衛星に入ったフォスターは動力エリアの前に立っていた。

 

彼を止めようとしたスコット達は一瞬の内になぎ倒されていた。

フォスターは笑みを浮かべてエリアの入り口を睨んだ。が、
その時、彼は自分の体がそこから一歩も先に進めなくなって

いる事に気づいた。

 

「ウッ、ウウッ、何だ?」

フォスターが驚いて後を振り向くと、そこにはマリンとカリンが

身構えていた。

 

「クソー、この小娘らがー!」

フォスターは右腕を掲げると五指を開いて振り下ろした!

すると指先から五条の光がほとばしり二人の体を捕らえた!
「ウー!…」

光の帯に手足を取られた二人はそのまま空中に持ち上げられた!

そして大きく振り回されると奥の壁に向かって投げつけられた!

 

回転しながら飛んでいく二人をフォスターは残忍な笑みを

浮かべて見ていたが、何と二人は壁に激突しようとする瞬間、

壁を蹴って真っ直ぐフォスターの眼前に迫ってきた!

 

フォスターが身構える暇もなく二人は左右から腕を振り下ろし、
指先から生じた二本の光の槍がフォスターの体を貫いて交差した!

 

「ウー!!ウウッ…」

 

フォスターは両手で槍を掴むと信じられないという表情で二人を見た。
「ウッ!ググッ、なっ…何故だー!」

膝を突いた彼の口から鮮血が溢れた

 

「おっ、お前達は!…」
自分を見下ろす二人にフォスターは再度腕を振り上げたがその時、

二人の瞳に怒りの光が輝いた!

 

「グガーッ!」

真っ白い光に包まれたフォスターはそのまま輪郭を失っていった。

 

辺りには金色の光の粒が舞っていた、ゆっくり、ゆっくりと

降り積もっていく粒子がやがて眩い輝を放ち始めた。

 

マリンとカリンは左右からひざまづいて光を見つめていた。

 

「ああ!(笑)」

二人は顔を見合わせて微笑んだ。光の粒子は人の形を作って

いき、やがてそれはマイクの姿になった。マリンとカリンの瞳から

は既に怒りの輝きは消え去っていた。

 

「アー!マイクだ!」

二人はマイクに抱きついた。

 

「どうしたの?シャトルは何処行ったの?」

体を揺さぶられるマイクも自分がいったいどうなっていたのか

を全く理解出来ていなかった。

シャトルの中のきみと美弥子は触れ合っていた互いの額を離した。
「間に合いましたね、きみさん(笑)」
「ええ、みんな良くやってくれた。みんな、良く頑張ったわ」

そう言うと二人は抱き合い、もう言葉が出てこなかった。もう、

後から後から溢れ出す涙を抑える事が出来なくなっていた。

 

その頃、日本海のゆきかぜは孤立無援で戦っていた。

CICには焦燥感が広がっていた。

「艦長、各ミサイル残弾が僅かです。もうこれ以上は…」

小林は悲痛な表情で梅田を見た。
「ここで退く訳にはいかん、敵潜と刺し違えてでも倒すぞ」

梅田の信念は揺るがなかった。

 

「あっ、艦長!」

なっちが突拍子もない声を上げた。
「もう、なっち!何を?…えっ…艦長!」

ナッキーも同じように叫んでいた。

 

「艦長!敵潜を捉えました!」

ひなが梅田を見た!
「よし!アスロック射出!」
「了解!アスロック射出!」

菊川がひなを見た。

 

ひなはじっと目を閉じて心眼で敵を追っていた。スクリーンには

海中に突入し、正面に敵潜水艦を捉えたアスロック対潜魚雷の

映像が映し出された!

 

「おお、これは!」

CICには期待に満ちたどよめきが起こった。数秒後、敵潜に

魚雷が命中し、大爆発が起こった!

 

「やったー!艦長、敵潜を撃沈しました!」

菊川がガッツポーズをとった。
「よし、よくやった」

梅田もようやく緊張感を解いた。

 

「ナッキー、もう辺りに敵はいないか?」
「はい、今のが最後です」
「艦長!通信回復しました、SPY-1レーダー始動!」
「艦長、チームコールです」

小林が梅田を見た。

 

「官邸か?」
「はい、えっ?艦長!真喜志1尉です!」
「何!何処から発信してるんだ?」
「発電衛星E560からです!」

 

「よし、代われ。真喜志1尉、梅田だ。今日は衛星通信かい?」
「はい艦長、ミッションを完了しました。成功です!」
「そうか、よくやった。ごくろうさん、きみさんも大丈夫か?」
「艦長、良いお知らせです。E560を取り戻しました、それに

世界各地の能力者集団に中継衛星を通して誘導波を送りました。

内乱はもうすぐ治まると思います」

 

「そうか、今ゆきかぜも宿敵を倒したよ(笑)君達のお陰だったん

だね。ありがとう、本当によくやってくれた」
「艦長、ひなちゃんはいますか?」
「ああ、代わろう」

 

「代わりました、ひなです」

その時スクリーンが反応した。
「ママ!そっちからビジョンを送ってるのね?どうもお疲れ様でした」

次の瞬間、画面には思いがけない人物が現れた。

 

「ひなちゃん」
「あっ!えっ?ウソ…お母さん!」

画面には笑顔のナナが映し出されていた。

 

「どうして?宇宙にいたの…もう、お母さん!」

ひなは両手で顔を覆った。
「ひなちゃん、ごめんね、連絡出来なくて。きみさんや美弥子さんが

助けて下さったのよ」

 

「本当!ママ、美弥子さん…ありがとう。私、もう何て言って良いか

分からない…」


「ひな姉さん!」

なっちとナッキーがひなに抱きついた。

「良かったね、ひな姉さん」

二人もまた涙に暮れていた。

 

「ひなちゃん」

今度は画面に父の黒井博士が現れた。
「お父さん!…二人とも…無事だったのね」

ひなは床に倒れこんで動けなくなっていた。

 

画面には再びきみが現れた。
「艦長、このお二人は正式な日本政府の認定した拉致被害者です

五島総理にアメリカとの返還交渉を進言して頂けますでしょうか?」

 

「分かった、すぐ官邸に伝えよう。そうか、ひなさんのご両親が…」

梅田も感慨深そうだった。

 

「うん!今日は素晴らしい日になったな、世界に平和が蘇った

記念すべき日だ!」
「そうですね、艦長」

 

小林が梅田と握手した、CICのクルー達も満面の笑みで握手

し合っていた。

 

                                    つづく