似たような書式ですが医者はどちらかを選ばなければなりません。

 

しばしば問題になるのは

心肺停止で運び込まれた初診患者に

心臓マッサージなどを施したが

蘇生せず死亡を確認した場合には

どちらを選ぶべきかということです。

 

これに関しては診断書説と検案書説があります。 

 

診断書説の論拠

 1.昭和24年の厚労省の通知に「死亡診断書は、診療中の患者が死亡した場合に交付されるものである。」とあるところ、心肺蘇生術の実施は診療中に含まれると解釈できるから。

 2.昭和24年の厚労省の通知に「死体検案書は、診療中の患者以外の者が死亡した場合に、死後その死体を検案して交付されるものである。」とあるところ、書類記載のための情報は、心肺蘇生中に得られた情報で足り、検案を必要とするものではないから。 

3.厚労省の記入マニュアル6ページに「医師は、自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合には死亡診断書を、それ以外の場合には死体検案書を交付してください。」とあるところ、心肺停止状態の患者は自らの診療の管理下で扱われる患者であり、心肺停止状態は生前に診療していた傷病であって、かつ、その傷病に関連して死亡したと認めることもできるから。

 

 検案書説の論拠 

1.昭和24年の厚労省の通知に「死亡診断書は、診療中の患者が死亡した場合に交付されるものである。」とあるところ、心肺蘇生術の実施は診療に含まれないと解釈することも明文で禁止されてはいないから。

 2.昭和24年の厚労省の通知に「死体検案書は、診療中の患者以外の者が死亡した場合に、死後その死体を検案して交付されるものである。」とあるところ、書類記載のために心肺蘇生中に得られた情報では足りず、検案を必要とする場合があるから。 

3.厚労省の記入マニュアル6ページに「医師は、自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合には死亡診断書を、それ以外の場合には死体検案書を交付してください。」とあることから、「生前に診療していた傷病」とは、死亡との関連を判定するために吟味を要するものに限定されると解釈すべきところ、心肺蘇生術の対象たる傷病は単なる心肺停止状態に留まりそのような吟味を必要としないから。