読み歩き、食べ歩き、一人歩き(166) No Nukes, or ...? | DrOgriのブログ

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3月28日(水)、東大(本郷)の経済学研究科棟で「コンポジウム」という面白い催しが行なわれました。
テーマは原発。
「原発事故で何が吹き飛んだか? ~日本社会の隠蔽構造とその露呈~」
(13:30-17:00, 東京大学・本郷キャンパス・経済学研究科棟第一教室)

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主催者の一人に、あの「東大話法」批判で一躍時の人になった安富歩さんがいます。

私は大幅に遅刻して、原発と地震について科学的な話があらかた終ったところで会場に入りました。
早川由紀夫さん(群馬大学教授)と真鍋勇一郎さん(大阪大学助教)のお話は聴けませんでした。
聴けたのは、福島の高校の先生である赤城修司さんのお話と、千葉泉さん(大阪大学教授、歌手)の歌(パフォーマンス付)、島薗進さん(東京大学教授)のお話、そして「レコード音楽研究家」高橋健太郎さんのユニークな話、そして最後に千葉さんの歌とパフォーマンス。

なかなかユニークで面白く、新しいメッセージ伝達方法だと思います。
強烈だったのは、赤城さんの「作品」である「福島の土」です。
プラスチックの器に入った土にガイガーカウンターを近づけると音がします。その音をサンプリングして「音楽」にしてしまいます。
放射線は目に見えません。計則機器の目盛りと音しか、我々の五感に入ってきません。
不謹慎に思う向きもあるかもしれませんが、音楽ではなくサウンドオブジェのような作品としてとらえる方がよいと思います。
そこには、見えないものへの感性を問うという逆説的なメッセージが込められているような気がします。

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福島市在勤の赤城さんは、自分の心の葛藤を率直に語ってくれました。
自分の子どもを避難させたい。しかし、学校や行政当局は曖昧な方針のままです。教師として、また親として、 「この学校でみんながんばろう」なんて、本当に言えるんだろうか?
大変なストレスだろうなと思いました。放射線の話を日常生活と業務でどんなに「避け」て も、高線量が存在することは誰の目にも明らかです。
国や行政は「本当のこと」を隠しながら、言葉では「がんばれ」とか「復興」とかと言う。もしそうなら、何やら昔の「大本営」と同じ響きがしますね。

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島薗さんの話は、先回聴いたのとほぼ同じ(安全説=閾値論=原発村の利害)ですが、あれから自分なりに勉強したことと考え合わせると、いかに学者というものが利害や権力に弱いかを改めて思い知らされました。ICRPよりも緩やかな安全基準を求める動きが有力化していること、そしてそれが一定の政治的な背景を持っていること、これらを更に厳しく見ていかなければいけません。
安全説には、「内部被曝」の軽視ないし隠蔽が大いに関係があると思うのですが、その話はありませんでした。
時間も限られてましたしね。私も勉強しないと。

音楽研究者である高橋さんのお話はたいへん面白く、示唆に富んでいました。
彼はご自分の「科学少年」ぶりを振り返り、現在の反原発にいたる道筋を説明しました。
エジソンは最初のレコード会社と最初の電力会社を創始しました。今や、レコードはその歴史的使命を終えようとしています。そして、エジソンの創始したもう一つの「業界」である電力についても歴史が変わりつつあるのではないか。もちろん、それは「原子力」業界の終焉です。
アメリカの原子炉事故に際して、アメリカのミュージシャンたちはいち早く行動を起こしました。
日本のミュージシャンはどうでしょうか。
「頑張れ東北」コンサートの類はあまたやられていますが、「反原発」は?
彼は、記録を生産し消費するという「押し付けられた」音楽体験ではない、もっと「創造的な」あり方を模索しているように思われます。それは、電力も同じ?
私の勝手な解釈ですが、高橋さんの話は「文明論」的な広がりを持っています。


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この「コンポジウム」の仕掛け人にはもう一人、岩上安身さん(IWJ代表)がいます。
よくテレビの討論番組などで見かけるあのスキンヘッドの人です。
そういえば、安富さんもなかなかユニークなファッションでした。
長生きしたチェ・ゲバラみたい(失礼!)
この2人の仕掛け人も最後に一言ずつ話しました。

安富さんは、東大教授でありながら東大話法を痛烈に批判しましたが、それは「内側から」の抵抗という実践でした。今回、彼はそれを「jam」と表現しました。コピー機に紙が詰まることをjamと言いますが、安富さんは歯車にパチンコ玉が噛んで回転が止まることを例に挙げました。自分の今いるその場所で行動すべきということなのでしょう。

岩上さんも、メディアについて、日常での「内なる抵抗」を強調しました。
彼は巨大メディア(テレビ各局、大新聞など)を「見ないこと」を推奨します。
日常生活のなかで「当然と思って」または「考えもせずに」やっていることを一旦疑ってみよう、やめてみようという提案をしていました。


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会は盛況でした。
200人くらいは会場にいたんではないでしょうか。
Twitterなど、ネットと連動しています。
「運動」のあり方としても面白いです。

そうだ、せっかくだから本を持っていって安富さんにサインをもらっとくんだった。
(いい歳してミーハーだなあ。)

安富さんの本『原発危機と「東大話法」』の過去記事はこちら


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東大生気分で、喫茶「麦」へ。

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