読み歩き、食べ歩き、一人歩き(299) 行政書士って? | DrOgriのブログ

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おやじが暇にまかせて勝手なことを書くブログです。日々の雑記や感想にすぎません。ちらっとでものぞいてくだされば幸せです。

1999年、10月の最後の日曜日、下北沢駅を降りた私は、商店街を通り抜けて日大文理学部に向かっていました。
生まれて初めて「資格試験」とやらを受けるためです。
その資格は、「行政書士」。

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文学部出身の私は、法律が苦手でした。
というより、法律の世界の「言葉」に馴染めませんでした。
大学院の修士を出て、学習塾で一時期正社員として働いたとき、自分が実社会の仕組みに昏いことを実感しました。
また、塾の同僚には司法試験合格を目指す受験生がたくさんいました。
彼らは優秀で、中高あたりならどの教科の知識も完ぺきでした。
「勉強のプロ」という感じ。
それに比べて、私は「趣味の延長」?

彼らが時々語る法律の世界を、半ば恐れ、半ば憧れつつ、遠くから眺めていました。

その後、いろいろあって、塾を渡り歩いていた頃、漫画『カバチタレ』に出会います。

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この漫画のおかげで、遠いと思っていた法律の世界が、ずいぶんと身近に感じられました。

行政書士に関心を持った私は、社会学の研究と論文執筆の間を縫って、まったくの独学で法律の勉強を始めました。
学校にも通わず、通信講座すら受けず、ただ参考書と問題集だけで地味に勉強していました。
3回目の試験でようやく受かりましたが、年に1回の試験ですから3年かかったことになります。

日大で受けた最初の試験は、まったくチンプンカンプンでした。
もちろん、受かるとは思っていませんでした。
試験は、一般教養問題と法律問題に分かれていますが、とりあえず 一般教養だけでも「それなりの」の点数が取れるかもと思っていました。
しかし、数学や理科まで出題されて・・・。

2回目の試験も散々でした。
おそらく法律に詳しい人からみれば基本的な問題だったのでしょうが、基本的な考え方が分かっていないので択一すらわかりません。
ただ、憲法だけは、高校生に政治経済を教えていたので、基本的な判例も含めて知ってはいました。
しかし、何と言っても難しかったのが行政関連法規です。
やたらに数が多い。
国家行政組織法、国家公務員法、地方公務員法、地方自治法、行政手続法・・・。
それに、行政救済関係;国家賠償法、行政事件訴訟法、行政不服審査法。

ただ、さすがに2回目は、「自分は何が分かっていないのか」が薄ぼんやりでも分かりかけていました。
民法の「物権変動」や「債権」(総論と各論)には難渋しました。
自分の計算では、8点?足りなくて不合格になりました。

2001年の夏の初め、3回目を受けるかどうか迷いました。
受けるなら夏休みの過ごし方が違ってくる。

結局受けることにしたのですが、半分以上「意地」でした。
当時、地方自治法の改正があって、「外部監査」の問題が出るだろうとヤマを張っていました。
当たりでした。
物権変動と債権の消滅は必ず出るので、これも集中的に勉強しました。
行政救済と行政手続法はこの資格の目玉みたいなものなので、大きなウェートを置きました。

おそらく、ぎりぎりで合格しました(東京都、第38**号)。


行政書士は制度ができて60年になるそうです。
日本行政書士会連合会では、昨年60周年の記念懸賞論文を募集しました。
優秀賞に輝いた2つの論文を拝見しました。どちらも力作です。

テーマは行政書士の将来像についてでしたが、歴史と現状にも触れていて、 たいへん勉強になりました。

行政書士は、「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類・・・その他権利義務又は事実証明に関する書類・・・を作成することを業とする(行政書士法、第1条の2)」仕事です。

戦前までの時代を描いた小説などで出てくる「代書屋」「代書人」などに当たります。
役所に対する様々なことを代理でやったりしますし、相談を受けることも業務に入ります(行政書士法、第1条の3の1~3)。

江戸時代から訴訟手続きを代行する仕事として「公事師」や「公事宿」があったそうです。
維新後、明治5年に「代言人」「証書人」「代書人」という仕事が制度化されました。

代言人は弁護士に、証書人は公証人に姿を変えて今日に至っています。

「代書人」が今日の様々なその他の「士業」に分かれてきたのではないかと思います。
これは、懸賞優秀論文の受け売りなのですが、当時の「訴訟代書人」が現在の司法書士に、「一般代書人」が行政書士(また社会保険労務士)に当たるのではないかと思います。

懸賞論文のテーマに「行政書士が勝ち残るためには」というのが選ばれています。
つまり、行政書士という存在がまさに危機を迎えているという意識がそこにあります。
そもそも、行政書士を開業できる人の範囲は広いです。
弁護士、弁理士、公認会計士、税理士は行政書士として登録・開業できます。
また、公務員のOBも、携わってきた業務によっては行政書士になることができます。


ただ、私が一番残念に思っていることは、たとえば司法書士などと比べても独占できる業務が少ないことです。
私が受験勉強をしていた頃よく聞いたのは「車庫証明」でしたが、これは本人でもできます。
大量にしなければならない中古車販売業者が依頼してくることで仕事になっていたようです。
今はどうなんですかね。

懸賞で優秀論文とされたある文章では、「総務書士」という名称が提案されていました。
これは、行政書士に期待される「総合的」で「日常的」なサービスを意識したものです。


「士業」も官庁の「縦割り」になっています。

行政書士の主務大臣は総務大臣です。

1968年以降に行政書士から「分かれてきた」と言ってもいい社会保険労務士の場合は厚労大臣です。

もちろん、司法書士では、法務大臣です。


開業していない身の気軽さで言えば、各士業(たとえば、司法書士・行政書士・社会保険労務士・海事代理士など)を横断した「総合法務書士」のような士業の統合を検討したらどうでしょうか。
各士業の利害があるから難しいかな・・・。


日本行政書士会連合会(公式サイト)


財団法人行政書士試験研究センター

今年の試験は11月11日(日)です。



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