みのり先生の診察室 -12ページ目

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

先日遠方から来られた患者さん。

 

地元の病院に通院されていたのですが、症状が改善せず手術を勧められました。

 

病状と手術の説明用紙を持参されていたので見せてもらったら「脱肛III度」と記載されていました。

 

内痔核外痔核との記載もありました。

 

 

診察前の問診で症状を聞いていると、どうも脱肛ではないような様子。

 

下剤でドロドロの便を出しておられたので肛門が狭くなっているかもしれないと思い、前医の診察でどうだったのか尋ねたところ

 

「僕の小指が入るから大丈夫」

 

とだけ言われたと。

 

 

肛門鏡はどうだった?

ちゃんと入った?

痛くなかった?

 

と聞いたら

 

 

「肛門鏡って何ですか?

指しか入れてもらったことがないです」

 

 

ポーン

 

 

え?

じゃあどうやって内痔核の診断をしたんだろう??

 

 

脱肛III度と言われて手術という話なので、当然、排便時に脱出してきて、出てきた痔核(イボ痔)を指で押し込んでいるのかと思いきや

 

「そんな症状は一度もありません。」

 

ポーン

 

 

頭の中が??だらけになる私。

 

 

えっ!?

じゃあ、脱肛してないよね??

 

 

「でっぱりを中に押し込むように言われたんですけど、押し込んでも押し込んでも中に入らず、すぐに外に出てくるんです」

 

 

うーん。

患者さんの訴えを聞いていると、どう考えても脱肛ではなく切れ痔(裂肛)なんだけど・・・

 

 

話をいくら聞いていてもお尻を診ないと分からないので診察上差し

 

 

なんと・・・

 

脱肛なんてなく、

中に内痔核もなく、

切れ痔(裂肛)と見張りイボ、肛門ポリープでしたガーン

 

しかも肛門が狭いあせる

 

長年ドロドロ便を出してきた結果です汗

 

肛門鏡は何とか入るけど開かないあせる

 

診察中に患者さんが

 

「こんな診察、受けたことないです」

 

ゲッソリ

 

 

うーん

肛門鏡を入れない肛門科なんてあるのか!?

 

衝撃を受ける私・・・。

 

 

肛門鏡で中を確認。

 

大きな切れ痔(裂肛)と奥には肛門ポリープがありました汗

 

 

そしてもれなく肛門の中は便まみれうんち

 

これじゃあ切れ痔(裂肛)は治りません。

 

 

坐剤を入れて便を出してきてもらい、肛門を拡げる肛門マッサージを教えて家で毎日やってもらうことに。

 

切れてても便を出し切ってキレイにしてあげるだけで不思議と痛みはないんですよね。

 

多くの患者さんが「痛くない!と笑顔で帰って行かれます。

 

 

この患者さんも笑顔で帰って行かれました。

 

もっと早く来れば良かったとしきりに言っておられましたが・・・。

 

 

私が衝撃を受けたことは、肛門専門施設なのに肛門鏡の診察をしていないこと。

 

脱肛と裂肛を間違えて診断していたこと。

 

こんな症例に脱肛手術を勧めていたこと。

 

 

しばらく頭の中が大混乱うずまき

 

だって信頼している肛門専門施設だったから。

 

オススメしてきた肛門科だったから。

 

 

切れ痔(裂肛)といぼ痔(痔核・脱肛)を間違うことなんてありえないし、小指で診察をすることもよほどのことがない限りありません。

 

肛門鏡を入れないと中は確認できません。

 

 

そして患者さんが中に押し込むよう言われたものは「見張りイボ」でした。

 

これ、イボ痔(痔核・脱肛)ではありません。

 

切れ痔(裂肛)の炎症でできた皮膚のたるみです。

 

イボ痔とよく間違えられるから「見張りイボ」という名前が付いたのでしょう。

 

イボ痔とよく似た皮膚のたるみが外側にあると「この奥切れてますよ」「昔、ここ切ってましたよ」という切れ痔(裂肛)のサイン

 

これ自体は痔ではありません。

 

 

外側にできている皮膚のかたまりなので、押し込んでも中に入りません。

 

そんなことすると奥に切れ痔(裂肛)があると余計に痛い、治らないあせる

 

 

患者さんも「おかしいなぁ」と思っていたそうです。

 

 

しかもですよ。

 

肛門鏡で中を診てないのに小指で内痔核があると診断できません。

 

 

私は肛門鏡で中を診ましたが内痔核はありませんでした。

 

あったのは肛門ポリープ。

 

肛門ポリープなら指で触って分かります。

 

それを「内痔核」と先生が言ったのでしょう。

 

 

結論として

 

脱肛ではない

だから脱肛の手術は不要である

 

ということなのですが、この患者さんは私の外来に来られたので判明しましたが、そのまま医者の言うままに手術を受けている人もいるでしょう。

 

 

これは医師に診断能力が無かったのか、知りながら手術と言ったのか、どちらなのかは分かりません。

 

ドクターが大勢いる病院なので、もしかして若手の先生で経験不足かも・・・と思って、「若い先生でした?」と聞いたら「いいえ、結構年配の先生でした。おじいちゃん先生」と。

 

うーん・・・

 

 

そこの病院の院長とは親しいので次に学会が会った時にお話ししようと思います。

 

 

肛門専門病院でこんなことしたら、患者さんからの信用を無くしてしまいますガーン

 

 

肛門って自分で中を確認できないから、医者から言われたことを信じてしまうもの。

 

逆に言うと医者の話の持って行きようで、いくらでも手術を増やせるということでもある。

 

以前、こんな記事を書きました↓

 

 

肛門科ってある意味「良心を試される仕事」だと思います。

 

悪いことしようと思ったら患者さんにバレずにいくらでもできる。

 

手術する方が儲かりますから、医者の話の持って行きようで手術は増やせますから。

 

専門家かどうか

専門医を持っているかどうか

専門施設かどうか

 

そういった基準ではなく

 

まじめに良心的に肛門診療をやっているのか?

 

という視点で肛門科を選ぶべきですね。

 

 

肛門だけは専門の先生にかかってほしいと思ってこの記事を書きましたが、書き換えないといけないかもしれません。

日本の肛門科の歴史と現状〜専門の医師を見分ける〜

 
皆さんも医者から手術と言われても、その場ですぐに手術の申し込みをせず、あと1軒でも2軒でもいい、別の病院やクリニックを受診して違う先生の意見を聞いて下さいね。
 
診断も治療も全然違う結果になるかもしれないから。
 
 

 

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