私は肛門科医ですが、医者になってからの最初の4年間だけ皮膚科医をしていました。
だから元皮膚科医という経歴を持つ、ちょっと変わった肛門科医です。
皮膚科医としての経験と知識があるため、肛門周囲の皮膚疾患の治療を得意としています。
肛門科のドクター向けに、このテーマの講演を依頼されることも多いです。
皮膚科は特殊な科なので、皮膚病については他科の先生は分からないことが多い。
そういう意味で、皮膚科を経験して本当にラッキーだったと思っています。
肛門そう痒症については原著論文を書いたり多数の講演をしていることもあってか、肛門の痒みに悩む患者さんが全国各地から受診されます。
かゆみの原因は便なので、必ず排便の管理をしてもらっています。
そして湿疹がひどいケースには私が提唱したステロイド外用剤漸減療法を行います。
もちろん温水便座禁止や入浴時の肛門洗浄禁止、おしりふきなどの衛生用品も禁止、消毒禁止など、正しいオシリの手入れも徹底して指導しています。
これらの治療で2週間後には痒みが消失しているケースがほとんど。
治らない人なんて居ないと言っても過言ではないでしょう。
ところが・・・
私が治せない肛門のかゆみがあるのです。
それは
神経的な、あるいは精神的なかゆみです。
肛門には全く何の異常もないのに異常なかゆみを訴えるのが特徴です。
心の病気とも言えます。
重いものをしょっている人が多いです。
それを少しでも降ろしてあげたい
楽にさせてあげたい
そう思って色々とお話しを聞くのですが私は精神科医やカウンセラーではありませんから限界があります。
そのような場合、専門の先生をご紹介して受診して頂いています。
専門外のことに手を出してしゃしゃり出て患者さんに迷惑をかけるよりは、自分の領域を超えることについては専門家に任せる方が患者さんにとってメリットがあると思うからです。
でも、自分のふがいなさや無力さを感じることが多いですね・・・。
オシリの治療を通して患者さんを幸せにしたいと本気で思って診療をしているので、最後には笑顔になってほしいのです。
来られる人、全員に。
どうしたら救えるだろう?
何をしたら役に立てるだろう?
自問自答しながら必死で考えていますが、出来ないことは出来ない。
だからバトンタッチ。
どうか最後には笑顔になって欲しい。
そう願って。
私で治せなくてゴメンね
せっかく来てもらったのに申し訳ない・・・
そんな切ない気持ちになることもしばしば。
だけど患者さんがこんなアンケートを書いてくれました。
思わず泣きそうになりました。
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この患者さんは出残り便秘の治療をし、ステロイド外用剤漸減療法によって掻きむしって出来た湿疹は完璧にキレイに治りました。
肛門には全く何の異常も見当たりません。
だけど突然、耐えられない痒みと痛みが襲ってくる。
それがいつ襲ってくるのか分からないから不安で生活に支障を来している。
つらいのか診察では涙も・・・。
オシリもつらいけど
きっと心がつらいんだろうな
そう感じたので心療内科受診についてお話ししました。
受診するかどうかも患者さんが決めること。
今まで多くの患者さんが受診され、とても良かったと報告して下さっている先生なので信頼して任せています。
このようなケースは決して多くはありませんが、今までに数例経験しています。
多くの患者さんが最後には笑顔になったので、この患者さんもきっとそうなるはず。
私はそう信じます。
私が信じてあげないといけないと思うから。
いつも肛門に不安がある患者さんに
「肛門は大丈夫だから自信もって。どこに見せても恥ずかしくないオシリだから
」
と話すと笑われるのですが、それが心の底からの笑顔になる日を私も待っています。
私に出来ることは肛門の診察をして、患者さんの話を聞くことまで。
気の利いた一言や治療に結びつく語りかけなど、到底私になど出来ない。
だけど
あなたのこと心配してるよ
あなたが良くなることを心の底から願ってるよ
あなたのこと、大切に思ってるよ
という気持ちは伝えるようにしています。
だって医療は患者さんを治すためにあるのだから。
私は高校生の時、「困っている人を救いたい」と思って医学部を目指し医者になったのだから。
だから私はあきらめない。
患者さんのためにも。
人間としても
医者としても
まだまだの私ですが
1人でも多くの患者さんを笑顔にするために頑張ろうと思います。
何も出来なかったのに
こんな感想を書いてくださってありがとうございました。
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