今日のブログは閉鎖した診療所のオフィシャルブログに掲載していた記事をリライトしてお届け致します。
院長が執筆した記事なのですが私のブログで大切な記録として残したいと思います。
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手術件数がいつまで経っても増えない(笑)院長の佐々木巌です。
手術・・自分じゃ上手いつもりです。
大阪肛門科診療所での20年間(はじめの名称は大阪肛門病院でしたが)手術件数が今よりも多い時もありました。
しかし、手術を避ける技術を意識するようになった関係で、近年は手術は減りました。
もともと手術がうまくなるのに件数は必要ないと信じています。
そう信じるようになったのは、社会保険中央総合病院(現 東京山手メディカルセンター)に勤務している時にお世話になった直属の上司の言葉があったからです。
その先生は私が社会保険中央総合病院を退職して大阪に戻る時に
「手術の技術は件数じゃないよ。少ない件数でも必死でやれば技術は上がるんだ。1件1件が学会発表のつもりでやれば良いんだよ。」
と教えてくださいました。
今、自分自身では全くその通り、先生の言葉を信じて良かったと思っています。
手術件数が「多いから」上手い医者、という論調には納得出来ません
時々雑誌で見かける「手術件数が日本一の名医」といった表現。
手術件数が多いのが名医、という考えは否定しません。
「名医=著名な医者」って意味ですしね。
たしかに手術件数が日本一なら、そういう先生は著名なお医者さんでしょう。
意地悪な言い方ですが「名医=著名な医者」は正解だけど、「名医=上手い医者」とは限らないと思っています。
いずれにしても、手術件数が医師の技術を表すかのような論調には賛同しかねます。
それは、私の手術件数が少ないから、その言い訳をしているわけではありませんよ(笑)。
たしかに上手いドクターは沢山手術している方が多いです。
しかしそれは上手いから手術患者さんが集まり「結果として」手術件数が伸びるのであって、沢山手術している医者が上手いと言う意味ではないと思うのです。
つまり、
「技術が高い医者 だから 件数多い」
は当然の流れで納得できるけれど、
「件数の多い医者 だから 技術の高い医者」
という考えは私には納得できないということです。
手術件数は少なくてもうまくなれると信じています
ちょっと昔話になりますが、私自身が技術を磨くときに重要視したのは手術件数ではなく、一件の手術からできるだけ沢山のことを学ぶことでした。
技術を磨く一番の近道は「フィードバック+修正」の「質」、そして「回数」だと思います。
患者さんから手術に対するフィードバックをもらって、足りない点があればそれに応えるためにはどうすれば良いか考え、修正する、その質をできるだけ上げるのです。
件数が多くてもフィードバックがなければ、「手術した数」は増えますが、「良い改善ができた数」は増えません。
改善がなければうまくなりませんし、良い技術を見極める目が育ちません。
その改善の元は患者さんからフィードバックを受けることですが、どんなに患者さんがフィードバックしようとしても医者に向き合う気がなければフィードバックはないのと同じで、改善の経験は増えません。
結果、医者はうまくならないまま、前と同じ技術のまま手術件数だけが増えてゆきます。
当然、フィードバックは意図的に増やせます。
患者さんに、手術の後困っていること、手術に不足していることを教えてもらえば良いのです。
しかしこれは医者にとって面倒くさい作業です。
人より早く、少ない手術件数でうまくなりたかった私は、他のドクターが面倒くさがって嫌がることをやろうと思いました。
(当時の自分に「エラかったな!オレ」と言ってやりたいですな・笑)
当院に赴任した頃の私は、自分の修行期間が不足していることに強い危惧があり、結構必死だったのだろうと思います。
だからうまくなるためにはなんでもやろうとしたのでしょう。
私がやったことは、患者さんと信頼関係を築き「この医者には手術の不足点・困っていることを相談しても構わないんだ」という雰囲気を作ることでした。
患者さんの満足にもつながるし、私の技術も上がる。
良い事ずくめです。
結局、このコミュニケーションが当院の診療の大切な柱になりました。
医者に限らず人間は、批判的な意見を嫌がるものなので、結構しんどい作業です。
私も辛かったです・・いや、楽しかったかな?
そう言えば、近年は若い頃ほど必死じゃないかも。
・・これを書きながら、少し反省しています(苦笑)
「うまく手術する技術」と「患者さんをうまく治す技術」はちょっと違うと思う
「医者自身がうまく手術する技術」と「患者さんをうまく治す技術」には、ちょっとした違いがあると思います。
私は上司の言葉に導かれて「患者さんをうまく治す技術」を深めた、ということなのだと思います。
今なら、両者の違いを感じることができます。
そう言う感覚は、医者としてのセンスだと思っています。
ちょっと自慢たらしい?(苦笑)
すみません、なにも私がエラいんじゃないんですよ。
全部上司のお陰です。
導いてくださった上司にいつも感謝しています。
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