The threshold for polyglutamine-expansion protein aggregation and cellular toxicity is dynamic and influenced by aging in Caenorhabditis elegans.
Morley JF, Brignull HR, Weyers JJ, Morimoto RI.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Aug 6;99(16):10417-22. Epub 2002 Jul 16.
発表ネタですが、いい加減タイムリミットですので、以前紹介したポリグルタミンの論文
に決めました。
で、今日から一週間ほど備忘録的に関連論文のまとめをupしていきます。
文章が分かりにくいのは私の余裕のなさのあらわれですので、やさしい気持ちで読み飛ばしてください。
まずは先の論文で用いている、ポリグルタミンを筋肉で発現する線虫を最初に作った論文です。
ハンチントン病をはじめとするポリグルタミン病では、特定のタンパク質にグルタミンというアミノ酸がが40~100個も連なってくっついてしまいます(ポリグルタミンリピート)。
で、このリピートの長さがある一定以上のタンパク質を作ってしまうヒトでは、神経細胞がどんどん死んでいって、様々な症状が発症すると言われています。
この論文では、線虫の筋肉で様々な長さのポリグルタミンリピート(と蛍光タンパク質YFPとの融合タンパク質)を発現させ、リピートの長さが凝集体の形成しやすさや、運動能の低下に与える影響を調べました。
結果としては以下の三点
1. リピートが長いほど凝集体は形成されやすく(閾値は~40)、加齢とともに閾値は短くなる。
2. 凝集体の形成と運動の低下に強い相関がある(同じリピートの長さであっても)。
3. PI3K変異体(つまりインスリン経路の変異体; 寿命が延びる!)では、凝集体の形成と運動の低下の時期が遅れる。
まあ線虫を(蛍光実体顕微鏡下で)ぱっと見て凝集体がどれくらいできているかが分かる系を作ったというところがすばらしいですね。
こういう系作りは大事ですし、好きな部類の仕事です。
ただ、筋肉をモデル系として分かったことが、単純に神経細胞で起こっていることと同じと言えるとは思えませんが、スクリーニングの系としてはやはり素晴らしいと思います。
A surveillance pathway monitors the fitness of the endoplasmic reticulum to control its inheritance.
Babour A, Bicknell AA, Tourtellotte J, Niwa M.
Cell. 2010 Jul 23;142(2):256-69. Epub 2010 Jul 8.何やら難しそうなタイトルをつけてしまいましたが、、、、、
発表ネタ探しの3回目です。
小胞体(ER)は、分泌タンパクと膜貫通タンパクの合成や脂質の合成などを行う重要な細胞内小器官です。
正しい形をとれなかったタンパク質などが小胞体にたまっていくと細胞は死んでしまうので、このような"ERストレス"をモニターして対処する機構(タンパク質の分解経路の活性化など)が細胞には備わっています。
ともあれ、小胞体を正常な状態にキープしておくことは、細胞にとってとても重要なわけです。
この論文では、出芽酵母を用いて、細胞分裂時にERストレスを与えると、娘細胞に一部の小胞体(具体的には表層の小胞体; cER)が受け継がれにくくなることを示しています。
で、酵母の遺伝学の強みを用いて、この現象(ER stress surveillance; ERSU puswayと命名)に関わるシグナル伝達経路を明らかにしており、今まで見つかっていなかった新しい経路であることを発見しました。
さらに、ERストレスを与えた時の母細胞の生存率が、ERSU pathwayのおかげで上昇することが分かりました。
以前読んだ別の論文では、娘細胞が母細胞に“ゴミ”を送って生存率を高めるという話がありましたが、今回はその逆で、母細胞が娘細胞を“犠牲に”して生き延びるという現象が発見されたわけです。
進化的にこの戦略はどうなんでしょうね。
直感的にはイマイチな気がしますが。。。。
分子がたくさん出てきて私の頭では読むのが大変でしたが、面白い論文でした。
が、やっぱりややこしすぎて皆が寝てしまいそうなので、発表向けではないですかね。
いい加減に決めないとやばいんですが、もう少し粘ってみます。
Identification of MOAG-4/SERF as a regulator of age-related proteotoxicity.
van Ham TJ, Holmberg MA, van der Goot AT, Teuling E, Garcia-Arencibia M, Kim HE, Du D, Thijssen KL, Wiersma M, Burggraaff R, van Bergeijk P, van Rheenen J, Jerre van Veluw G, Hofstra RM, Rubinsztein DC, Nollen EA.
Cell. 2010 Aug 20;142(4):601-12.発表用のネタ探しその2です。
多くの神経変性疾患(アルツハイマー病とかです)では、異常なたんぱく質の凝集体(その名の通りごちゃっと集まって水に溶けなくなったもの)が見られ、病気のマーカーともなっています。
しかしながら、これらの凝集体が病気の進行に与える影響や、そもそもどうやってこんな変なものができるのかについては、未だはっきりしていません。
この論文では、線虫(C.elegans)を用いた遺伝学的スクリーニングから、MOAG-4(modifiers of aggregation 4)という遺伝子の変異体では、異常たんぱく質の凝集体の形成が抑えられることを発見しました。
つまり、この分子は積極的に凝集体を形成していることになり、やはり細胞は積極的に凝集体を形成していることが示唆されました。
また、これらの変異体では加齢に伴う運動能の低下も抑えられているので、凝集体の形成が病態の原因であるという仮説に適合します(この点については筆者たちはあまり主張していませんが。。。)。
さらに興味深いことに、この遺伝子は分子シャペロンやユビキチンプロテアソームなどのタンパク質分解系とは別の経路で働いていることが示されたため、まだ見つかっていない新しい経路が存在することが示唆されました。
一応この分野に近い研究をしている身としては、モチベーションが上がる論文でした。
ただし、この分子が具体的に何をやっているのかについてはほとんど分かっていないので、議論がしにくく、発表のネタとしてはいまいちかもしれません。
最後の手段としてキープしつつ、引き続き他の論文も読み漁ってみます。