今日のブログは閉鎖した診療所のオフィシャルブログに掲載していた記事をリライトしてお届け致します。
院長が執筆した記事なのですが大切な記録として私のアメブロに残したいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
メールを書くのに時間がかかる院長の佐々木巌です。
遠方の方から受診前にご相談のメールを頂くことがあります。
今回は、遠方で当院を受診したい方、 しかも手術を検討している方が知りたいんじゃないかな、 というご相談を一つ紹介させて頂きます。
なお、お名前はもちろん、お住まいの地域も変更してあります。
今回のメールを含めて、頂いたご相談メールは こうしてブログの記事にさせて頂くことがあります。
そうでもしないと、メールを書くのに時間がかかる私には ブログを書く時間が取れません(苦笑)。
そうです、遅いのはメールだけではないのです。
ブログの執筆も遅いのです(涙)。
今回は、みなさんの代表として
ご質問いただいたということにしましょう。
遠方に在住の北川さん(仮名)の経過
ご相談の方は北川さん(仮名)、九州にお住まいの30代女性です。
北川さんは、ご自身で元々いぼ痔のような症状があるように感じていました。
1ヶ月前に硬い便をした時に脱肛し、その後戻りにくくなり、 加えて徐々にいたみが強くなりました。
地元のA病院を受診したところ軟膏を処方され使用しましたが、 2日間のうちにさらに悪化。
このため別のB病院を受診したところ嵌頓痔核の診断でした。
嵌頓痔核についての解説はコチラ
「脱肛したままではダメだ、中に戻さないといけない」 という内容の説明を受け、脱肛している部分を 中に入れる処置をしてもらいました(非常に痛かったそうです)。
それなのに帰宅途中には再び脱肛してしまったとのこと。
また、担当医によると、手術はできる状態ではないとのことでした。
自宅で脱肛を中に戻そうと痛みに耐えながら色々試しましたが、 戻すことができません。
ちょうどその頃、当院のブログを見つけ、 そこに書いてあった通り、戻さずにそのまま様子を見たところ、約3週間で痛みはなくなり、腫れも小さくなりました。
そういう状態でB病院に2度目の診察のため受診しましたが、 北川さんの話を聞いた担当医は肛門を診察することなく手術が必要と判断、 より専門的な病院を紹介すると説明がありました。
北川さんはどうせ手術をするなら参考にしたブログを執筆した施設(当院のこと)で受けたいと思いました。
しかし、大阪は九州に住む北川さんには非常に遠く決心がつきません。
そこで、 これまでの経過と共にご自身の希望がかなうかどうか、相談のメールを送りました。
希望の内容は
・遠方のため初診の当日に根治手術をしたい
・入院手術が希望
・遠方でもあるし、仕事もしているし、通院は難しい
というものでした。
お返事
私は以下のようなお返事を書きました。
もしかしたら根治手術の意味合いが 私たちの考えとは異なるのではないかと少々恐れています。
ひょっとすると 「こんなに辛いのは二度とゴメンだ。だから手術をしたい」 というお考えではないかとお察しします・・
もしそうであれば、手術で解決する問題ではないかもしれません。
手術をしてもまた嵌頓痔核になることもあります。
根治手術といっても、 嵌頓痔核や血栓性外痔核の予防にはなりませんので、 まずその点ご確認ください。
それを理解した上で手術を希望する方はおられます。
そう言うときお願いするのが、 「何を治したいのか、 ご自身の中でハッキリさせてください」 ということです。
漠然と「痔を治したい」ではなく、 例えば
・痛みがない状態になりたい
・排便後に手で押し戻す作業をしなくて良い状態になりたい
といった、細かく改善したい点を考えてください。
そこがハッキリしていれば、 ご希望が手術で実現するのか、 手術では希望の状態にはならないのか、 お返事がしやすくなります。
現時点では、手術になるかどうか可能性は五分五分です。
次回の手術は〇月△日(金)に予定していますが、 当院は3人以上希望者がいないと入院手術は実施いたしません 。
現在まだ実施するかどうか分かりません。
分かるのは手術日の2〜3週間ほど前かと思います。
また術後通院が困難な方の手術は、 当院としてはお引き受けしにくいです。
手術治療を行う医療者として無責任だと思うからです。
病状からどのくらいの通院が必要か、照らし合わせてみる必要はありますが、 術後通院が全くできない場合は 当院で手術するよりも地元で手術する方が適切だと思います。
その方が安全だと思います。
初診当日に入院手術というのは、通常当院では対応出来ません。
木曜休診の関係で最短で2日前の水曜に受診、 金曜に手術という形でなければ通常ではこちらの都合がつきません。
そして、次回の手術はまだ実施するかどうか分かりません。
現状では手術になるかどうか分からない北川さんのことを 1人とカウントすることもできません。
実施が決まっている入院手術の 前々日に受診していただくのなら可能性はありますが、 それ以外だとおっしゃる条件では難しいと考えます。
