忘れられない患者さん5おもてなしの心を持つ患者さん | 中島旻保の大人の絵日記

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医療者でありながら一方では、政治経済のことになると言いたい事が沢山あるそんな中島旻保のコラムとも言える絵日記


中島旻保の大人の絵日記-忘れられない患者さんたち5


 30年前に来院されて以来、身体の不調の際おいでになる患者さんに、櫻井秀夫さんという方がいる。東京・吉祥寺で宝石・時計サロン『帝国堂』を経営しておられる方で、地元の名士である。温厚で恰幅がよく、いつも笑顔を絶やさない姿には親しみを感じている。そして治療だけでなく、今日でもお付き合いさせていただいている。
 
32年前、私がまだ開業して2年足らずの頃、「首が動かない」と言って、頭を片側に曲げて辛そうに来院された。「先生!昨日から急に首が曲がったまま動かないんですよ」「何とかなりますか?」と聞いてこられたので、「何とかするのではなく、何とかしなければいけないでしょう!!」と答えたのを覚えている。その後、仕事の合間を縫って私の言うとおり通われ、すっかり良くなった。
 
受け答えにこれだけ丁寧な方はおられるのかと思ったほどで、これが商いでいう「おもてなしの心」を持った人である。その後、地元の多くの方を紹介していただき感謝している。今は、私も新宿に本部を移したので、櫻井さんとお会いする機会が少なくなったが、今でも櫻井さんの気配り・思いやりが思い出される。


Dr.中島の思い出日記(15)