「艦長、後方より米艦隊接近」

菊川がレーダーから顔を上げた。

 

「佐世保からだな、そのままやり過ごせ」
「了解、」

 

米艦隊は停泊中のゆきかぜを追い越し、ウラジオ港の

入り口に布陣した。
「おお、艦長、米艦隊がウラジオ港の封鎖にかかっています」
「どうするつもりだ…」

 

「あっ!艦長、SPY-1レーダー停止、またあの現象です!」

菊川が叫んだ。
「艦長、通信途絶しました。どのチャンネルも不通です」

小林も梅田を振り返った。

 

「真喜志1尉、何か感じるか?」
「強い思念です、上空から放射されています」
「思念か…1尉、敵の正体が分かるか?」
「分かりません、強い悪意を持つものとしか。

像が浮かんできません」

 

「艦長、敵の能力者でしょうか?」
「恐らくな。なっちゃん、港の様子が分かるかい?」
「はい、」

なっちがスクリーンを見つめるとウラジオ港を見下ろす

映像が映し出された。

「おお!ウラジオの港内だ、軍艦が集結してる。あっ!」

小林が驚いて立ち上がった瞬間、港の軍艦から火柱が上がった。

 

「ミサイルだ!艦長、港が爆撃されてます」
「何処から撃ったんだ?まさか、米軍か?」

菊川もスクリーンを凝視した。
「なっちゃん、アメリカの艦隊を映してくれ」
「はい艦長」

 

スクリーンにはウラジオ港の入り口を固める米艦隊が現れた。
「砲撃もしてないな、あー!艦長、米艦にもミサイルです。

対艦ミサイルが撃ち込まれてます!」

菊川が叫んだ。

 

「反撃出来ないのか?艦長、米艦もシステムダウンのようです」
「全艦、対空、対潜警戒を厳にせよ」
「了解、全艦、対空、対潜警戒を厳にせよ」

 

「艦長、本艦にもミサイルです!」

真喜志1尉が叫んだ。

 

「1尉、迎撃を頼む」
梅田の言葉に美弥子ときみが同時に反応した。
「なっち、画面引いて!」
「はい!」

 

画面にはゆきかぜをめがけて飛んでくる10発のミサイル

が捉えられた。
「艦長、対空ミサイルを!」
「分かった、スタンダードミサイル射出せよ」
「了解、スタンダードミサイル射出!」

菊川の号令で10発の迎撃ミサイルが射出された。

 

「きみさん!」
「はい!」

二人が同時に目をつむると迎撃ミサイルが敵ミサイルを

捉え、次々に撃破していった!

 

「やったー!」

CICには歓声がこだました。オペレーター達は立ち上がり

画面に向かってガッツポーズを繰り返した。

「第2弾ミサイル10発、来ます!」

美弥子の叫びに菊川が反応した。
「了解、スタンダードミサイル射出!」

 

遂に戦端が開かれた。

 

ゆきかぜは正体不明の敵の攻撃に対抗して、その只中に

突入していった。

 

                                 つづく

第十三章 「要請」 EPS:73 海中との死闘