高性能なOmniFocusは私には必要なかった
ガントチャートを有効活用した日々
過ぎ去りし日のこと。私は医学研究者であった。
科研費による医学研究(文部省や厚労省に研究予算もらう研究)は最初からきっちりと予定が組まれる。日程や予算、機器、人員全てだ。よってケツもきっちり決められていた。研究班を組織運営もしなくてはならない。やらねばならぬことは、少なくとも私にとってめまいするほど膨大であった。ミルクを買い忘れないように覚えておくTodoアプリでは当然次元が違うレベルで追いつかない。まあそういうソフトは当時なかったな。
話を戻す。そこで私は研究の進捗管理目的で比較的高価なソフト(今風に言うとアプリ)OfficeのProjectXPを選んだ。一般名でガントチャートソフトというカテゴリだ。複数作業の工程が入り乱れて最後はゴールに向かって収斂されていく。そんなイメージである。
とても有用なソフトであった。研究結果を投稿、科研費の報告の締め切り日をゴールとする。多くのスタッフ、機材、産み出した教材、対象者諸々について研究の進捗を管理できた。研究班会議で現在の進捗状況を報告するときもこの図を使うことで説明が容易であった。当然予定外のトラブルに見舞われることもあった。そしてそんな時こそ、このソフトが役立ったものだ。
あやふやな予定管理アプリこそ欲しかった
その後諸事情で研究職から離れた。完全な臨床の場でしばらくこのガントチャートとは縁がなくなった。それでも漢方の学会発表や投稿、本の執筆、講演会をこなしてきた。それ以外では漢方のブログを作ったり、YouTubeも200以上アップすることもあった(現在YouTubeは消去済)。それならばとより多くの進捗を管理すればもっとこなせると考えた。そこで色々と模索してGTD(Getting Things Done)にたどり着いた。これはデビッド・アレン氏が提唱した超有名な仕事術である。「ストレスフリーの仕事術(デビッド・アレン著)」は有名。私なりに要約すると情報をフローチャートに振り分けていく。整理できた後、次に何をすべきかが分かる様になる、という優れもの。私はこの本を10年以上前に数回読破した。そのデビッド・アレン氏が監修?したと言われるOmniFocusにたどり着いた。よしこれでより良い人生を歩めると思った。しかし実際には管理そのものが面倒となり結局投げてしまっていた。つまりOmniFocusを使わずになんとか達成してしまっていた。
私の場合、仕事を依頼されたらまずは8割方ともかく終わらす。まるで締切前の追い込まれ方で怒涛のように進める。そして締め切り一ヶ月前までに終わる算段をする。終わったらひたすら改訂していく。OmniFocusが無くともできてしまう。では、日常業務の管理はどうか?それは予定表、Todoリストアプリで十分。OmniFocusのように複雑でなくても良い。
かつてOmniFocusに願っていた妄想と現実
かつてOmniFocusに管理をお願いしたかった機能は何か。それは思い立った直後はどうすればいいかあやふやでどうなるか分からない手順での果てに達成できる、成りたい自分と寄り添ってもらえること。今思えばそれは贅沢な願いであった。まるで認知科学の認定コーチのような存在を期待していたのだった。結果は明らかだった。何度もOmniFocusとぶつかりその度にうまく使えない自分を卑下してきた。
発案時の能力と想像力に基づいて予定を決めてしまう。するとどうしても実際にやっているうちに大きく変化しその手順そのものを止めることも多々あった。実際GTDでは定期的な見直しを推奨されている。しかしその結果複数の手順が合わさったり、分解したりするとアプリを使うのがもう面倒でならない。
今だから言える。だいたい、ゴールに至るまでの過程が計画立案段階で分かるなんて認知科学からみれば噴飯ものだ。OmniFocusはきっちりと予定を決めなくてはならない場合に使うべきなのだ。事前にどうなるか分からないことを、とりあえず決めてしまうから、せっかくの機能が邪魔なだけになってしまう。今なら分かる。OmniFocusは私に合わないのではない。適応を間違えただけだ。使うべきその日が来るまで、塩漬けにする。