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緊急寄稿◎COVID-19患者が急増している大阪府の現場から
何かが違う、大阪コロナ第4波
2021/04/09
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者受け入れ先として、⼤阪府にある当院は、軽症・中等症向け病床を55床確保しています(第3波収束時、病床数を絞りつつあったが緊急増床)。

 

軽症例はまれで、ほぼ全員が中等症です。

 

4月に入ってから、入院要請されるCOVID-19患者さんの多くが、高齢者よりやや下の40~60歳代の中高年で、両側肺炎と低酸素血症を有していることに気付きました。

 

特に、2型糖尿病や肥満がある患者さんは、肺炎がかなり重症化する印象です。

 1年ちょっと前、中国・武漢でCOVID-19が発生した当初は、代表的なリスク因子は高血圧などの循環器疾患だと言われていました。

 

第4波では、とにかく「糖尿病」と「肥満」がシビアなリスク因子だなという感じがします。

 

そもそも循環器疾患は有病率が高いので、重症化リスク因子として過剰に評価されていたのかもしれません。

 

第4波の症例の特徴は…

 第3波までは「このCOVID-19患者さんは多分大丈夫だろう」と思えたケース、例えば「45歳女性、糖尿病、HbA1c7.2%、夫から感染、安静時SpO2 94%」のような症例でも、第4波では胸部画像検査を行うと両肺に濃厚な肺炎像があり、そのまま数日以内に気管挿管を要する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に陥ることがしばしばあります。

 

第3波では「背筋がゾっとする」症例が「時にある」くらいだったのですが、第4波は半数くらいが該当する印象です。

 変異株かどうかはスクリーニング対象のCOVID-19でないと分かりませんが、もしかするとこの40〜60歳代の症例の多くは変異株、特にN501変異(英国、南アフリカ、ブラジル、フィリピンで確認された変異株が有する変異)のある株に感染しているのかもしれません。

 

第1~3波とは、明らかに臨床像が異なります。

 特に違いを感じるのは、重症化までの速度です。

 

第44回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の公開資料(表1)によると、第4波は第3波と比べて、発症から重症化までの日数が7日と1日短く、変異株例(大阪ではほぼN501Y変異)については全体で6.5日(60歳代以上は6日)とさらに短いようです。

表1 COVID-19第3波、第4波、変異株の比較(出典:第44回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の公開資料)

 

 

重症患者用の病床が逼迫

 2021年4月8日、大阪府の新規感染者数は過去最多の905人となりました。

 

重症患者さんも167人まで増加しています。第3波が収束しつつあった頃、大阪府は重症者用の病床数をかなり減らしていました。

 緊急事態宣言の緩和が東京よりも3週間早かったことと、卒業・入学・異動シーズンを迎えたことが重複し、想定を上回る速度で患者数が増加してしまいました。

 

さらに、ベースラインの重症患者さんが大阪府内に既に約60人いた状態で第4波に突入したため、発射台が高い状態であったことが、今回の病床逼迫に直結したものと考えられます。

 大阪府は、緊急的に大学病院などに増床を依頼していますが、患者の増加スピードに増床が追い付いておらず、重症患者の転院引き受けが難しくなっています。

 

同時に、軽症・中等症病床も早急に増床していますが、場合によってはそれらの病床でも人工呼吸管理を行わざるを得ない状況となりました。

 

 

ハードルはやっぱり「退院基準」

 以前このコラムで、COVID-19患者の退院基準について述べましたが、従来株のCOVID-19患者の退院基準は2020年6月に大きく緩和され、発症後10日経過すれば多くの患者さんが退院できるようになりました。

 しかし、変異株の退院基準は「37.5度以上の発熱が24時間なく、呼吸器症状が改善傾向であることに加え、24時間後に核酸増幅法の検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合」とされています。

 

要は、PCRを連続2回陰性確認するという、1年前のCOVID-19の退院基準とほぼ同じなのです。

 PCR陰性連続2回はなかなか達成が厳しく、臨床症状としては軽快していても入院を続けるケースが目立ちます。

 

変異株のCt値(PCR検査の遺伝子検出までの増幅回数)は一般的に低い(=ウイルス量が多い)といわれていますが、症状が軽快してからしばらく経過しているのであれば、感染リスクはなくなっているのではないかという意見もあります。

 前述のN501Y変異は感染力が高く、E484K変異(南アフリカ、ブラジル、フィリピンで確認された変異株が有する変異)は免疫逃避に関連しているとされています。

 

もし現場で変異株が既にマジョリティーになっているのなら、今後も患者数は増えるはずで、個室隔離や退院基準を厳格化するよりも病床確保の方を優先する必要があるのかもしれません。

 実際に和歌山県では県独自の変異株退院基準を定め、「変異株の有症状者は発症日からの期間を5日長い15日間とし、他は従来株と同様の基準とする」としました。

 

これが妥当かどうかはまだ判断できませんが、もし第4波が首都圏にも波及し、患者数が増えてくるなら、国が定める変異株の退院基準も緩和される可能性が高いのではないかと思います。

 

■追記(4/10)
新型コロナウイルスの変異株感染者について、厚生労働省は4月8日付で事務連絡を改訂し、退院基準を緩和しました。

 

PCR検査で2度の陰性確認が必要としていましたが、従来株と同様になり、例えば人工呼吸器などによる治療を行わなかった場合は「発症日から10日経過し、症状回復から72時間後」であれば退院が可能としました。

 

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倉原先生は以前のコラムでも回復した高齢者がPCR陰性にならないから退院させられず、ベッドがあかないと書いておられましたが、今回も同じような状況だったのでしょうか。

 

また私の患者さんのドクターやナースが「若くて重症化する人の100%が肥満」と言われていたように、肥満は重症化のリスクであることは間違いなさそうですね。

 

Twitterでも大学病院のコロナ担当医師が同様のtweetをされていました。

 

 

 

 

 

4月9日に寄稿された記事なので、現在は状況が異なっていると思いますが、早く収束する(させる?)ことを願います。

 

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