PCRという言葉が広く知られるようになりました。

 

私が大学院に入った30年くらい前は、ちょうどPCRが分子生物学で使われるようになった時代です。

 

当時の指導教官である淀井教授に「PCRという新しい技術があるから身につけるように」と言われ、河邊助手に手ほどきを受けました。当時の機械は温度を変えた油槽をチューブが順に移動するものでした。それでも、自分の手で1時間以上もチューブを動かし続けることを考えれば、画期的な仕組みだったのです。

 

遺伝子配列をソフトウェアで解析してプライマーを設計し、それが実際にワークするかどうかを電気泳動で確かめるというようなことを毎日のようにやっていました。

 

その後、ノックアウトマウス作成の仕事を手掛けるようになりました。

ノックアウトマウスというのは特定の遺伝子を改変したマウスです。

 

遺伝子が改変されているかどうかを知るために遺伝子型を判定する必要がありますが、そのために PCR genotyping を行うことが日課となりました。

 

東京大学薬学部では大学院生を指導して行っていましたが、東京大学医科学研究所に異動してからは、もっぱら自分の手で行うようになりました。ときに偽陽性が現れるようになることが避けられず、神経をすり減らしたことを思い出します。

 

以下はその頃(2004〜2005年)の実験ノートです。