大佐を取り囲んだ三人は一点に精神を集中させて

エネルギーを放出した!大佐と三人の間の空間が

微妙な歪みを見せ始め、大佐の像が二重になってきた。

 

大佐の表情が変わって姿勢も前のめりになった、

二つのエネルギーのぶつかり合いは限界に達しようと

していた。

 

大佐を守っていたバリアは三人のエネルギーに突き破られ

大佐の全身は白色の光に包まれた。

 

「グッ、ググッ、ガッ!ギャー!…」

断末魔の叫びを残して大佐の姿は消滅した。

「ウッ、ウウッ…」

三人もまた力を使い果たしたように膝から崩れた。
 

 

どれ程の時間が経った事か、三人は技師達に

揺り起こされた。
「きみさん、しっかりして!」
「うっ、ううん…」

目を開けたきみの前にはナナの顔が見えた。

 

「ナナさん…」
「大丈夫?三人とも10時間も眠ってたのよ」
「えっ!ここは?大佐はどうなりました、衛星は、シャトルは!」

 

「大丈夫、ここは衛星の医務室よ。衛星は無事、今スコット

がコントロールを回復してるわ」
「大佐は…シャトルはどうなりました?」
ナナは首を左右に振った。

 

「大佐は消えたわ、シャトルの所在は分からない。でも、

今は衛星を止める事が先決だわ」
「分かりました、これから、うっ、…」

きみは起き上がろうとしたが、まだ体がいう事を利かなかった。

 

「まだ無理してはダメ、今は体を休めないと」
「でも…」

きみが横を見るとジョディと美弥子も意識を取り戻して

いるようだった。

「二人は大丈夫ですか?」
「ええ、三人とも外傷は無いわ。力を使い過ぎただけ、

少なくともあと10時間は寝てないと。

三人とも体温が20℃にまでなってたのよ、あなた達が

能力者でなければ、とても助からなかったでしょうね。

ドクターも奇跡的だと言ってるわ」

 

「ナナさんが助けて下さったのですね、ありがとうございます。

でも、今は寝ている訳にはいきません」
「きみさん…」
きみは他の二人に思念を送った。二人は同時にきみの方に

首を向けてうなずいた。

 

三人が起き上がろうとした時、スコットからのコールが入った。
「はい、ナナよ」
「スコットだ。ナナ、ダメだ、エンジンの暴走が止まらない」
「分かった、すぐ行くわ」

 

「ナナさんエンジンですか?」
「うん、暴走が止まらないのよ」
「放射能は?」
「それは大丈夫だった、でもエンジンに強力な干渉が掛かって

るんだと思うわ。システムコントロールの問題じゃない」

 

「ナナさん、私達も行きます!」

三人はベッドから降りてナナの前に並んだ。
「もう、あなた達は…分かった、一緒に行こう」

 

「ナナさん、衛星は今どの辺りですか?」
「地球から約35万kmね、このままなら後6日以内に到達する」
「後、6日…」

 

 

四人は動力エリアに入った。中ではスコット達が暴走を続ける

核パルスエンジンを止める為に格闘していた。

 

「ナナ…みんな!もう良いのかい?」
「こんな時に寝てられないわ。スコット、状況は?」
「C-10からC-12エンジンまでが暴走状態だ、どんな信号を

送っても反応しないよ」

美弥子がエンジンを見つめた。
「やっぱりテレキネシスによるガードが掛かってるわね。

ジョディ、きみさん、こちらから逆干渉を掛けよう」

三人はうなずき合った。

 

「ちょっと待って!いきなりエネルギーを放出するのは危険だわ

あなた達は限度を考えずにやるから。今度倒れたら命の保障は

出来ないわよ」

 

「ナナさん、今は私達の体よりエンジンです」

美弥子の言葉を合図に三人は手を繋いで目を閉じた。

 

「おお!」

 

技師達からどよめきが起こった。

エンジン全体を包み込んで空間が揺らぎ始めた。次第に

エンジンは二重、三重の像を描き始めた。

 

「美弥子さん!それ以上の負荷はエンジンが持たないわ、

あなた達も危険よ」
三人は閉じていた目を開いた!すると、徐々にオレンジに

発光していたエンジンが元の赤銅色に戻ってきた。

 

「よし!やった。干渉が治まったぞ!」

スコットがガッツポーズを作った。三人は繋いでいた手を離して

床に座り込んだ。

 

「みんな!大丈夫?」

ナナが三人に駆け寄った。
「大丈夫です…」

美弥子は肩で息をしながら答えた。

 

「よし!後は任せてくれ。エンジンを調整して元の軌道に戻すよ」

そう言うとスコット達は勇んで作業に取り掛かった。
「じゃあ、あなた達はベッドに戻るのよ。これで地球は救われるわ

全く…大した人達ね(笑)」

 

三人が互いに支えあって立ち上がりナナと共に医務室に向かおう

とした時、目の前に信じられない光景が現れた。

 

「ジョディ!」

そう叫んで飛んでくる二つの影。

 

「マリン…カリン!!」

 

ジョディは信じられないという表情で二人に歩み寄った!

 

                                    つづく