今年WEB開催された日本大腸肛門病学会総会で、温水洗浄便座と肛門疾患の関連についての発表がありました。
横浜にある肛門専門施設「松島病院」の紅谷先生の発表です。
それが医療ニュースで取り上げられていたのでシェアしたいと思います。
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温水洗浄便座が肛門疾患の原因に?
肛門専門科の調査
温水洗浄便座が登場してから50年以上が経過し、現在では日本人の大半が使用しているといわれる。
排便後に洗浄することで肛門周囲や手指の衛生が保たれるなどのメリットがある一方、過度の使用は肛囲皮膚炎などの原因になることが報告されている。
松島病院大腸肛門病センター(横浜市)の紅谷(べにや)鮎美氏らは、温水洗浄便座の使用状況に関するアンケートを実施し、肛門疾患との関連を検討。
結果を第75回日本大腸肛門病学会(11月13〜12月27日、ウェブ開催)で発表した。
皮膚症状あり群で強水圧使用者多い
対象は2017年10月に同院外来を受診した初診患者992人(男性603人、女性389人、平均年齢52歳)。
男女とも40歳代が最多で、受診疾患は痔核(62%)、裂肛(10%)、肛囲膿瘍(9%)の順であった。
アンケートでは、まず日常的に温水洗浄便座を使用しているかを質問。
使用している場合、肛門に変化があったか、使用頻度、1回当たりの使用時間、使用年数、使用時の水圧を尋ねた。
また、製品使用ガイドに記載されている洗浄の推奨時間を知っているかも答えてもらった。
その結果、738人(約75%)が温水洗浄便座を日常的に使用していると回答した。
疾患別に見ると肛門瘙痒症、肛門痛、便失禁、肛囲皮膚炎の患者で割合が高かった(図)。
温水洗浄便座使用後の肛門の変化については、約半数が「変化なし」と回答した。一方で、「排便しやすくなった」と回答した人が3割認められ、洗浄の刺激により排便している可能性が示唆された。
図.日常的に温水洗浄便座を使用している患者数と疾患別の割合
さらに、回答結果を肛門周囲の皮膚症状の有無別に検討した。
その結果、皮膚症状あり群となし群で温水洗浄便座使用の有無に差はなかったが、皮膚症状あり群において強い水圧で洗浄している人が多いことが明らかになった(表)。
表.皮膚症状の有無別に見た温水洗浄便座使用状況
(図、表とも紅谷鮎美氏提供)
なお、参考として肛門疾患がない同院職員242人にアンケートを行ったところ、日常的に温水洗浄便座を使用している割合は57%と、患者に比べて低かった。
使用時間や利用している水圧の強さについては、患者と同様の結果だった。
適切な洗浄時間は10〜20秒
以上から、紅谷氏は「温水洗浄便座は使用方法によって肛門周囲の皮膚症状を引き起こす可能性が示唆された。肛門専門医として、正しい肛門周囲の洗浄法を指導する必要があると考える」とまとめた上で、次の通り考察を加えた。
温水洗浄便座に関する研究は少ないものの、手指衛生が保たれる、肛門血流が改善するなどの利点が報告されている。
一方、便座ノズルや洗浄液内の細菌汚染や、肛門瘙痒、肛門周囲皮膚炎などのいわゆる温水洗浄便座症候群との関連を問題点として指摘した論文もある(臨床肛門病学 2017; 9: 1-8、Environ Health Prev Med 2016; 21: 547-553)。
温水洗浄便座の正しい使用法について、日本レストルーム工業会は、局部周辺に付着した汚れを落とすために、10〜20秒を目安に洗浄するよう推奨。
長時間の洗浄や、習慣的に便意を促す用途では使用しないよう注意喚起している。
これに関して同氏は、今回のアンケート対象者のうち、推奨時間が10〜20秒であることを知っていたのは患者、職員とも8%のみだったと指摘した。
同院では外来患者に対し、正しい使用法に基づいて温水洗浄便座を使うよう指導している。
また肛門手術後の患者に対し、創治癒を促すために手術翌日に坐浴(1日5〜6回)、術後2日目には気泡浴槽で入浴を開始。
退院後は、排便後の汚れが気になるときに、弱い水圧で数秒間のみ温水洗浄便座を使用するよう指導しているという。
(長谷部弥生)
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