翌日、二人はチームのメンバーと共に基地内の

空軍エリアへやって来た。

 

「ジョディ、空軍のエリアからシャトルが出るの?」
「えっ、この奥よ」

メンバーはそこから空港トラックに乗り込んだ。

 

「ウワー、表に出たの久しぶりー!」

マリンとカリンは朝日を浴びて喜んでいる。しかし、トラック
は直ぐに前方の山に掘られたトンネルの中に入っていった。

 

「ねえジョディ、ここってもしかして」
「うん、ミヤコの想像は当たってると思うわ、ここはもう

核シェルターの中よ」
「えっ、核シェルター?」

きみがジョディの顔を見た。

 

「米軍の施設では珍しくないわ。もっとも、ここはまだ秘密

なんだけどね」
「秘密?」

 

「さあ、もうすぐ着くわよ」

ジョディが言い終わらない内にトラックは大きな空洞に出た。
「ここは?…」

美弥子が驚いて見上げているとトラックが停止した。

 

「さあ、着いたわよ、みんな降りた降りた」

メンバーは1列になって空洞の奥の巨大な鋼鉄の門を潜った。

 

「あっ!…」

 

目の前に現れた光景に、きみは思わず息を呑んだ。何と空洞

の奥には数十メートルはあろうかと思われるスペースシャトル

が立ち上がって発進体制に入っていた。

 

「あのシャトルは?」

美弥子が尋ねた。
「大統領専用の緊急脱出用シャトルよ」
「なるほど、シェルター兼用のシャトル発射場か。いざとなったら

ここから逃げるつもりだったのね」

 

「うん、人も物も底を突いてから政権を渡されたOB大統領は

もう打てる手が無いのよ、ここに眠ってた最後のシャトルで

私達を宇宙(そら)へ上げようっていう訳。

あの大統領は本気よ、前の連中とは全然違うわ」

 

そうか、失敗は許されないわね、もう後が無い」

美弥子の言葉にジョディは無言でうなずいた。

 

シャトルの前ではシャ-プ大尉とファイン少尉が待っていた。

全員が整列して二人に敬礼した。

 

「休め!」

ファイン少尉の号令でチームは敬礼を解いた。

「ご苦労、諸君はこれから発電衛星調査の特殊任務に

向かってもらう。これは一切の発表を行っていない極秘作戦だ。

現在、発電衛星の一基が機能を停止している、破壊されたのか

占拠されたのかは不明だ。諸君はその原因を調査し、衛星が

無事なら機能を回復してくれ。

 

一基のみで世界の電力を支えるのは限界がある、この任務は

是非とも遂行してもらいたい」

 

「真喜志1尉、返答を」

ファイン少尉が美弥子を促した。美弥子は列を一歩進み出た。

「えー、昨日の今日で状況の把握も不十分ですが、チームの

協力を得て、任務の遂行に自分達の微力を尽くします」
「敬礼!」

ファイン少尉の号令で全員が敬礼した。少尉と大尉は管制室に

向かって行った。

 

「よっしゃ!じゃあみんな行こうか!」

ジョディの号令でチームは一気に元気付いた。
「OK!」

チームはそのまま発射台のエレベータに乗り込み、シャトルの

搭乗口へと上がっていった。

 

 

シャトルに乗り込むとジョディ達は手馴れた様子で発進準備に

掛かった。
「へー、みんな慣れてるのね。美弥子さん、シャトルの発進って

そんなに簡単に出来るの?」
「もう初めて飛んだ頃から何十年も経ってますからね、この子

は訓練してますから飛行機を飛ばすくらいの手軽さですよ。

でも発進時には相当の重力が掛かりますから注意して下さいね」

 

きみは、何日も秒読みを続けるイメージを持っていた発進が

案外簡単に進められるのを見て少し拍子抜けした気分だった。

コックピットにはジョディとマイクが乗り込んでいた、やがて船内

にブザーが響き、発進可能のシグナルが点灯した。

 

「きみさん、発進します」
「分かりました」

美弥子の声にきみは両肩を支えるシートベルトを再確認した。

やがて、機体全体に鈍い振動が伝わり轟音と共にシャトルは

上昇を始めた。

 

きみは後方に押さえつけられる重力に耐えながら体を踏ん張って

いた。大きく口を開けた山の偽装火口から一機のシャトルが宇宙

へ飛び立っていった。

 

 

本来なら、合衆国に核戦争の脅威が迫った時大統領を宇宙に

脱出させる為の北米最後の機体であった。

 

 

 

20分後、機体は地球周回軌道に達した。
きみは頭の中に違和感を覚えて前屈みになっていた。

 

「うーん、もう酔ったみたい。やっぱりダメだわ」
「きみさん、能力を使って下さい、もう構わないですよ」

美弥子の言葉にきみは精神を集中させた、するとウソのように

気分が楽になった。

 

「ああ本当!美弥子さんありがとう」
「いいえ、初めての無重力だから無理もないですよ。普通の

人なら、とてもこうはいかないです」
「さて、次はアメリカのステーションですね。果たして無事で

いてくれるかどうか…」

「ウワー!ミヤコ、アメリカが見えるよ!」

 

双子の姉妹は窓の外を指差して無邪気にはしゃいでいた。

美弥子は座席のマイクを取り上げてコックピットのジョディを

呼んだ。

「ジョディ、このままステーションに行く?」
「そうね、取りあえず様子を見に行こうか」

 

シャトルは機体を少し加速させてステーションに向かった。

 

 

20分程飛行すると、前方にアメリカの宇宙ステーションが

見えてきた。

                                  つづく