インフルエンザと子どもの『異常行動』──なぜベランダから飛び降りてしまうのか?親が今できる対策 | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

インフルエンザが流行し始めましたね。

 

学級閉鎖になっている小中学校もあるようです。

 

そんな中、ちょっとショッキングなニュースがあったのでご紹介。

 

医師サイトに掲載されていた医療ニュースをシェア。

 

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インフルの小1男児転落 東京・杉並のマンション

2025年11月18日 (火)共同通信社

17日正午ごろ、東京都杉並区のマンションで「子どもが落ちた」と住人から110番があった。警視庁杉並署によると、4階の自宅ベランダから、小学1年の男児が転落した。脚などにけがをし、搬送時意識はあったが、会話ができない状態だった。インフルエンザで学校を休んでいたといい、署が経緯を調べている。

 当時、母親は薬をもらうために外出しており、男児は1人だった。男児はマンション敷地の植え込み付近で見つかった。

 厚生労働省によると、子どもがインフルエンザにかかった場合、薬の服用の有無や種類にかかわらず、急に走り出したり、部屋から飛び出そうとしたりすることがある。玄関や窓の施錠を徹底し、ベランダに面していない部屋で寝かせるなどの対策を呼びかけている。

 現場は東京メトロ丸ノ内線東高円寺駅から南に約800メートルの住宅街。小中学生の息子がいるというマンションの住人女性は「自分にも幼い子がいたら、家で寝かせて薬を取りに行くだろう。人ごとだとは思えない」と話した。


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お子さんを持つ親御さんは心配な記事ですね。

 

ちょっと調べてみました。

 

 

  「インフルエンザの異常行動」とは何か

 

インフルエンザの異常行動とは、普段のその子からは想像しにくいような、突発的で危険を伴う行動や、意味不明な言動が出る状態を指します。

代表的な例として、以下のようなものが知られています。

 

・急に走り出して部屋や家から飛び出す

 

・ベランダや窓から外に出ようとする・飛び降りようとする

・意味不明なことを言う、うわごとを言う

・突然大笑いしたり、激しく泣き出したりする

・家の中や外を徘徊するが、話しかけても反応が鈍い

 

親から見ると「性格が変わったみたい」「夢遊病みたい」という表現になることも多く、実際に睡眠直後〜覚醒直後に起こりやすいとされています。

 

 

  どれくらいの頻度で起きているのか

 

「飛び降り」「転落」というショッキングなニュースが続くと、あたかも頻度が高いように感じますが、実際はインフルエンザ患者全体から見るとかなり稀な現象だそうです。

厚生労働省の過去のまとめでは、

・抗インフルエンザ薬が広く使われるようになって以降の8シーズン(2009年〜2017年)で、異常行動に関連すると考えられる転落死などが8件報告された

・その一方で、同じ期間にインフルエンザにかかった患者数は数百万人規模

とされています。

 

 

さらに、2018〜2019年シーズンまでのデータでも「重度の異常行動」の報告はあるものの、インフルエンザ全体の患者数と比べれば、ごく一部に限られることが報告されています。

 

つまり、

「どの子にも起こりうるが、実際に起きるのはごく一部。
ただし、一度起きると命に関わる危険がある」


という性質のものだと理解しておくのが現実的です。

 

 

  原因はタミフルなどの薬なのか?

 

かつては「タミフルを飲むと飛び降りる」といったイメージが強く、10代へのタミフル投与が制限されていた時期もありました。

しかしその後の調査で、

・抗インフルエンザ薬を飲んでいない子にも異常行動は起きている

・薬の種類によって、異常行動の頻度に大きな差はない

といった事実が確認され、薬と異常行動の因果関係は明らかではないと結論づけられています。

現時点で有力なのは、次のような仮説です。

 

・高熱や全身の炎症による「熱せん妄」の一種

・インフルエンザ脳症の初期症状としての異常行動(ただし、脳症は主に乳幼児に多い)

 

いずれにせよ、「薬を飲ませるから危ない」ではなく、「インフルエンザという病気そのものが、ときに脳の働きを一時的に乱し、異常行動を引き起こす」という捉え方が、現在のコンセンサスに近いと言えます。

 

 

  いつ・どんな子に起こりやすいのか

 

厚労省や各種研究のまとめから、次のような傾向が見えてきています。
 

年齢:

小学生〜10代前半、とくに10歳前後の男児が多い
(ただし、女児や未就学児に起こることもある)

 

時期:

発熱してから 2日以内 に集中している

 

状況:

夜間〜明け方、入眠直後〜眠りから覚めた直後

一見、熱が少し落ち着いてきた頃に起きることもある

この「発熱後2日以内」という時間帯は、厚労省も「少なくとも治療開始後2日間は、小児・未成年者を一人にしない」と明記して注意喚起を行っているほど、リスクが高いゾーンとされています。

 

 

  親ができる具体的な対策

 


厚労省や各種医療情報を踏まえると、家庭でできる対策はかなり具体的です。
 

① 発熱から2日間は「一人にしない」が基本

 

