読み歩き、食べ歩き、一人歩き(774) 漢字の快楽 | DrOgriのブログ

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おやじが暇にまかせて勝手なことを書くブログです。日々の雑記や感想にすぎません。ちらっとでものぞいてくだされば幸せです。

最近、漢文の授業を持たされました。

日本で育った一介のブッディストとして中国由来の仏教思想(漢訳仏典)に親しんできたわけですが、決して漢学に詳しいわけではありません。

ただ、漢学の世界は魅力的です。

先の長くない身ですが、多少は勉強しておくべきでしょう。

 

八王子の東京富士美術館で「漢字三千年―漢字の歴史と美―」展が開かれています。

 

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今回の展示には、中華人民共和国の貴重な文物が多数寄せられています。
駐日大使からもメッセージが。
 
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展示は2部に分かれていました。

ところどころに漢字の由来に関するコラムが掲示されています。

 

展示の最初に目が四つある不思議な肖像画がありました。

それは伝説上の漢字の創始者・倉頡(そうけつ)。

鳥の足跡が鳥の存在を想像させるように、形が概念を示すことに気づいた・・・

そんな説明がされていました。

ただ、漢字の起源についてはまだよくわかっていないとのことです。

 

第一部は、漢字の歴史

中国最古の文字である甲骨文字から始まって、秦の篆書、前漢の草書、前漢・後漢の隷書、隷書から出た行書、隋・唐の楷書、西夏文字など様々な書体を見ることができます。

「媒体」も、甲骨、青銅器、貨幣、石碑(拓本)、篆刻、木簡、竹簡、金箔、陶磁器、玉石、紙など実に様々です。

 

今回の目玉はこれでしょう。

製造者の署名のある兵馬俑

「不」の古体字が左の肩に見えます。

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木簡の実物。

 

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篆書の例

隷書の例

 

 

展示では歴史的にたいへん貴重な文物がたくさん見られます。

商王妃(殷代)の「婦好」という女傑の話。婦好は実在の人物だった可能性が高いです。墓が無傷で見つかったようですので。

 

日本から来たであろう「井真成」という人物の墓碑(レプリカと拓本)も。墓は玄宗帝の唐代に築かれました。

 

第二部は、「漢字の美」

紙と筆が発明されて、漢字の表現はさらに進化しました。

明と清の時代の文物が多かったです。

「書芸術は世界に誇る東アジアの代表的文化のひとつ」・・・展示の解説にそうありました。確かにその通りですね。


書の芸術品としては、王羲之の行書『蘭亭序』の写しや『法華経』(方便品、寿量品)など。

 

王義之の真筆は存在しないそうで、以下は『欄亭序』の唐代の写本です。

↓ 美しいですね。

 

法華経(如来寿量品)

 

皇帝や宰相などのトップも書をよくしたようで、乾隆帝や李鴻章の書も展示されています。

西太后の朱印揮毫もありました。

 

中国の国宝級の文物が一堂に会した観があります。

 

千字本という書物を初めて知りました。漢字はあまりに複雑かつ大量なので、学習するのがたいへんです。古来、テキストが様々に工夫されてきたようです。仮名文字の「いろはうた」のような50音というわけにはいかず、日常的にも3000字くらいは必要です。そんな漢字のテキストとして「千字本」は考案されました。一句四字で二句ずつ「偈」のように文句が綴られています。「天地玄黄 宇宙洪荒」といった風です。4書体(篆・隷・草・行)の手本が展示されていました。

 

 

象形文字が活動する映像

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中学校時代、書道の時間というのがありました。H先生は日展に出品したこともある高名な書道家でした。お話もたいへん上手でいつも笑いが絶えない授業でした。先生から日中の書の大家たちを教えていただきました。

欧陽詢、王羲之、顔真卿といった中国の古典的な人々の名前はこの授業で初めて聴きました。H先生は楷書の大切さを強調され、御自身は「書聖」王羲之よりも顔真卿がお好きだったように記憶しています。

それに加えて、日本のいわゆる「三筆」と「三蹟」も教えてくださいました。前者は真名(漢字)の大家で、弘法大師空海、嵯峨天皇、橘逸勢。後者は平安の仮名混じり(和様)の大家で、小野道風、藤原佐理、藤原行成。有名な道風と蛙の話も、先生から聞いたのが初めです。・・・自分の才能のなさに失望して書の道を諦めようかと思った道風は、散歩の途中で柳に跳びつこうとしている蛙に出会う。「蛙め、無駄なことを」と思っていると、何度目かで蛙は柳の枝に跳びつくことができた。「私の努力はこの蛙にも及ぼない。」その後、道風は刻苦勉励して地位を築いた。・・・

H先生のお話に聴き入って手を疎かにした私は、今なお字が下手です。学問さえも、蛙ほどにも努力していない有様です。

「漢字三千年」展のおかげで、先生の教えを思い出しました。 

 

顔真卿の筆跡(楷書)

↓ 8世紀の唐時代のものです。

力強い書体です。

 

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東京富士美術館のサイト

http://www.fujibi.or.jp/