30年前に来院されて以来、身体の不調の際おいでになる患者さんに、櫻井秀夫さんという方がいる。東京・吉祥寺で宝石・時計サロン『帝国堂』を経営しておられる方で、地元の名士である。温厚で恰幅がよく、いつも笑顔を絶やさない姿には親しみを感じている。そして治療だけでなく、今日でもお付き合いさせていただいている。
32年前、私がまだ開業して2年足らずの頃、「首が動かない」と言って、頭を片側に曲げて辛そうに来院された。「先生!昨日から急に首が曲がったまま動かないんですよ」「何とかなりますか?」と聞いてこられたので、「何とかするのではなく、何とかしなければいけないでしょう!!」と答えたのを覚えている。その後、仕事の合間を縫って私の言うとおり通われ、すっかり良くなった。
受け答えにこれだけ丁寧な方はおられるのかと思ったほどで、これが商いでいう「おもてなしの心」を持った人である。その後、地元の多くの方を紹介していただき感謝している。今は、私も新宿に本部を移したので、櫻井さんとお会いする機会が少なくなったが、今でも櫻井さんの気配り・思いやりが思い出される。
Dr.中島の思い出日記(15)