ソフトウェアとデジタル経済:生産の開始
人類が生産を始める
ソフトウェアとは何か?
この質問に対し、ソフトウェアが私たちの人生や人間社会にどのような影響を与えるかの観点で接近するためには、まず「生産」について理解が必要である。
なぜなら、ITであれソフトウェアであれ、結局は人の生活のために存在するものであり、結果的に人間の衣食住を解決するのに役立たなければ意味がないからである。
アルビン·トフラーの第1,2,3の波
人間の生き方と生産方式を議論するにあたっては、普遍化した話ではあるが、ここで生産方式によって人類の歴史をいくつかの段階に分けて見直す必要がある。
第一段階は、およそ1万年間続いたと推定される狩猟採取の時代といえる。
当時、人類は自ら何かを生産する能力がなく、人々は採集、狩猟、漁労などを通じて自然そのものから衣食住の解決の手段を求めざるを得なかった。
そのため、当時の人々は特定の住居地域に定着して生活することができず、小さなグループに分けられ、その都度食べ物を探して各地を放浪しながら暮らしていた。
つまり、生産のなかった時代の人類は、今すぐ今日のための衣食住の解決に追われ、一切の精神的な活動をする余裕がなく、文化というものも歴史というものもなかった。
農業社会
ところが人類は約2千年前から農業を始めて人間が自ら生産するようになった。
この頃から生産というものが単語の意味に合致するようになり、人々の意識が目覚め、宗教というものも発生し、ひいては文化と歴史というものも定着していくにつれ、先史時代を脱するようになったのである。
アルビン·トフラーの「第三の波」から,最初の波として呼ばれたこれらの変化,すなわち農業革命は,数千年にわたってゆっくりと進行してきた。
業という生産の概念が地球上に徐々に広がるようになると、それとともに村や集落地域と耕作地が生まれ、人々は不確実で一時的な食べ物を求めて迷わず、農事の周期を理解し未来をある程度予測しながら生活できるようになった。
産業社会
こうして最初の波による農業生産体制は数千年間にわたってゆっくりと展開されてきたが、機械化に象徴される二番目の生産体制である産業革命はわずか250年余りしか続かなかった。
また、今日では世の中の変化の速度がさらに加速しており、第三の生産体制といえる情報革命は、たった20~30年で歴史の流れを一変させている。
このような3度の生産体制の変革と社会変動は、生産の主体と仕事の概念、生産に必要なコアコンピタンスを変化させながら、人間の暮らしと人間社会の姿を根本的に変えてしまったのである。
下表は各社会の特性についてまとめたものである。