溜まりに溜まっている患者さんが書いて下さったアンケートを今日もご紹介。
今日ご紹介する患者さんは20代女性。
切れ痔(裂肛)に悩んで来られたのですが、悪化させていた原因は意外なことでした。
どこに行っても当たり前のように付いているウォシュレット。
多くの日本人が使っていることでしょう。
オシリを洗ってキレイにしなくちゃと思って洗っている人がほとんどではないでしょうか。
でも、悲しいことに、洗えば洗うほどオシリは荒廃していきます。
そんなオシリをたくさん診てきたので、警鐘を鳴らそうとこの本を書きました。
おかげさまで増刷を重ね累計発行部数が3万部を超えました。
多くの人が衝撃を受けられたことでしょう。
最初はこわごわウォシュレットを使っていた人も、毎日使うようになり、この患者さんのようにウォシュレットが付いていないトイレで用を足せなくなっている「ウォシュレット依存症」の人も結構おられます。
そうしてトイレを我慢するクセがひどくなり、出口の便秘を悪化させている人も多いです。
肛門周囲の皮膚はとてもデリケート。
眼の周りの皮膚と同じと考えて欲しい。
そんなデリケートな部分を水鉄砲のようなもので直撃して洗ったら、皮膚が荒れることは容易に想像できるでしょう。
荒れた皮膚は硬くなって縮みます。
つっぱって伸びない皮膚になり、開きにくい伸縮性のない穴になってしまいます。
つまり肛門が狭くなるんです。
オシリの穴が開きにくいから、オナラを勢いよく出すと裂けたり、温水の刺激でキズを作っている人も・・・。
これを私はウォシュレット切れ痔と呼んでいますが、ウォシュレットのせいで切れ痔を人工的に作っている人も大勢います。
最終的に痛くて水がしみる、痛くて洗えない・・・となって受診に至ります。
洗い過ぎた肛門はボロボロ
実際に写真を撮って患者さんに見てもらうのですが、ショックを受けられます。
洗うのをやめることが治療になるのですが、ウォシュレット依存症の人はこの患者さんのように半信半疑だったり、頭で分かっていても反射のようにウォシュレットのスイッチを押してしまうことも・・・
最初は洗わないと気持ち悪いかもしれない。
でも洗わない事が普通。
そもそもスッキリ排泄出来ていれば洗う必要ないんです。
洗わないといけないような排便が間違っている。
その間違った排便を正さなければ、洗うのをやめただけでは解決しない。
何度拭いても便が付く
キレイにならない
それは便が残っている証拠。
だから残った便をスッキリ出しきる必要がある。
そのために坐薬を使ってもらうのですが、これまた慣れるまで大変
患者さんがウォシュレットを使うのをやめて、坐薬を入れてくれなければ治療にならないから、一生懸命説明する。
その説明が腑に落ちないと患者さんは行動に移してくれない。
だから説明が命、キモ。
そこに全身全霊をかけていると言っても過言ではない。
その熱意が伝わる人と伝わらない人がいる。
だけど多くの患者さんが治療方針に共感して来られているから、説明中に涙を流される人がいる。
きっと辛い思いをしてきたんだろうな
誰にも相談できず悩んでたんだろうな
そんな風に思って、患者さんの涙を受け止める。
私にできることは今起こっていることを知ってもらい、これからどうすれば解決できるのか説明し、患者さんのアクションを起こすこと。
だって私が患者さんの代わりに便を出してあげることはできないから。
変わってあげられないんですよ。
便を出すことだけは。
日々の生活の中に治療があるので、患者さんが便を出してくれないと治療は成立しない。
だから説明に時間をかける。
患者さんを動かさなければならないから。
ほとんどの患者さんが2週間頑張られます。
そして2週間後に来られた時には痔が治っている、良くなっている。
そこで「先生のおかげですありがとうございました
」と言われるのだけれど、私のおかげじゃなくて、患者さんが頑張ったから。
頑張ってくれてありがとうと言いたいです。
治療のゴールは患者さんの笑顔。
オシリの治療を通して患者さんを幸せにしたいという理念をもって診療に当たっています。
そして肛門科の通院を終わらせることが私たちの治療。
治るということは通院が必要なくなるということ。
リピートしないように患者さんに排便管理を徹底して教える。
治療のための通院ではなく、予防のための健診。
私たちが目指しているのは肛門予防医療。
それがだんだん現実のものとなってきていて、年に1回のオシリ健診で来られる患者さんが半分近くになってきました。
これからも排便管理の大切さを伝え続けて行こうと思います。
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