までは日本や米軍自体を狙った地域的なテロで止まっていた ものが発電システム本体に介入したとなると、防衛手段を取ろう にも自分達には手が出せなくなる。
「ゆきかぜの方は大丈夫ですか?」 攻撃等も無いようです」 発電機の方は一般家庭で電力会社と併用しているところが 殆どですから危急の事態にはならないでしょう。
東日本では流言蜚語による犯罪に備えて下さい、西日本が ノーザンに襲われているなどというデマが電話回線を麻痺させる かも知れません。NTTには事前連絡を」
「分かりました。既に警視庁、消防庁、関東電力、NTT東日本等 には緊急対応を指示してあります、総理が官房長官時代に準備 されたマニュアルが毎年更新されて立派に今でも生きています。 関東一帯は大地震が来ても48時間以内に機能を回復出来ます 方は?」 官房長官がいち早く動かれましたね」
「そうですか、総理はこれから緊急閣議です。場合によっては 次の米軍とのハワイ演習も中止かも知れませんね、影響が 出るとすれば今日中にアメリカ本土の米軍にも問題が発生する はずですから、今後の演習等は全てリセットされる可能性が 高いですね」
「利倉さん、今回の異変はその為の陽動でしょうか?」 衛星に手を出すというのはホワイトハウスへのデモンストレーション ですよ。世界を握ったと思っているアメリカ首脳部への」
「大統領からは何か?」 次に一番危ないのが、」 ただ、その場合犯人は自分の顔が世界に知れ渡るリスクも背負う 事になる、敵にそこまでの覚悟があるのかは安倍にも定かでは なかった。
「何ですって?国産ロケットで確かめろという事ですか…まあ、 総理らしいですね(笑)」 利倉はそのまま部屋を出て行った。
安倍は少し呆れながらも自然に笑顔が沸いてきた。 特にイラク、エジプト、ドイツ、フランス等これから影響が予想 されるところにだ」
「やはりアメリカの出方かな、総理じゃないがOB大統領が原因 究明にどこまで動くかだな」 安倍は直接宇宙へのアプローチが出来ない日本の立場に苛立ち を感じていた。その意味では五島総理のせっかちさも理解出来ない ではなかった。
「そうか、アメリカとの繋がりと言えば」 今の内に確かめておこうと動き出した。 報告の資料を持ってくるようにと伝えろ」
15分後、官邸地下の災害対策室には利倉と安倍、来栖開発官 と統合幕僚長の大蔵が顔を揃えた。 のですが、ちょうど大統領からホットラインが入ってそれどころ ではなくなりました」
「えっ、大統領から?」 演習は行うという方針を伝えてきたようですね」 という判断でしょうか、どちらのトップも言い出したら聞きません からね」 安倍と利倉は顔を見合わせた。
「よし、では来栖君、報告を始めてくれるか」 なった。来栖は演壇の上に一つの箱を置いた。
「では、安倍情報官よりお預かりしておりました実験体について 技術研究本部の分析結果がまとまりましたので報告させて頂きます」 そう言うと来栖は箱を開け二つの物体を取り出した。 利倉が思わず声を上げた。
そこに現れた物体の異様な姿は、利倉の脳裏に深く刻まれている ものだった。
つづく |