痔の薬の安全性 | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

セカンドオピニオンで受診される患者さんを診ていて

いつもビックリすることがあります。

それは痔の薬を大量に処方されていることです。

中には手提げの紙袋いっぱい注入軟膏をもらっている患者さんもいました(-_-;)

100個くらい入ってました^_^;

何ヶ月も何年も、ひたすら毎日使い続けている人もいます。

私は痔の軟膏は基本的に2週間分しか処方しません。

それでちゃんと治るからです。

100個も200個も出した経験がないので、ビックリしてしまいました(◎-◎;)

治らないからずっと注入軟膏を使っている

という人もいますし、

何も症状がないのに先生が出してくれるから何となく使っている

という人もいます。

そして皆さん、薬だけはせっせと毎日使ってるんですが、便通を全然直してないんですよ(;。;)

これじゃあ薬を使っても治らないよね。。。

逆に便通をちゃんと直したら薬なんて使わなくても症状が良くなることも多いんですよ(*^_^*)

だから漫然と薬を長期間使い続けることはしません。

それはオシリにとっても体にとっても良くないです。

blog159

診療所のセラピードッグ「ラブ」
犬もリラックスするとおなかを見せて
仰向けになって寝るんですよ(*^_^*)


以前のブログにも書きましたが、痔の薬の多くにステロイドが入っています。

症状が良くなるまで短期間使用する分には副作用は気にしなくてもいいと思いますが、

毎日、何ヶ月も何年も使い続けると副作用が出てきます。

そしてその副作用は全身投与の場合と同様な症状が現れることがあるので、長期連用は避けるようちゃんと添付文書にも書いてあります。

つまりたかが痔の注入軟膏でも、全身にステロイドを投与したときと同じような副作用が起こると言うことなんです。

皮膚が赤くなったり、薄くなったり、萎縮したりという局所の症状だけでなく、全身にステロイドの副作用が出ることがあるんです。

どんな症状があるかというと、眼圧が上がり緑内障白内障を来したり、網膜障害眼球突出、小児の場合は発育障害などが報告されています。

これらの症状は私が20年前、皮膚科の研修医をしていたときに大学病院で見たことがあります。

重症のアトピー性皮膚炎の患者さんのステロイド依存による副作用も見ましたが、たかが塗り薬なのに白内障になるんだということがすごくショックでした。

だから長期使用の場合は「塗り薬だから、オシリに入れる軟膏だから大丈夫だろう」は通用しないんです。

それにね、よく考えてみて下さい。

どうして何ヶ月も薬を使ってるんですか?

そんなに毎日使わないといけない状況っておかしくないですか?

ちゃんと便通は直してますか?

痔が治るということは「薬が必要なくなること」であり、「肛門科に通わなくてもよくなること」なんですよ^_^;

薬に頼らず、薬漬けにならず、ちゃんと治して下さいね。

痔は不治の病ではありません。

ちゃんと適切な治療をすれば、毎日痔疾薬を使う必要もなくなりますし、ずっと肛門科に通い続けなくてもよくなるんですよ(*^_^*)

ちゃんと知って、ちゃんと治して下さいね!




なたは痔疾薬を長期間、毎日使っていませんか?

痔疾薬の安全性について知っていますか?

先生からちゃんと説明を受けていますか?

そもそも、どうして何ヶ月も何年も痔疾薬を使ってるんですか?