「あっ、パパ、ママ…その子は…」

 

それはきみが子供の頃、父親の転勤で家族でイギリスに
やってきた時の姿だった。

 

それから親子はきみの前を通り過ぎ、続いてハイスクール

時代のきみと両親、事故で両親を失い日本に戻ってきた頃

ドクターと出会いクラブMでひなや妹達と楽しく暮らしていた姿

 

沖縄事件での小林2佐との出会い、姉妹でゆきかぜに乗り

込み訓練をした時。

 

笑っている百瀬1尉、敬礼する美弥子、

そしてその顔は沖縄の久高島で出会った真喜志美奈子の

姿ダブっていった。

 

美奈子から聞かされた自分の前世、大きな神殿の中で

祝詞あげている邪馬台国の女王卑弥呼の姿。

 

これまで歩いてきた自分の人生が絵巻の様にきみの前を

通り過ぎていった。

 

「人間が死ぬ時に自分の人生を一瞬で振り返るっていうけど

結構丁寧に見せてくれたわね」

 

その時、神殿の中の卑弥呼が立ち上がり、きみの方に

近づいてきた。

 

「あなたは…」

 

角のある冠を戴いたその女王はきみに生き写しだった。
「遥か未来の私の分身よ、随分と難儀をしているようだな」
「あなたは、フィミカですか?」

 

「人は私を様々に呼ぶが私は一人だ、今私の国は危機に

陥っているが、もう私にはそれを救う力は無い。

お前は自分の世界を救う為に戦ったのだな」

 

「はい、でも私ももうすぐあなたと同じ世界に行くようです、

あなたの魂はまた別の人間に引き継がれるでしょう」

 

「人はその時代について責任を負うものだ、私は自分の時代

でそれを果たしたと思う。もう後を別の者に託すのも良いだろう。

だがお前は、その時代への責任をまだ負っているぞ」

 

「しかし、ここで死ぬのが私の運命のようです。神が私の生(せい)

をそう定めたのなら、私はそれに従います」

 

「この世に神などいないぞ、我等を生み出したのは自然を超える

存在ではなく、自然そのものが我等の苗床であり墓場なのだ。

我等は大いなる循環の中に生きているのだ、この理(ことわり)
を忘れ、いもしない神を創り出した時から人間は自らを失ったのだ。

 

自ら考え、努力し協力しなければ大いなる循環の中を生きていく

事は叶わぬ、この世界を創造したと称する者達も自らを神と考えた

時から大自然の営みから外れたのだ」

 

「それは超常の力を使う者達の事でしょうか?」
「そうだ、しかしそのような僅かばかりの力を神の業(わざ)と

履き違えて自らを過信した者は、その力故(ゆえ)に滅びるのだ

 

大自然の営みから外れては人は生きていく事は出来ない。
お前に仇(あだ)なす者達も自らの愚を悟るだろう。

お前は自分の時代へ戻れ」

 

「フィミカ、私には…私の力ではとても敵を倒せません」
「力はいつもお前と共にあるぞ、私も同じだ。この世界を

生み出し育んだ大いなる陽の光はいつも頭上に溢れている

私はそれを恐れ敬って国を治めてきたのだ。

 

その力はお前にも受け継がれているぞ。自らを信じよ、

大いなる陽の光と共に歩む時、お前の力も永遠となるのだ」

きみはゆっくりと目を開いた。
(「今のは何だったのだろう?時空を超えた卑弥呼のメッセージか?

陽の光の力って…」)

 

「あっ、美弥子さん、ジョディ!しっかりして!」
その時、美弥子が目を開いた

「あー、私…まだ生きてる…きみさん!」

二人は抱き合った。

 

「ジョディ!あっ!!しっかりして!」

美弥子はジョディを透視した

「うん、まだ生きてる!きみさん力を貸して!」

 

「分かった!」

二人は手を握ってジョディの体にエネルギーを注いだ。

ジョディの顔には徐々に血の気が差してきた。

 

「よし、フォスターを追おう!」

美弥子が叫んだ。
「でも衛星は…」
「シャトルで追えば間に合うわ!」
「シャトルで?」

 

 

その時、きみの表情が変わった

「そうか…美弥子さん、分かったわ!」
「えっ?分かったって何が?」

 

「陽の光よ、陽の光の力よ!」

 

「きみさん…」
「美弥子さん、シャトルでは間に合わない」

 

 

そう言うと、きみは美弥子の手を握り自分の額を

美弥子の額に押し当てた。

 

                               つづく