溜まりに溜まっている患者さんが書いて下さったアンケートを今日もご紹介。
最近来られた患者さんのアンケートをご紹介。
50代脱肛の女性患者さんです。
私が強調したい箇所や解説したい箇所は太字・大文字にしました。
ポイントだらけのアンケートでした。
自由診療ということで診療所の受診をためらっている人全員に読んで欲しいくらい。
セカンドオピニオンの患者さんや、あちこちの肛門科を回ってから来られる患者さんを嫌がる医師も多いですが、私は逆。
是非、最初は保険診療の標準治療を受けてほしい。
それで治って何も困ったことがないのであれば、何も疑問を感じることがないのであれば、わざわざ高いお金を払ってうちの診療所を受診する必要はありません。
できるだけ専門の先生にかかってほしいと思い、次の記事を書きました。
日本の肛門科の歴史と現状〜専門の医師を見分ける〜
この記事を読んでちゃんと専門医にかかっておられました。
ちゃんとまじめに良心的な肛門診療をされている先生だったので良かったですね。
まずは探してみてほしいのです。
あなたの近くにもきっといるはず。
真面目に良心的にやっている先生が。
そこで「標準治療」を受けてほしい。
酸化マグネシウム等の緩下剤とボラザG等の注入軟膏が出されることが多いでしょう。
それがガイドラインに沿った痔治療だから。
それで治って、再発もなく困ったことがないなら「一時的にオシリが故障しただけ」かもしれない。
だけど、一旦良くなるけどまた悪くなって、その度に通院して薬をもらっている、永遠に通院が終わらない・・・というのであれば、便通が悪い可能性があります。
オシリは勝手に悪くなったりしません。
イボ痔も自然に発生することはないです。
その背景には必ず肛門に負担がかかる間違った排便があります。
それを正さなければ痔はどんどん悪化します。
手術して痔を治しても、数年経ったらまた痔になってしまう。
何年もずっと通院しているけれど痔が治らない
手術して治しても何度も痔になって、何度も手術を受けている
そんな患者さんをたくさん診ているので、診療所では標準治療ではなく、手術や薬ではなく、痔の原因となった便通を直すという排便管理をやっています。
ちょっと変わった、異端な肛門科です。
それを知らずに受診されると衝撃が大きすぎて、治療を受け入れられない患者さんもおられます。
だからまずは保険診療の標準治療を受けてみてほしい。
「痔を予防する習慣の重要性」を感じてくれる人に来てほしい。
「説明に納得出来たことが一番良かった」と言ってくれる人に来てほしい。
説明なんて聴きたくない
さっさと治療してくれ
という人はどうぞ効率よく診療している保険診療の病院を受診して下さい。
うちの診療所はすごく「非効率」な肛門科ですから。
予約制だけど待ち時間も長いですからねぇ
「坐薬を使っているとガスが出ても臭いがしなくなりました。」
ガスが臭わなくなったというコメントは多くの患者さんから頂いています。
今までオナラがクサかったのは出口のスグそこに便があったから
ガスが臭いんじゃなくて、便の臭いを引き連れて出てきてただけ
いつも便を出し切って肛門が空っぽならオナラはクサくありません。
そしてガスも減ります。
腸が悪いと思っていたガスの症状が、出口の便が原因だったなんて誰も思いもしないでしょう。
「毎日排便後入れると、1回目よりも沢山出る日が多いです。
本当にこんなに便を溜めているの?と未だに信じられません。
鈍感なおしりになっているのか、すっきり出たかどうかも今一つ分かりません。
地道に続けて健康なおしりを目指したいと思います。」
毎日自然に排便があっても、坐薬を入れたらたくさん便が出るということは、相当量、便を残して生きてこられた証拠。
それを出し切って肛門を空っぽにしましょう。
そもそも肛門は便の通り道。
便が通過していく所であって便を溜めておく場所ではありません。
いつも空っぽなんです。
そこにそんなに沢山の便を溜めて生きてきたから痔になったのですよ
今はすっきり出たかどうかも分からないと思いますが、鈍っているオシリの感覚が元に戻ってくると、便が残れば分かるようになってきます。
そして排泄力が上がってくると残便も減ってきますので、坐薬を入れても出てくる便の量が少なくなってきます。
そして入れても何も出なくなったらすっきり出し切れるようになったということ。
そうなるまで数年はかかるでしょうか・・・。
なんせ、便を溜めて生きてきた年数だけ坐薬治療はかかりますので・・・。
気長に頑張って下さい。
患者さんにもよりますが、多くの方が3〜4年毎日使ったら、だんだんすっきり出し切れるようになってきて、今は週に1回くらいしか坐薬を使っていないという人も多いです。
それに坐薬は薬ではありません。
炭酸ガスを固めただけの発泡剤ですので、クセになることもありませんから安心して使って下さいね
「長年、紙に便が付くのは、便の状態が良くないからと思っていました。
でも出残っているせいでそうだとは驚きでした。
自分が痔にならなければ、おしりに便を溜めるクセが良くないという考えは一生知る事はなかったと思います。」
紙に便が付くのは便が残っている証拠
軟便・下痢便でもスッキリ排泄出来ていれば紙に便は付きません。
付いていたら坐薬を使って下さいね
「痛くても腫れてても排便はお休み出来ないので、おしりの不具合は辛いです。」
本当に・・・。
その通りですね。
痛いからって便を出さないでいると、今度出す時はもっと辛いですから、早めに出すことが大切。
出口まで便が来てるのに溜め込むとどんどん固まりますから早く出すようにしましょう。
「正しく排便していたら痔にならなくて済んだのかもしれないと思うと悔やまれますが、出来るだけ症状が軽くなる努力をしたいと思います。」
その通りかもしれません。
だから本当は痔になる前に来てほしい。
教えてあげたい、正しい排泄。
そうすれば痔という病気は世の中から無くなるかもしれないと思っています。
痔になってから肛門科に来られている患者さんが多いですが、痔になってしまってからでも、排便を正すだけで痔の症状が無くなって手術せずに痔とうまく付き合って行けているケースも多いです。
付き合えなくなったときには手術を考えればいいのです。
手術を先延ばしにしても手遅れになりませんから。
手術したいと思ったときが手術のタイミング。
それがいつ訪れるのかは患者さんによって違います。
納得するまで付き合って下さいね
保険診療の標準治療と診療所の自由診療の治療との違いを、患者さんの立場で分かりやすく書いて下さってありがとうございました
受診を迷っている患者さんに読んでもらおうと思います。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
あくびをするラブ
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