先日来られた男性患者さんの話を。
いぼ痔(痔核・脱肛)かな・・・と自覚していましたが、普段、出血も痛みも何も症状がないので肛門科も受診せず様子をみていました。
ところが、排便時に出血が見られるようになり、これはヤバイ、受診しないと・・・と受診を決意。
どこを受診しようかとネットで検索。
肛門科と検索すると大阪府だけで5千件以上ヒットします。
その中でも専門っぽい所を探し、色々とホームページを見ていたのですが、どこの病院のホームページも手術のことしか書いていなくて、受診したら手術になるのではないかと不安になり、結局どこも受診できなかったと
それでも症状があるので、どこか切らずに治療しているところはないのかと必死でネットで調べたところ、うちの診療所のホームページにたどり着いたそうです。
うーん。。。
まだ検索しても出てこないんですね
悲しい
もうここしかない
ここを受診したら切られない
と思って来られました。
「どこの肛門科も手術の話ばっかり書いてあって怖くなりました。中には手術件数〇〇件と手術が多いことを自慢しているクリニックもあって、こんな所に行ったら絶対に切られると思って、そういうクリニックは避けました。」
と。
そして診察前に
「できれば手術せずに治療したいです」
と明確な希望を言われました。
うちの診療所では必ず患者さんが「どうしたいか?」ということを確認します。
そもそも手術が必要なケースは少ないけれど、医学的に手術が必要な状態であっても、患者さんの意思を確認しています。
手術したいのか
手術したくないのか
患者さんの気持ちはとても大切。
「先生はどうしたらいいと思いますか」
と私に判断を任せようとする患者さんにも
「あなたが手術したかったらしたらいいと思う。したくなかったら別に死ぬ病気じゃないから、そのまま痔を持っていてもいいですよ。」
と答えています。
だってそうでしょう
痔は良性疾患です。
癌ではありません。
放置したからって死にません。
痔瘻だけは長年放置すると痔瘻癌になる可能性がわずかにあるため、リスクを説明して患者さんに選んでもらっていますが。
放置して悪化したらどうしよう
このまま放置するとエラいことになりませんか
と聞かれることも多いですが、悪化したら悪化したときに手術すればいいんです。
ひどくなってから手術したからって手遅れになったりしませんから。
手術はいつ受けてもいいんです。
うちの診療所では
患者さんが望まない手術はしない
という方針で治療しています。
たとえ医学的に手術適応であっても・・・です。
なんでもかんでも手術しません。
それは先生やクリニックの方針によると思うので、治療方針については事前に十分調べてから受診されると良いでしょう。
また受診して手術と言われても、その場でスグに受けずに、一度家に帰ってから冷静になって考えましょう。
それくらいの時間はあるはずです。
色々調べてもいいですし、家族や友人に相談されてもいいでしょう。
また別のクリニックを受診して他の先生の意見を聞いてみるのもいいと思います。
同じお尻なのに診断が違うこともしばしばありますから。
手術、手術、手術・・・
確かにどこのホームページを見ても手術の文字が躍っています。
そして注射・・・。
患者さんが不安になるのも無理ないですね。
今までに
切られるのが怖くて肛門科を受診できなかった
と言われた患者さんも多く、とても悲しくなりました。
手術が必要な痔は少ないのに・・・。
手術が必要な痔は一握りです。
痔の多くは手術せずに治ります。
それにね
手術して痔を治しても、痔の原因となった便通を治さなければまた痔になってしまいます。
だから痔の根本治療は痔の原因となった便通を治すこと。
便通を治すことで手術を回避できているケースが多いです。
手術と言われても、もしかして手術せずに痔と上手く付き合っていけるかもしれません。
治療の第一歩は正しい排泄から。
手術を受ける前に便通を治してみませんか?
以前、似たような記事を書いています。
こちらも参考になさって下さい。
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