先日、参加してきたオーソモレキュラー医学会で柳澤厚生先生が講演されたアルツハイマー病をはじめとする認知症についての内容が素晴らしかったのでブログで採りあげたいと思います。
柳澤先生からも許可をいただきました。
認知症とは「記憶、言語、判断力、実行機能、見当識などの認知機能が進行的に失われること」。
アルツハイマー病の診断は認知症の症状だけでなく、脳の海馬の縮小所見によって行われます。
海馬に異常が発生しても初期は無症状です。
なんと、40年くらい経過して認知機能低下という症状が出てくるというのです。
症状が出てからは5年くらいで進行し認知症という診断に。
つまり、診断の40年前から始まっているということ。
ならばその時点で認知機能の変化を検出できないか?という取り組みが始まっています。
40歳に検出できればアルツハイマー病は予防できるのではないかと言うのです。
様々な研究から認知症の症例の最大73%が予防可能であると推定されています。
デービッド・スミス博士はビタミンB群を投与することによって1年間の脳萎縮を防げたと発表されました。
投与したのはビタミンB6、B12、葉酸。
脳をアップグレードするための8つの基本原則として発表されたのが次の項目です。
①「低糖質食と低GL食」(低炭水化物・低GI負荷の食事を摂る)
②「脳の栄養」(オメガ3、リン脂質、ビタミンDを増やす)
③「ビタミンB」(ホモシステイン値を低く保つ)
④「抗酸化食」(抗老化作用のある抗酸化物質やポリフェノールを摂る)
⑤「健康な腸」(健康な腸は健康な脳の基盤)
⑥「活動的な身体」(運動をし、身体的に活発でいる)
⑦「活発な思考」(社会的・知的に活発でいる)
⑧「睡眠と穏やかさ」(良質な睡眠をとり、冷静で、目的を持って生きる)
年齢と共に脳は萎縮していくのですが、正常な加齢だと年間約0.5%が萎縮します。
それが軽度認知障害(MCI)だと年間約1%萎縮します。
そしてアルツハイマー病になると年間約2.5%萎縮していきます。
この脳萎縮の進行の遅延はホモシステインレベルに依存することが分かりました。
ホモシステインというのは必須アミノ酸であるメチオニンの代謝過程で生成されるアミノ酸の一種で、悪玉アミノ酸とも呼ばれます。
ホモシステインには髪、爪、肌などの材料となるシステインの合成に関わったり、エネルギー産生に関わるα-ケト酪酸の前駆体となるなどの役割があります。
ところがホモシステインが蓄積すると動脈硬化や血栓性病変など心疾患の危険因子となります。
また脳に炎症が起きている場合や、脳が栄養不足に陥っていると数値が高くなることが分かっています。
ホモシステイン値が高い状態を放置すると、脳や血管にダメージを与え、アルツハイマー病を発症しやすくなります。
つまりホモシステイン値は低いほど良い。
ホモシステイン値が高いと脳の萎縮率が高くなる。
この悪玉アミノ酸であるホモシステインを下げてくれるのがビタミンB群。
ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸です。
ビタミンB群を投与したグループはアルツハイマー病関連領域の脳の萎縮が約9倍少ないことが分かりました。
そしてホモシステイン値が11.5を超えると脳の萎縮が加速することが分かっています。
理想は7以下に保つこと。
60歳以上の人はホモシステイン値が高い傾向にあります。
ホモシステイン値が10を超える場合はビタミンB12(500mcg)、ビタミンB6(20mg)、葉酸(400mcg)の投与が推奨されています。
ホモシステイン値が上がるとこんなに様々な精神的・身体的疾患リスクがあります↓↓
ホモシステイン値は子どもや妊婦にも影響があることが分かりました。
なんと、ホモシステイン値が高いほど成績が低下する。
またホモシステイン値が高い女性から生まれた子どもは引っ込み思案、不安、抑うつの傾向が顕著で社会的な問題や攻撃的な行動が増加しています。
特にホモシステイン値が12.4を超えると流産リスクが4倍高くなります。
高齢者においてはホモシステイン値が高くなると記憶力が低下します。
ホモシステインを低下させる作用のある栄養素は次の7つ。
葉酸
ビタミンB12
ビタミンB6
ビタミンB2
亜鉛
トリメチルグリシン
NACまたはグルタチオン
また脳に重要な栄養素がオメガ3。
オメガ3が低いとビタミンB群を投与しても効果がありませんでした。
オメガ3が高い人にビタミンB群を投与すると脳の萎縮率が73%減少し、認知機能のさらなる低下が見られず、30%が認知症評価でゼロの状態に達しました。
