今、開業医が大変だと医師掲示板で話題になっていました。
開業医にも色々あって、うちの診療所のように入院施設を持っているクリニックもありますが、大部分は皆さんが思っている「町医者」だと思って下さい。
医師の間では経営難で今にもつぶれそうなクリニックを「つぶくり」と言い、はやっていてウハウハ儲かっているクリニックは「ウハクリ」と呼ばれています。
医師アンケートで7割くらいの開業医が減収だと答えていましたから実際に大変な状況なのでしょう。
うちの診療所は自由診療で保険診療を全くやっていないので、昔から大して儲かることもないですし、幸いつぶれずにやってこられました。
とは言え、経営者である院長(主人です)は税金を払ってない時期が長かったので、全く儲けがなかった・・・とも言えます
つまり売上げからコスト(人件費や光熱費、家賃、リース代など)を引いたらゼロになる・・・ということですね。
「つぶクリ」だったけれど何とか持ちこたえて今があります。
「ウハクリ」になったことは一度もありませんね
28年前に大阪肛門病院を継承した当時は赤字でしたので
もうつぶれる寸前でしたから
主人の父が大学時代にくも膜下出血で急死し、その後、病院は大変だったようです。
ある意味、仕方ないです。
よくぞつぶれずに継承できたと思います。
そのあと、病院を守って下さった副院長だった田井先生のおかげですね。
私たちが継承した当時、病院がつぶれそうだ・・・ということで大勢居た職員が蜘蛛の子を散らしたように辞めていき、残ったのは受付兼薬剤師一人、婦長一人、看護師二人でした。
当然人手不足で病院の業務が回りません。
そこで私が手伝いとして入ることになったんです。
医師としてではなく診察介助やオペの前立ち(助手)、採血や点滴、心電図などの検査をやるために。
当時は赤字だったので1年ほど無給で働きました。
病院をあけていても患者さんが誰も来ないという、いわゆる「坊主」の日もあり、このままでは病院が潰れてしまうのではないか・・・と不安で、1歳になったばかりの長男を抱え、「このまま夜が明けなければいいのに・・・」と夜を過ごした日もありました。
明日は患者さんが来るだろうか・・・
来てくれなかったらどうしよう・・・
と毎日毎日不安でしたね
半年ほどで新しいスタッフも集まり、患者さんも徐々に増え、よしこれでもう大丈夫
私の手伝いは必要ないから皮膚科に戻ろう
と思っていたら・・・スタッフを患者さんから「先生、辞めないで
」と言われ自分の進路を考えました。
阪大に戻って大学院に行きたいと思っていたから。
ちょうどその時、形成外科の先生から「皮膚科から独立して形成外科教室を立ち上げようと思ってるんだけど、先生、来てくれない?一緒にやろう。手伝って欲しい」と言われていたのでどうしようか悩みました。
当時は皮膚科と形成外科が同じ教室で、皮膚科の中に形成班があったんですよ。
私は形成班の先生方にもすごくかわいがって頂き、ナートの基本は形成外科の先生に教えてもらいました。
すごくラッキーだったと思います。
手術が好きになったのもその経験が大きいです。
だからすごく悩みました。
だって私、皮膚科医だったので
悩んでいる私に古くからいる番頭さんのようなスタッフから「先生が居ないとここの病院はダメになる。ここに残って、ここで大輪の花を咲かせて下さい。皮膚科は何も先生がやらなくてもやりたい女医さんがいっぱいいる。でも肛門科は誰もやりたがらない科。女医さんなんてほとんど居ない。先生の存在は大きく患者さんから必要とされている。」と言われ、人がやりたがらない、人がいやがる仕事を選ぼう・・・そう思って皮膚科医をやめて肛門科医に転身しました。
当時、肛門科の女医さんが本当に少なくて、全国で5人しか居なかったので。
患者さんからのニーズは大きかった。
肛門科医に転身したあとも2〜3年くらい、阪大医局から人手不足の時に地方病院の皮膚科外来のバイトに行ったりして2足のわらじを履いていたのですが、肛門科の専門医を取るために外科の研修に行くことになって、潔く皮膚科を辞めて肛門科一本で行くことにしました。
今となってはあの時の決断は間違ってなかったと思いますね。
肛門科医の仕事は天職だと思ってるので
「自分がやりたいこと」を選んだわけではなかったけれど、人から必要とされて、人に喜んでもらえることが嬉しくて、それが生きがいとなり、いつしか仕事が楽しくなっていった。
気付けば「自分がやりたいこと」になっていたという結末
どんな仕事も「やりたいこと」や「好きなこと」ではなかったりすると思うんですよね。
でもそれを楽しんだり好きになったりする工夫は誰にでもできると思う。
気持ちの持ち方一つ。
人様からお金を頂いて仕事をさせて頂いているからには、価格に見合ったものを、他にはない価値を提供したい。
そんな風に思って診療に向き合ってきました。
師匠の増田先生にもたくさんいろんなことを教えて頂きましたが、今の私たちの説明の技術は患者さんとの対話の中から生まれました。
まさしく患者さんに育ててもらったようなもの。
しかもお金を頂いて。
患者さんたちには感謝です
患者さんのリクエストで復活させた
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