私は職場最寄り駅まで病院から送迎車を出してもらっている。勿論他の医師と寄り合いで移動する。大凡15分程度山道を揺られる。その間、世間話からちょっとした医局会のような打ち合わせもあったりする。車窓を望めば四季折々の風景を楽しむ。

 そして、楽しみのは四季折々の風景だけではない。いやむしろ戦いだ。それが、「温度当て」なのだ。

 

 

  温度当てとは

 

 ルールは至極簡単。単に通勤路途中道の駅で掲げている、温度掲示板の温度を当てるだけだ。情報は当日のネットから地域情報の天候、湿度、温度、車の外気温情報、そして窓から少しだけ手を外に出しての皮膚感覚。自由に得て良い。それらの情報から総合的に判断して結論を出す。

 

 そこのあなた。そんなの簡単だ、ネット情報や車情報があれば当てられるに決まっていいる!ですって?

 

答えはもちろん「否」なのです。

 

 これが、なかなか当たらない。例えば地域の温度の情報といっても、測定地点は当該道の駅ではない。湿度が高いと気温を高めに皮膚感覚として感じてしまう。またその場所のそばには川が横たわる。変わりやすい岩手の天気は局所的に太陽光を容赦なく照らすことがあったりする。雨風も同様だ。だから、ものすごく当てにくいのだ。

 それだけではない。繰り返し勝負しているういちに気づいたことがある。まるで温度掲示板が、生き物のように、我々医師たちをまるであざ笑うような値を表示してくることがあるのだ。例えば、三人医師が乗車していたとする。それぞれ22度、24度、25度と予想したとしよう。すると、23度をしれっと表示してくるのだ。これが稀ではない。日常なのだ。どうしてもきゃつ(温度掲示板)に意志があるとしか思えない。

 

   温度を当てたら

 

 温度を当てたらとても嬉しい。だいたい当てた医師はガッツポーズをとり拍手。そしてそれ外れた医師は当てた医師に対して惜しみない祝福の言葉と拍手を送る。お金?かけない。こんな真剣勝負をもう何年も続けている。