【雨と風と静寂】 第1章
「25番線からまもなく、のぞみ102号東京行きが発車します」
小雨交じりのどんよりとした空をグリーン車の窓から見ていた祐介は
アナウンスを聞いて時計を見た。
「6時15分か……」、ため息まじりに呟きながら、まだ薄暗い空を見上げ
足元のアタッシュケースを網棚に載せ、
駅で買った缶コーヒーを開け口に流し込む。
祐介は中堅の商社に勤める33歳、パット見は26~7に見えないこともない、
色白に見えるが、若い時にテニスで鍛えた体は
スーツ越しでもセックスアピールを与えるらしく
北新地や銀座に行けばホステスに求められる事も多かった。
昨晩も北新地のクラブで飲んでいた祐介だが、
こうやって時々、東京本社での会議に出席する為
早朝の新幹線のシートに身を埋める。
祐介はなんとなく飛行機が嫌いだった・・・、
特に理由は無いが、海外に行くとき以外は全て列車で行動している。
発車のベルが鳴り、ドアが閉まる音がするとそっと列車が動き出し
車窓をぼんやり眺めていた祐介は缶コーヒーを飲み干して
シートを倒しゆっくりと目を閉じようとした。
その瞬間・・・・・・・・・
(続く・・・・)
プロローグへ戻る 第1章 続きへ
