「きみさん、真喜志1尉。米軍との共同作戦の為に

アラスカの米軍エルメンドルフ空軍基地へ飛んでくれ」

 

「艦長!それはどういう事でしょうか?」

そう尋ねる小林は明らかに動揺していた。

 

「今、五島総理より直接の説明があった。ロシアでは

軍の反乱によりモスクワが制圧されている。また米軍内部

でも反乱勢力が行動を起こし、宇宙ステーションに調査に

向かったスペースシャトルが爆破された。

 

シャトルには米軍の能力者部隊が搭乗していた、反乱勢力

には敵の能力者部隊が深く関与していると推測される」

 

「シャトルが…しかし艦長、何故二人が?」
「米軍の能力者部隊も限りがあるという事だ、或いはその中

から相当数が反乱勢力に加わっているのかも知れん。

同盟国としてOB大統領より日本政府に正式な協力要請があったんだ」

 

「分かりました艦長、すぐアラスカに向かいます」

美弥子が進み出た。
「真喜志1尉、行ってくれるか」

 

「ちょっと待って下さい艦長。今、この二人を行かせて何が

出来るというのです、米軍との連携も何も出来ていない状況

で敵と戦えるとは思えません」

 

「副長、アメリカ側の要請は能力者2名だ」
「能力者2名?…」

 

「じゃあ私が行く」

なっちが手を挙げた。
「なっち!黙ってなさい」

ナッキーが怒鳴ったが、なっちは引き下がらなかった。

 

「死にに行けって言うんでしょ、だったら私で十分。ママや

美弥子さんはゆきかぜに必要だわ。私に行かせて下さい」
「なっちゃん、二人は死にに行くんじゃないんだよ」

梅田は諭すように話しかけたがなっちの目には怒りの炎が

燃えていた。

 

「ウソついても分かってるわ、宇宙に行って敵のエスパーと

戦えって言うんでしょ。もうママ達は帰って来れないんでしょ」
「いや、宇宙に行くかどうかはまだ分からない。米軍の部隊

で一緒に戦うという事だ」

「それなら私達を指名したりしないわ!私には分かる、行ったら

ママも美弥子さんも助からない。艦長、私を行かせて!」
なっちは梅田に詰め寄った、

 

その時、なっちの前にきみが立ちはだかった。

 

「あっ!」

 

きみがなっちを平手打ちした!なっちはその場に倒れ込んだ。

 

「ママ!」

ナッキーがなっちに駆け寄った。

 

「なっち、わがまま言うのもいい加減にしなさい!あんたが

行って殺されればゆきかぜが、日本が救われるって言うの?

あんたはここに残ってゆきかぜを守るの、人には果たすべき

役割があるのよ」

 

「ママ…」

なっちは顔を覆って泣き崩れた。

 

小林が進み出た。
「艦長、それにしても二人は何の養成も受けていません。

実際、これで戦力になるとは…」

 

「私達なら大丈夫です」

美弥子が言い切った。
「真喜志1尉、君は経験があるかも知れないが」

 

「小林2佐、きみさんは自分などより遥かに高い能力を持っています。

本当に戦力になるのは、きみさんの方です」

 

「何だって?」

小林は当惑してきみを見た。

                                      つづく