「こちら、合衆国エルメンドルフ空軍基地ノーラッド所属

のシャトルです。ドッキングの許可を申請します」

 

「こちらステーション、識別信号クリア。ノーラッドのシャトル

ドッキングを許可する」

ステーションからはドッキングポートが伸びてきた。

 

美弥子の座席のランプが点灯した。
「はい、ミヤコ」
「ジョディよ、ステーションに移乗するわ。ミヤコ、一緒に来て」
「了解。きみさん、ジョディとステーションに行って来ます」
「分かりました、気を付けてね」

 

二人はドッキングポートを通ってステーションに乗り移っていった。

ステーションの内部は大型バス程度の広さだったがそこに5名の

スタッフが作業をしていた。

 

「ノーラッドのスミス少尉です、こちらは日本の自衛隊から派遣

された真喜志1尉です」
「責任者のヘンダーソン大尉です。よろしくスミス少尉、真喜志1尉」
「よろしくお願いします」

三人は握手を交わした。

 

「日本人と言えば、黒井博士」
「はい、」

ヘンダーソンに呼ばれた技師が近づいてきた。
「博士も日本人なんですよ」
「黒井です、よろしく」

 

「黒井博士?…」
「ミヤコどうしたの?」
「博士、失礼ですがファーストネームは何と仰いますか?」
「はい、黒井新(しん)ですが…」

 

「黒井新…博士。あなた、もしかしてひなさんの…」
「えっ!あなたはひなをご存知なんですか?」
「はい、日本で一緒に働いていました」
「本当ですか!ひなが…」

博士は一点を見つめて動かなくなった。

 

「博士、どうされました?」

ヘンダーソンが博士を覗き込んだ。
「ひなは、娘は今どうしていますか?」
「はい、自衛隊の護衛艦に乗り込んで働いています」
「ひなが軍艦に?」

 

「博士はひなさんに能力がある事をご存知ですか?」
「はいそれは、あの子の母親も能力者ですから。そうですか

あの子もそれで自衛隊に…」

 

「ねえミヤコ、どういう事?」
「あっ、ジョディ。この人はキミの義理の妹のお父さんなの。

11年前に生き別れになってたのよ」
「えー、そうだったの?」
「うん、妹のヒナはずっと探してたのよ。良い?キミに思念を送るわ」

ジョディはうなずいた。

 

シャトルのきみは美弥子の思念を受け、驚いて顔を上げた。

 

「えっ!本当ですか?」

 

「キミ!どうしたの?」

双子が驚いてきみを見た。
「はい、そう!分かりました。良かったー!美弥子さん、お母さんの

事を聞いて下さい」


突然しゃべり出したきみを見て双子は大声を上げた。
「ウワー!キミがだれかとしゃべってるー!」
「おい、静かにしろ!キミはテレパシーを使ってるんだよ」

後ろからピーターが双子をたしなめた。

 

「テレパシー?うん!」

双子は互いの頭をくっ付けて思念を送り合った。

「ウワー!通じたー!」

 

「あのなー、その距離ならしゃべった方が早いだろ…」

ピーターは双子のいつもながらの天然ぶりに呆れて呟いた。

 

「キミ、テレパシーならしゃべらなくても通じるよ」
「えっ?あっそうね、ありがとうピーター(笑)」

きみは照れ笑いしながら無言になった。

 

きみの思念を受けて美弥子は博士に尋ねた。
「博士、奥さんは今どちらに?」
「はい、発電衛星のE560で施設管理をしているのですが、

1週間前から通信が途絶えているのです」

 

「何ですって!E560は確認されているのですか?」
「衛星自体は確認されていますが発電はストップしていますね」

ヘンダーソンがモニターを見ながら説明した。

「これが2基の発電衛星E560とE561、それから20基の中継衛星

の配置図です」

 

モニターには地球と月を結ぶ線と直交する線の両端のラグランジュ

ポイントに2基の発電衛星が配置され、地球を周回する静止軌道上

に20基の中継衛星が浮かんでいる構図が現れた。

 

「現状ではこちらのE560が機能停止状態で、インド上空のE572

が先日ミサイル攻撃を受けて破壊された事が判明しています」
「犯人はやはりロシアの衛星ですか?」
「いえ、使われたのは旧ソ連時代のキラー衛星のようです。

敵の能力者が旧システムを起動させたようですね」

 

「敵のエスパーが!」

ジョディの表情も一変した。

「大尉、そいつらがシャトルを?」
「そうですね、不意を突かれたようです。我々も敵の位置は

分かりませんでした」

 

「クソー、敵は何処にいるんですか?」
「恐らくE560を占拠しているのではないかと思われますが」
「じゃあ、中の技師達は!」

美弥子は顔を強張らせた。
「すぐに殺される事もないでしょう、そのつもりなら初めから

E560を破壊するでしょうから」

 

「ジョディ、E560に行こう!」

 

「そうだね。大尉、まだキラー衛星は残っていますか?」
「相当数があると思います、普通ならもう使い物にならない

はずなのですが」
「よし、行こうミヤコ!」
「うん!」

二人は意を決してうなずいた。

 

 

シャトルに戻るとジョディはチームのメンバーに言った。
「みんな、これから発電衛星E560に向かう。恐らく衛星は

敵に占拠されて中の技師達が人質になってると思うわ。

 

あの衛星は合衆国にも地球にも絶対必要なものなの、必ず

奪い返すよ。今後はいつ攻撃を受けるか分からない、

みんな、気を引き締めてかかってね!」

「了解!」

シャトルは周回軌道を離れ、発電衛星に向けて飛び立った。

 

エスパー同士の戦いが目前に迫っていた。

 

                                  つづく