バロック最終日の感想(2)
吉祥寺バロック閉店までの連続入店。12月30日、最終日。
いよいよ、バロック最後の「第九」。バロック最後のレコード再生です。
LP提供者から「いつもより一段と音量を上げます」とのこと。
「辛い人は無理なさらず頭を下げてください」
「え? まるで雷みたい・・・」
はたして物凄い音量でした。本当に落雷のような爆音。
演奏はというと、かすかな記憶ですが、EMI盤とはなんとなく違っています。
第一楽章のテンポは意外に落ち着いています。というか、意外に「タメ」が少なく、全楽章通じてインテンポを維持しようとしているかに聞こえました。
むしろ「前に行こうとする」雰囲気さえあります。もちろん、要所ではタメやリタルダンドやアッチェレランドはありますが。
高音が鋭く聞こえてきます。特に第一ヴァイオリンが目立ちます。第一楽章と第二楽章では特に。
トゥッティが消えて木管が聞こえるとホッとします。木管の音とフレージングが美しいです。
第三楽章のテンポはさすがに遅いです。出だしからしばらくは拍がつかめないくらいですが、違和感はありません。
中低弦の和声も(時折ですが)素晴らしい響きを聴かせてくれます。中低弦が聞こえるところはホッとします。
フレージング(歌い方)は夢のようにロマンティックです。ポルタメントもすごく自然で適切な感情の発露の聞こえます。
第四楽章の嵐のような出だしもバスのレシティーヴォも少し速めですが落ち着いた感じです。バスの歌声は明るく明快です。
第四楽章もテンポは意外に揺れません。揺れるときは「大きな括り」で揺れます。
合唱もやはり高音が目立ちます。録音のせいなのか再生装置のせいなのか。
ソリストたちの声と歌い方も魅力的です。とくにバス(オットー・エーデルマン)が素晴らしい。
最後のトゥッティのアッチェレランドはつとに有名ですが、この盤ではそれほど「唐突」に終わった感じはありませんでした。
EMI盤にあった拍手は、この盤ではありません。
フルトヴェングラーやレコードとは直接関係ないのですが、「第九」は意外とリズムが面白い曲です。
演奏するか歌うかでスコアを見た人は気が付くでしょうが、「裏拍」が効果的に使われています。
第一楽章の展開部(フガートになっているところとか)、第二楽章のトリオ、第三楽章の裏メロ、第四楽章の冒頭やテノールの「行進曲」(八分の六拍子)以後・・・。
「裏拍」から入るパートやフレージングが多いです。もちろん、それを強調したりすると「クラシック」ではなくなりますが。
第九はそれが自然に聞こえる音楽の作り方をしているのです。
ベートーヴェンは、やはり深い!(素人の思いつきです、あくまでも)
バロックに通った半世紀は、私の音楽経験のほとんどを占めます。
バロックのおかげで、青春が50年も続いたと言ってもいいのかも。
ここで知った数々の名曲と名演奏は、生涯の宝です。
ありがとうございました。
フルトヴェングラー指揮のもう一つの名演
「ルツェルンの第九」
1954年8月22日
エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
エルザ・カヴェルティ(アルト)、
エルンスト・ヘフリガー(テノール)
オットー・エーデルマン(バス)
ルツェルン音楽祭合唱団
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1954年8月22日、ルツェルン、クンストハウスでのライブ録音
店内外の天使と女神たち





