何軒も肛門科を回ってきたけど、「あなたの痔は治らない」と言われた・・・
今回で痔瘻の手術をするのは5回目・・・
という患者さんが時々おられます。
そのせいでしょうか・・・。
痔瘻は不治の病
って思っている人がおられます(-_-;)
もう痔瘻になったらあきらめるしかない・・・
とか
どうせ手術しても治らないのなら我慢しよう・・・
とか
何度手術しても同じだからもうあきらめた・・・
とか言われる人がいますが、そんなことはありません。
痔瘻は不治の病ではありません。
クローン病のような特殊な病気を除いて、適切に手術をすれば完治します。
もちろん、1回の手術でうまくいかないケースはあります。
ですが、根治させようと、どの医師も努力して手術をしています。
痔瘻の手術は痔核(イボ痔)の手術と違って、デキモノを切除するだけで済みません。
痔瘻の原因となった肛門の奥にあるくぼみ(原発口と言います)をちゃんと処理して、
膿のたまり(原発巣と言います)と膿の通り道(瘻管と言います)を処理する必要があります。
これがなかなか難しいんです。
どこが原因かを突き止め、筋肉をかき分けて大切な部分を切断しないように瘻管を取り除き、傷が治りやすい形にデザインする。
痔瘻にも浅い痔瘻と深い痔瘻がありますし、膿の通り道である瘻管が何本もあったり、枝分かれしていたりするケースもありますし、「痔瘻」と言っても色々なタイプがあります。
どのタイプかによって手術方法も違いますし、患者さんによって手術方法が違う場合もあります。
だから痔瘻の手術って難しいんです。
「痔で手術しても治らない」
と言われている「痔」は「痔瘻」を指すことが多いようです。
確かにその通りかもしれません。
実際に、うちの診療所で痔瘻の手術を受けるのが4回目とか5回目という患者さんも経験しました。
適切な診断がなければ、どんなに手術が上手くても結果は悪くなってしまいます。
だから痔瘻に関しては診断が命だったりします。
実は診断が一番難しいと思っています。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
右側がラブです♥
お花見に行きました(*^_^*)
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よくある患者さんの勘違いに、
膿を出すだけの「切開排膿」を「痔瘻の手術」って思っている人がいます。
膿を出しただけでは痔瘻は治りません。
それは痔瘻の根治手術とは違いますよ。
いわば膿を出すための応急処置です。
これだけでは痔瘻は治りません。
また膿がたまって腫れてきます。
それは「再発」ではありません。
痔瘻の根本手術とは原因になったくぼみや通り道などを適切に処理することです。
膿を出すことではありません。
ご自分の受けられた施術が「切開排膿」なのか「根本手術」なのか、ちゃんと訊いて下さいね。
残念ながら1回の根本手術で治せなくて、手直しの処置をさせてもらったり、やり直しの手術をさせてもらうことがあります。
それでも完治するところまで根気よく粘ります。
時間はかかってしまうかもしれませんが、深い痔瘻でも完治しています。
だからあきらめずに専門性の高い、肛門のことを一生懸命やっている先生にかかってみて欲しいです。
セカンドオピニオンで何軒も肛門科を回ることになるかもしれません。
ですが、きっとあなたの痔瘻を治してくれる先生がいるはずです。
あなたは「痔瘻は不治の病」だと思ってませんか?
何度手術しても治らないからあきらめてませんか?
痔瘻は不治の病ではありません。
適切に手術をすれば完治します。
(ただしクローン病は例外です)
一度でダメでもあきらめないで、専門の先生にかかってくださいね。