読み歩き、食べ歩き、一人歩き(733) 日本刀はなぜ美しいか―ザ刀剣展 | DrOgriのブログ

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おやじが暇にまかせて勝手なことを書くブログです。日々の雑記や感想にすぎません。ちらっとでものぞいてくだされば幸せです。

日曜日に急な用事で大学の図書館に行きました。
そのついでに、東京富士美術館で開催中の「ザ刀剣展」を覗きました。




東京富士美術館・ザ刀剣展公式サイト
7/3(日)まで。

東京富士美術館は、西洋美術の名品だけでなく、蒔絵や陶磁器、日本画などの東洋美術の所蔵も多いです。
今回は「重要文化財」に登録されている名刀の三振りも含めてかなり力の入った刀剣展です。

展示では、日本刀の歴史に沿って、時代ごとの名工の名刀を見せてくれます。
展示は三章に分かれています。
 第一章「刀剣・五大流派(五箇伝)の時代:古刀期(平安時代後期~室町時代末期)」
 第二章「新たな潮流~刀工乱舞の時代:新刀期(江戸時代前期~中期)」
 第三章「世界に誇る日本の美~千年の伝統を繋ぐ:新々刀期(江戸時代後期~現代)」


展示では、太刀、刀、脇差、短刀を区別して説明していました。
どれも片刃で反りがあります。
太刀は、刀身が60センチを超え、刃を下にして腰に下げるものです。
刀は、刀身が60センチを超え、刃を上にして腰に下げるものです。
脇差は、60センチ未満~30センチのもの。
短刀は、30センチ未満のものです。
説明文にはなかったですが、剣は両刃の刃物を指します。

撮影は禁止なので、写真を載せられないのが残念ですが、どれも息をのむ美しさです。
最初に目にしたのは、「伝説の名刀」として私でもその名を聞いたことのある正宗と村正でした。

展示されている「正宗」は、宮本武蔵が持っていたとも言われ、徳川慶喜、山岡鉄舟、岩倉具視へと渡ったと言われています。
横にあった「村正」は、「妖刀」という噂があります。
少なくとも徳川家にとっては縁起のよくない刀だったようです。

私だけにそう見えたのかもしれませんが、この「村正」の切先から10センチほどの刃に何やら白い傷のような曇りのようなものが・・・
他の刀にはそんなものは一切ありませんでした。
あれは、何だったのか・・・(気にし過ぎ?)



東京富士美術館が所蔵している「重文」三振りも見事でした。
1)「銘 有綱(古伯耆)」(平安時代後期)
古刀(太刀)の最高峰とのこと。
2)「銘 一(福岡一文字)」備前(鎌倉時代中期)
刃文の乱調子が印象的です。
3)「銘 備前國長船住 近景」(南北朝時代、建武2年)
近景という個人名が銘に入っています。


展示は日本刀について総合的な知識を得られるよう工夫されています。
各部分の名称とその特徴
作刀の過程
刀装飾(刀身彫刻、銘、鞘、鍔、柄、目貫など)の紹介


現代の名工、月山貞利さんの作品も展示されていました。


ミュージアムホールでは、月山貞利さんの作刀過程を紹介する動画も上映されています。
日本刀がしなやかで折れにくくて鋭利なのは、軟らかい鋼(内側)と硬い鋼(表面)という二重構造だからだそうです。



展示は刀だけではありません。
具足(鎧兜など一式)や蒔絵作品、合戦を描いた浮世絵の名画も。
歌川国芳のダイナミックな作品も見事です。

それだけではありません。
NHKの時代劇「真田丸」に乗っかった?企画もありました。
真田幸村の「赤鎧」はかっこいいですね。


ただ、どんなに美しくても、刀は人を切るための武器です。最近、私個人は合戦や武将を美化することに違和感を感じ始めています。もちろん、昔の話なのですから目くじら立てることもないのでしょう。学生時代は、先輩たちの影響で『三国志』だの『水滸伝』だの『項羽と劉邦』だのといった戦乱英雄物に親しんできました。でも、英雄や将軍が勝ったの負けたのと言ってるけど大勢の人が死んでるよね、なんて思ったりしました。どうも私自身、「忠誠心」とか「自己犠牲」とか「勇猛果敢」とかといった価値観に遠い人間なのかなと感じてきました。その反面、忠臣蔵の物語に出てくる武士の生き方にグッときたりして矛盾しています。

私は、日本刀をどうして美しいと感じるのだろう・・・
11年前にボストン美術館で日本刀を見たとき、深く感動した経験があります。
日本人に目覚めた?
でも、右には行かなかったですね。

読み歩き、食べ歩き、一人歩き(171) ボストンの日本美

あれからつらつら考えてきたのですが、ふと思いついたことがあります。
日本刀の美しさ、それは、孤独の美学ではないでしょうか。
国とか集団のためであれ、誰かのためであれ、何の犠牲になって死のうとも死ぬときは独りです。
日本刀はまさに「機能美」の極致でもあります。
この私が日本刀の機能と一体となるとき、それは死と隣り合わせの孤独に包まれるときです。
絶対的な孤独と実存的な決断・・・
日本刀は、私の実存を切り裂く象徴的な力を持っているのでしょう。
私は私のためにしか生きられないし、死ねないのです。
・・・まあ、つまらない寝言です、ごめんなさい。


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