ソフトウェアとデジタル経済 : 工業技術の発達による効果
工業技術の発達が人間の肉体労働を代替した
人間は農耕文化が始まり、自ら生産できるようになり、衣食住解決の手段を比較的安定的に得られるようになった。
農耕文化時代における人々の役割は肉体的労働であり、人間は生産のために絶えずつらい労働と不断の肉体的苦痛に耐えなければならなかった。
結局、労働の目的は生産であり、生産の目的はより安楽で豊かな生活であるが、人間自らが生産の直接の手段であったため、生産そのものは可能になったとしても、安楽で豊かな生活とはかなりの距離があったのである。
しかし、蒸気機関の発明を皮切りに産業革命と工業化時代が到来し、人間は徐々に肉体的な労働から抜け出し始めるようになる。
もちろん、機械技術も初期には非常に混乱し、局地的な場所に限定されて使用されるしかなかった。
技術がますます具体化、細分化され、自動車や航空機のような繊細で複雑な機械も作り出したため、工業化時代には人々が肉体的に解決しなければならなかった機能をほとんど失うことになった。
そのため、工場のような場所では、生産職労働者の肉体労働の割合が減り続けており、まだ業務の大半を肉体的な労働で賄っている職務には、掃除、運搬、物の整理などの仕事をするサービス業務が残っているだけである。
農業化時代の最も重要な生産手段であった手足の力で行った肉体労働が、工業化時代には機械が次第に代替されるようになったのである。
それでは、肉体的な仕事を機械に奪われてから人々が果たした機能は何か。
過去とは違って、物理的な力よりは5感覚機能と頭脳の一部機能を主に利用したものと見なければならない。
情報処理や意思決定機能となっているのである。
どの時点で原材料を投入するのか、販売した物の部署別、担当者別の現状はどのようになり、不具合発生の推移と原因は何か、指定した期間中の損益はどの程度であり、最も寄与した取引先と品目は何かなど、工業化時代の機械が果たせなかった情報処理機能を人が代わりにしてきたのである。
したがって、人々が工業化時代の実質的な生産力の中心体である機械に1:1または1:Nに対応して、機械を稼動して操作し、原材料を投入し、生産量をチェックし、不良原因を解消するなどの役割、すなわち情報処理活動を行ってきたと考えられる。
このような役割、機械と人の分業体制が過去250年余り続いたため、今日では生産性も大きく向上し、人々は生産の根本的な目的である安楽で豊かな生活にある程度近づくことができるようになったのである。