軽度認知障害(MCI)を持つ人に対し、葉酸(800mcg)、オメガ3DHA(800mg)を投与し、知能指数などに与える影響を調べたところ、各栄養素を単独で投与するよりも、オメガ3DHAと葉酸を併用したほうが大きな効果を発揮したことが分かりました。
ちなみに脳の脂肪が何によって構成されているかというと↓
脳だけではありません。
全ての細胞の膜はリン脂質に結合した脂肪酸によって構成されています。
オメガ3指数というのがあって、これは赤血球の膜の脂肪のうち、オメガ3であるDHAまたはEPAが占める割合を指します。
日本人は魚をよく食べるのでオメガ3指数が10%以上ですが、欧米人は4%程度、そして犯罪者は2%。
健康であるためにはオメガ3指数は8%以上必要です。
脳や認知症に関してもオメガ3が認知症のリスクを20%低減し、オメガ3指数が脳の白質量と優位に相関していて、認知機能にも関連していると言われています。
またオメガ3EPA(900mg)は健康な若年成人の全般的な認知機能を改善することが英国の研究で分かりました。
さらにオメガ3指数が高いほど死亡リスクが低く、魚油サプリメントにより35の疾患リスクが低減したそうです。
理想的なオメガ3摂取量は1日3gと言われています。
魚や種子、ナッツなどを食べ不足分はサプリメントで補うと良いでしょう。
次にリン脂質について。
こちらも脳にとって非常に重要です。
コリンとは、細胞膜や神経組織を構成するリン脂質の一種で、ビタミン様物質です。
脳の機能や肝機能の向上、脂肪肝の予防など、さまざまな健康効果が期待されています。
【コリンの働き】
・細胞膜や神経組織を構成するレシチンの材料となる
・脳内で記憶の形成や保持に関与する神経伝達物質「アセチルコリン」を作るため必要
・血管を拡張させて血圧を下げる
・脂肪肝の予防因子として知られている
・肝機能の向上に役立つ
・美容やスポーツパフォーマンスの向上に役立つ
・認知機能の向上に役立つ
【コリンを含む食品】
卵黄、大豆製品、レバー、にしん、ナタネ、 ヒマワリの種。
【コリンの摂取量】
欧米やアジアでは必須栄養素に指定されている
アメリカでは、成人男性は550㎎/日、成人女性は425㎎/日の適正摂取量が定められている
日本ではまだまだなじみが薄い栄養素だが、健康を維持する上で非常に重要な役割を果たしている
ホスファチジルコリンを単回投与したプラセボ対照試験では、投与90分後に顕著な記憶力の向上が確認されています。
また1日100mgのホスファチジルコリン摂取で記憶力の向上が認められ、摂取を中止したあとも記憶力は半年間に渡って上昇し続けたという臨床試験結果もあります。
そして恐ろしいことに必須脂肪酸やコリンが不足すると妊娠中に女性の脳のサイズが縮小するそうです。
また母体のコリン(レシチン)が赤ちゃんの知性を高めることが研究で分かっています。
次にビタミンDに関する事実として以下のことが分かっています。
・ビタミンDが低いと、認知機能の低下リスクが19倍高くなる。
・認知症は低ビタミンDレベルと関連している
・高齢者ではビタミンDレベルが低下すると認知機能が悪化する
・ビタミンDが高いとアルツハイマー病のリスクが4倍低くなる
・サプリメントをビタミンDで補う人はリスクが3分の1に減少する
.アルツハイマー病のリスク要因として挙げられるものは、ほぼすべて低ビタミンDレベルのリスク要因でもある
またその他の情報として
・オイルはMCTオイルがオススメ
・ルーティン業務は記憶力低下を66%促進する
・早期退職は認知症リスクを高める
・睡眠は認知症から守る・・・7時間睡眠が理想。長すぎても身近すぎてもダメ
・アルツハイマー病治療薬として登場したドナネマブは一過性脳腫脹が24%、微小出血が31.4%に見られるという副作用が大きい治療薬である
オーソモレキュラー医学会ではホルフォード先生が設立した FOOD For The BRAIN財団と提携し、オックスフォード大学が開発した認知機能テストを2024年秋より無料でウェブサイトで公開しています。
テストの結果をもとに栄養療法とライフ・スタイルを提案し認知症リスクを下げる取り組みです。
是非ともチャレンジしてみて下さい↓
柳澤厚生先生からスライドを全て頂き、動画で配信する許可を頂きました。
肛門科女医みのり先生チャンネルで解説しますので是非ご覧下さい↓
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