しかし、何よりも一番大事なのは、 本当に手術が必要かどうかなのではないでしょうか。
ご自身が希望する状態の肛門になるために、 手術だけが唯一の方法なのだとしたら、手術でOKですが、 他に可能性のある方法があるのなら 私たちは通常手術以外の方法をお勧めします。
ご理解ください。
お返事になっていない気もしますが、これが精一杯のお返事です。
ご参考になれば。
おだいじに。
大阪肛門科診療所 佐々木 巌
嵌頓痔核は必ずしも戻さなくても良い
肛門科の教科書には確かに 「嵌頓痔核は中に戻せ」 と書いてあるのですが、 実際の現場では戻せない方や、 戻せたとしてもすぐにまた出てくる方がおられます。
私たちはそういった場合は 戻さずにいるように説明しています。
その方が治りも早いし苦痛も少ないと考えています。
この方の場合は戻さずに治療したわけですが、これが正解だと思います。
2つの困難
この方、対応が難しい問題が2点あります。
1.初診当日に入院での手術を希望と言うこと
2.術後の通院が難しいと言うこと
1はなんとかクリアできたとしても、2の方が私には深刻な問題です。
初診の当日に手術、しかも入院・・は難しいなあ
当院は入院方式の手術は金曜日に行うことが多いのですが、 入院手術日は普段やっている外来を休んでいます。
意識もマンパワーも手術に集中するためです。
ですのでそもそも入院手術をやる日に外来をやるのが難しい、 しかも、診察の結果手術となれば、それから手術をするわけで 当然診察の時間は9時ごろからじゃないと後ろの手術が回らない。
入院が1件追加になれば食事の手配が難しい。
術前検査をしなくちゃいけないので人手の確保が難しい。
・・と考えてみると、結構対応が困難なのですね。
同じ初診当日に手術の状況でも 日帰り手術だったら、なんとかできることも多いです。
それでも、初診の日程は入院手術の日は避けてもらいます。
悪しからずご了解ください。
術後の通院の重要性
当院は術後通院を大切にしています。
ほとんどの方は 「手術をやったら手術医の仕事は終わり」 とか 「どんな風に治るかは手術だけで決まる」 と思っているのではないでしょうか。
医者でもそういう考えを持っている方がおられる位なので 一般の方がそう思われてもやむを得ないと思います。
確かにそんな手術もあるのですが、 私たちがやっている肛門科の手術は 術後の診察は手術と同じくらい重要です。
少なくとも私はそう教えられましたし、そう考えています。
術後の通院に来られた時に傷の手直しをしたり、 ちょこちょこ手を出すこともありますし。
「手を出す」っていうのは、ちょいと切ったりするわけです。
こう申しあげるとみんな怖がるのであまり強調はしないのですが、 やっぱり必要なことなのです。
逆に何にもない方は本当になんにもなくて、 ただ治るのを待ってるだけって方もおられるのですが・・ 医者が術後の診察をサボると、ロクなことにならないと信じています。
次回の入院手術は2018年1月12日(金)です
当院は3人希望者がいないと入院手術を実施しません。
誠に勝手なやり方なのですが、 当院のような規模で運営していますとこれくらいがちょうど良い感じ。
ハッキリ言うと 「それでも当院で」と思っていただける方だけをお引き受けするのが、 当院の身の丈に合った医療だと思っています。
次の入院手術は1月12日(金)です。
すでに当院にかかっておられて、 手術の必要性があるという説明を当院から受けておられて、 ご検討中の方は、ご参考にしていただければと思います。
この件について書いた記事はこちらです。
現在の状況ですが、すでに2名の入院手術ご希望の方がおられます。
年内にあと1人ご希望の方が見つかれば予定通りの実施が決まります。
なお、日帰り手術はこれ以外の日程にも行います。
日程は相談の上で決めていますので、こちらもご参考まで。
さいごに
メールでの質問とそのお返事を元に 当院の診療方針や入院手術について書きました。
- 遠方なので初診の当日に手術を受けたい
しかも
- 術後の通院が全くできない
という条件の方は当院では手術をお引き受けできないことが多いと思います。
ご注意ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
現在、新型コロナウイルスの影響と院長の病気により入院手術は行っておりません。
手術の全てを日帰りで行っております。
コロナが収束し、院長が仕事復帰したら、入院手術を再開したいと思っていますが、いつになるのか分かりません
日帰り手術も入院手術も術後の通院ができない方の手術はお断りしています。
責任を持って治療できないからです。
手術すれば終わり!というわけではなく、手術は「治療の始まり」です。
ゴールではなくスタート。
その認識が大切。
手術だけして通院は必要ない治療なんて存在しないと思うんだけどなぁ
クリックお願いします
患者さんのリクエストで復活させた
化粧品と発酵素するりの記事は
コチラ