SPレコードの音を久しぶりに聴きました。
30年以上前、かつてあった中野の「クラシック」で聴いて以来です。
1月には、阿佐ヶ谷の「ヴィオロン」で。
3月は旧バロックの店を借りた鑑賞会で。
7月は再び「ヴィオロン」で。
再生のツールは「機械」というよりまるで「楽器」です。
いっさい電気を使わない「アコースティック再生」というやり方です。
今年はパブロ・カザルスの生誕から150年。
それを記念して「ヴィオロン」ではカザルス特集です。
音源は1915年から1937年まで。
第一部は「ラッパ吹き込み」の80回転盤。
第二部と第三部は電気(マイクロフォン)吹き込みの78回転盤。
全盛期のカザルスが聴けました。ロマンチックでよく歌うチェロですね。
カザルスのSPで驚いたのは、最後の曲(ドヴォルザークのチェロ協奏曲)でした。
リリースは1937年。
解説の板倉先生によれば、同じアナログでもLPは柔らかい盤に堅い金属針を使って音を出します。そして、大抵は電気再生です。SPは硬い盤に柔らかい針(竹など)で再生します。電気を通さずに、「再生器」に共鳴させて音を出します。いわゆる「アコースティック再生」です。SPでも電気再生はもちろんできます(大抵はそうするしかないです)が、アコースティック再生の方が針音が小さいとのことです。
特に最後にかかったドイツ制作のドヴォルザーク盤は、とにかく音が良いのに驚きました。ノイズはありますが、聴いているうちにほとんど気にならなくなってきます。まるでLPを聴いているような感じです。盤を裏返すときに、「ああ、やはりSPなんだ」と思ったくらいです。
SPの録音は今と違ってたいへんな集中力を要する作業だったようです。いわゆる「一発録り」です。ミスしたらすべて最初からやり直し。「テープ編集」などがなかったころですから。記録素材(ゼラチン)も限られています。演奏者はライブなみの緊張感があったのでしょう。
もう半世紀も前、吉祥寺「バロック」のご主人(故)中村さんが言ったことを思い出しました。「SP時代の演奏者は精神的にピュアでストイックだった。録音は真剣勝負だった。それに比べて、今のミュージシャンは・・・」なんて調子でした。私も若かったので、ご主人のお説教を疑いもなく拝聴していましたが、老境に差し掛かって、多少批判めいたことも思ってしまいます。自分の得意分野について自分の「城」で話をすれば、何であれ「説教臭く」なってしまうものです。相手が若い人だったら特に。ただ、記憶では、「そんなことより、早く盤をかけてくださいよ」なんて文句を言った骨のある学生さんもいたなあ。
でもまあ、半分当たってるかな。録音が「記録」ではなく「編集」による「作品」になってきた経緯があります。それによって失ったものも得たものもあるでしょう。でも、それはそれで、音楽(演奏や聴衆や産業)の歴史なのです。
NHK・EテレのN響アワーで、コンマスの一人が自分のSPコレクションを紹介していました。N響の前身と初期の録音を少し聴けました。やはりアコースティック再生でした。