できる限り、大人の目が届く範囲に必ず誰かがいる状態にする

夜間も、できれば同じ部屋・隣の布団で寝るなどして様子を見守る
 

 

② 玄関・窓・ベランダへの動線をしっかりブロック

 

玄関ドアは必ず施錠し、チェーンやサムターンカバーなども活用する

ベランダに出られる掃き出し窓には補助錠をつける

子どもの手の届かない高さに鍵を追加する

可能であれば、ベランダに面していない部屋や窓に格子のある部屋で寝かせる

戸建てなら、できるだけ1階で過ごさせる
 

 

③ 寝かせる部屋の工夫

 

ベッドや布団のすぐそばに窓・ベランダの出入口がない配置にする

階段や吹き抜けが近い場合は、そこにも柵やゲートを設置

 

 

④ 夜間の「見守り体制」を家族で共有

 

両親・祖父母など、見守りができる大人がいれば交代制で

どうしても一人親で難しい場合は、

できるだけ短時間の外出にとどめる

近所や親族に一時的な見守りをお願いできないか、平時から相談しておく

 

 

  今回のケースから考えたいこと 

 

「お母さんを責める」より先に考えたい現実

ニュースを見て、
 

「薬を取りに行くくらいで子どもを一人にしたのはダメだ」
 

という声も出がちですが、現実には

・ひとり親世帯

・近くに頼れる家族がいない

・仕事を抜けて、急いで薬だけ取りに行かざるを得ない

といった家庭はたくさんあります。

厚労省も「一人にしないこと」を推奨していますが、これは理想的な安全対策であって、すべての家庭が常に完璧に守れるとは限りません。

だからこそ、
 

「絶対に一人にするな」と親を責める
 

のではなく、

どうしても一人にしてしまう可能性がある現実を前提に、住宅環境の工夫や、地域・社会のサポートをどう整えるかを考える必要があります。
 

 

  こんなサインがあれば、すぐ受診・相談を

 

インフルエンザの異常行動は、多くの場合は短時間でおさまりますが、次のような場合は、救急受診や救急車の要請をためらわないでください。

・意識がはっきりしない状態が長く続く

・何度も意味不明な言動や奇妙な行動を繰り返す

・けいれんが5分以上続く、または何度も繰り返す

・呼びかけへの反応が乏しい、ぐったりしている

・明らかに頭を強く打った・落下した

 

電話で相談できる窓口(#8000 などの小児救急電話相談)も活用しながら、迷ったら「ちょっと大げさかな?」と思うくらいで相談して良い症状です。

 

 

  恐れすぎず、しかし「物理的な安全対策」は徹底を

 

インフルエンザにかかった子どもに、稀ではあるものの「異常行動」が起こることがあります。

・とくに発熱後2日間、夜間〜明け方、10歳前後の男児で目立つ

・原因は薬というより、熱や炎症による脳の一時的な混乱と考えられている

一度起これば命に関わる事故につながり得るので、

・発熱後2日間は一人にしない

・玄関・窓・ベランダの施錠と、寝る部屋の工夫
 

が非常に重要

今回のニュースは決して「他人事」ではありませんが、
同時に「インフルエンザ=必ず飛び降りる」というものでもありません。

正しい知識と現実的な対策を知ることで、過度な不安に振り回されずに、子どもを守る準備をしていきましょう。

 

 

最後に元国立公衆衛生院 駅学部感染症室長 母里啓子先生のご著書「インフルエンザワクチンは打たないで」(双葉社)の「脳症とインフルエンザは別の病気です」73〜77ページから重要な部分を抜粋します。

 

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・インフルエンザの感染から脳症になった子どもの脳を調べると、インフルエンザウイルスが入り込んでないし、炎症も起こしていません。

 

インフルエンザ脳症は、日本で特に多いという事実があります。他の国では、インフルエンザの時期に脳症がたくさん起こるということはありません。インフルエンザの時に多いのは日本だけなのです。しかも日本でも昔は見られなかった病気です。

 

・このことからインフルエンザ脳症の原因はインフルエンザそのものではなく、日本で使われてきた一部の解熱剤が原因ではないかと考えられてきました。

 

・今では、非ステロイド抗炎症剤系の解熱剤が脳症を引き起こす原因の一つであることはほぼ確実

 

・タミフルとの関係が疑われている例が多数あります

 

・インフルエンザワクチンでは脳症は防げません。

 

・厚労省研究班での調査では、ワクチン自体には脳症を防ぐ効果はない、との結果がはっきり出ました。

 

・6歳以下の幼児ではインフルエンザワクチンの抗体は作られにくいので効果が低いこと、特に1歳未満の乳児にはワクチンの効果がはっきりしない

 

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以上、参考にして下さい。

 

こういうニュースが報じられると「やっぱりインフルエンザは怖い、ワクチンを打たないと」となる人が増えるので、是非とも母里先生の本を読んで下さい。

 

 

 

 

 

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