20年近く前、当時のインターネットでは、ブログサイトもソーシャルメディアもまだ普及しておらず、個人のホームページを立ち上げる人が多かった。私もスコットランドに移ったばかりで、時間もたっぷりあったので、ジオシティーズでホームページを作ったことがある。
その頃に日本在住の女性で、ご主人と一緒に運営されていたウェブサイトに出会った。イギリスに留学されたこともあり、イギリスへの愛に溢れるサイトで、当時の思い出が綴られていたり、生まれてまもないお嬢さんの微笑ましい成長の様子や、ため息が出るような素敵な写真が載せられていたが、何よりも、その方の文章の美しさに、当時は憧れと羨望を感じながら読んでいた。
その文章の美しさは、その方の丁寧な暮らしや、人となり、感性、美意識から生まれるもので、読むたびにガサツな自分自身を猛省し、掃除を始めたりすることもあった。
やがて、個人の表現の場がブログになり、フェイスブックやTwitter、Instagramなど、手軽なプラットフォームが登場しても、その方はずっと同じ場所で文を載せていた。
いくつかあったページも現在は、愛用されているイギリスの食器に乗せられたお料理やお菓子の写真とともに、文章が綴られているページのみで、暮らしの一コマだったり、季節のお便りだったり、お子さんの話だったり、ご自身の想いを、不定期で更新されている。何ヶ月も更新がないと心配になったり、小さかったお嬢さん、そして娘とほぼ同じ歳の息子さんの成長に驚いたり。
スコットランドに住んでいたのに、この方の文章でイギリスの魅力を発見することもあった。この方のご紹介で、出会った本もいくつかある。
20年近く、愛読しているにも関わらず、一度もご本人に名乗り出たことがない。ずっと読み逃げしている。何度か、いつも楽しく読んでいることを伝えようと思いながら、できずにいる。
その方が同じ場所で書き続けていらっしゃるのは、きっと私のように当時のファンの方がずっと通っているのではないかと思う。もちろんご家族やお友達もいらっしゃると思うが。ご主人がサイトのデザインを担当していたと覚えているが、隅々までセンスが素晴らしい。
私自身は、あっちこっちに書き散らし、何度か書くのを辞めたりしているが、それでもこうしてまた書き始めているのは、彼女のサイトが理由で、文をかくときも、いつも心のどこかで彼女の文章を意識している。それは真似ようとかではなく、結局は自分の声を見つけて、自分の言葉で書くしかないけど、彼女の文の読み手として恥じないようにと言ったら、大袈裟かもしれないが…
この夏休みは、ほとんど出かけなかったにも関わらず色々あった3カ月で、アルバムの写真整理のように少しずつ、記録を残しておこうと思う。
