数日後、コババァが家にやって来た。

「今度、私が担当になったからむかっ…この家が回覧板最後だから、家まで持って来てくださいねむかっ

と、苦みばしった顔で嫌味っぽく言いやがった。
言葉のすべての語尾に怒りマークがついてるような話し方。

「あ、はい。ご自宅はどこですか?」

と聞くと

「あの白い所…」
白い?…


そういえば数日前、家の娘っちが

「おばあちゃんに車で送って貰ってたら、足で車を運転してる人がいて恐かった…」

「えぇ~っ瀨ウソ?いや、足じゃ運転出来ないよ。」
と言うと娘っちは、椅子に座りやって見せた。

すごい…瀨
体を『く』の字と言うより ヘヤピン(U字)くらい曲げて、足をハンドルに乗せて運転してたらしい…

「足に見えた手じゃないの?」

と聞くと

「だって手で携帯持ってゲラゲラ笑いながら運転してたもん。おばあちゃんも見たから聞いてみてよ。本当なんだから…」

ええっーー
まさか……
そんな奴いるのかよ…

なんてアクロバッティック………
テレビに出れるんじゃないかっ……
と関心してる場合じゃない…
危険じゃん。

ん?…
じゃアクセルは?
娘っちの話では、大通りからずっとおばあちゃんの車の後ろにいて、
「後ろの車の人足で運転してる~瀨」って
二人で大騒ぎしたらしい。
右折する時いっしょの方向だったから恐かったらしい。
「近所の人だったからおばあちゃんが心配してたよ」
「近所?どこの家?」

「あの白いとこ」
……………

(長い前置きでしたがあせる…コババァとのくだりに戻ります)


の…白いとこ?

あなたの息子さんですか…
ふ~ん…

それから、モンスターの息子に何度か遭遇した。

いつも見えないほどのスピードで飛ばしている。
人が飛び出してきたら終わり…
まず、ブレーキを踏めないよね。

数年前、『成人式で暴れる若者たち』ってニュースでよく見たけど…

まさにそんな感じ。でも、君はどう見ても立派な大人…
まだ、やってますか?ってインタビューしたくなる。

で…アクセルは?どうやってるのか…これが一番聞きたくて仕方ない謎。


ごみ捨て場には、捨てる日を勘違いした人のゴミにデカデカと張り紙がしてあった。

『心ないあなたのせいで迷惑してます』

『犯人は誰かわかってます。今度やったら通報します』

とか…もっと優しく書けないのか…わざとじゃないかもじゃんといつも思う。

心ない?
それをおっしゃるなら…

携帯で話ながら足で運転してる息子さんに、心はあるのですか?

回覧板を返しに行くと番犬におどかされる。
くさりで繋いでるけど…長すぎて意味ないんですけど…
歯をむき出しにして誰にでも吠えまくる犬を見てると…

おまえまでか淸

と思ってしまう。恐るべしモンターハウス……

ごみ捨て場のモンスターたちは、いつも集まって何か企んでいた。

それをカーテンごしに覗く私…
『家政婦は見た』状態。

いなくなってから出しに行く日々は、相変わらずつづいていた。

モンスターたちが解散した後、ゴミ出しに行き、家の前に出されたゴミを坂の上まで運んでいると…

ひとりのおばあさんがやって来た。
ん?…
どこかで見た事がある…
あっCMだ…

そのおばあさんは、ニコニコ笑顔でやって来た。

「こんにちは…」
「あ、こんにちは…」

と言うと…家の前からゴミをいっしょに片付けながら、
「迷惑でしょ?臭いしね…前のとこでよかったのにね」

と言ってニッコリ笑顔で手伝ってくれた。

ステキですキラキラ

私は、気になっていた事を聞いた。

「CMに出てらっしゃいますよね?」
すると、

「はい、ちょっとだけ…はははっ」
って恥ずかしそうに笑った。

かわいい~キラキラキラキラキラキラ
このごみ捨て場でモンスターしか出会った事なかったのに…、
いたんだこんな良い人…

まさに…

『掃き溜めに鶴』 ってこの事を言うんですね炅

おばあさんは、

「ここに置かないように~って言っとくね」

と言って帰って行かれた。

後光が差してたキラキラキラキラキラキラ

すごく 暖かな気持ちになって、帰ろうとしたら…
看板が目についた。

何なに?

『ゴミはきちんと捨てましょう』

なるほど…

『カメラは見てます』

カメラ?

この何もないとこに?

カメラのダミーでも置いてあれば、まだ分かるけど…

分かりやすすぎる脅し文句。

騙される人がいると思ってるのかな…

いないね!

『あなた達を私がカーテンごしに見てます』

と書き足しとこうかと思った。
だって、事実だから(笑)


あれから、ゴミの日は、なるべく出くわさない様にまずカーテンごしに覗いて…確認。

しかし、毎回毎回モンスター達は集合して何やら話をしている。
その顔から笑みは一切こぼれておらず、良からぬ噂である事はすぐわかる。

あ~やだやだ…
ぬれぎぬをきせられてなきゃ良いけど…

が、しかしっ
せっかく集まってるんなら人ん家の前まで置かれてるゴミなんとかしょ~よ!

そこは、どうでも良いわけですな…むかっ

しばらくして洗濯を干しに外にでると、まだいる…

どんだけヒマなんだよむかっ
と思いながら…

一応、軽くご挨拶なんぞしたら、
ゴトブランゴが

「ごみの出し方が…」

ん?何?

よく聞いてみると、ゴミの出し方が悪い人がいてペットボトルや空き缶もいっしょにはいっていたらしくてブツブツ怒っていた。

確かに、それは怒って当然ですな…
すると続いて、
コババァが、

「カップ麺とかはいってるし、若い人ですよ。絶対にむかっ

若い人ね…

若いって、ここらで若いの家くらいじゃん…
またかい?
確かに、嫌味っぽい棒読み状態…

は?
まだ、捨ててませんけど…むかっ

これは、潔白を証明する為にも、
今行かねば…

スタンバっていた ゴミの袋を持ち、いざ出陣!

心は、侍の気分だが…なぜか頭の中で『ロッキー』のテーマ曲がなっていた。

いつ打たれても倒れない様に、心に拳を構えて…
リングアナウンスが、
「選手入場です」
パーカーを目深にかぶってくれば良かった…と少し後悔した。

だってそのゴミ、家のじゃありませんから~淲って感じで堂々と…歩きました。

モンスター達の前に来た時、

「ダァーッ」
ってガウンを脱ぎさりたいとこだが、あえてスマイリーに…

「ご苦労様です煜」

奴等ひきつった顔で、軽く会釈しやがった。

さすがに、家じゃなかったと理解したんでございますね淲
と思いきや…

コババァが、

「ま、人がいる時に捨てるならちゃんと捨てますよね」

ゴトブランゴが

「夜中に一度捨てるんですよ」

ん?一度…?
私に言ってるのかい?
なんか潔白が証明されてない…?

面と向かって文句を言われれば、
ハッキリと言い返せるが、なんか一番イヤな感じ…

そうこの日から、奴等がモンスターにしか見えなくなったのでした。