肛門科は主に痔を診る科です。
そして受診される患者さんも自分は痔だと思って受診されます。
ところが・・・
痔だと思っていたら癌だった・・・
という悲しい結末になることが年に数回あります
しかも「便漏れ」を主訴に受診されることが意外に多いことに私も驚きました。
ちょっと下着に便が付く
という軽いものから
オムツを当てないと大変なことになる
という程度の重いものまで様々です。
便漏れ
というと
肛門のしまりがゆるい
ということを想像しがちです。
それは診察する私たちも同じこと。
それだけにお尻を見たときには絶句します。
肛門癌や肛門の皮膚癌などは
一目見て分かることが多いです。
見た目で分からなくても
指を入れて診察すると分かります。
癌は硬いのです。
硬くなった組織は伸縮性がないため、肛門の穴の開閉がスムーズに出来なくなります。
開きにくいし閉じにくい。
だから
便も出しにくいし
スッキリ出にくい
出残り便で下着が汚れる。
そして癌が大きくなってくると内腔が狭くなります。
肛門が狭くなるため便が細くなってきます。
体も出口の癌に気付いているからなのか、直腸癌や肛門癌の患者さんの多くが軟便や水様便になっていきます。
そうしないと
便が出せませんからね・・・・
患者さんも不思議だったとおっしゃいました。
肛門が狭くて細い便しか出ないのに、
しまりは悪くないはずなのに、
どうして便が漏れるんだろう?って。
半分、何となく悪い病気じゃないかって覚悟して受診される人もおられます。
告知をすると
やっぱり…と納得する人
頭が真っ白になってしまう人
ショックで泣き出す人
パニックになってうろたえる人
反応は様々ですが、痔と違って放置すると命にかかわるため、紹介先の病院を相談します。
絶対に受診してもらうために。
一日でも早く受診してもらいたいから。
癌治療が終わってから、退院後、あるいは完治後に、遠方からわざわざお礼を言いに来て下さる患者さんもおられます。
私が直接治療したわけじゃないのに、わざわざ来て下さるんです。
「先生に見つけてもらえなかったら今の私はないので」
って言われたときには涙が出そうになりました。
癌は命にかかわる病気。
癌を扱う医者は患者さんと命のやり取りをするんですよね。
すごいことだと思います。
私には・・・つらくて出来ないだろうなぁって思いますね。
「便漏れ」と「癌」って、イメージ的にあまりつながらないと思うのですが、少しでもおかしいなと思ったら恥ずかしがらずに受診して下さいね。
痔であればいいんです。
別に放置しても死にませんから。
でも癌ではないということだけは確認してもらって下さい。
どうかこのメッセージが一人でも多くの人に届きますように。
コチラの記事も参考にして下さい↓
阪神の原口選手の大腸癌公表に寄せて〜患者さんのよくある勘違い〜
診療所のセラピードッグ「ラブ」
左側がラブです
2ワンでトレーニング
ちゃんと指示に従います
クリックお願いします