トヨタ自動車の小型ハイブリッド車(HV)「アクア」の10月の国内生産台数が、主力HVの「プリウス」を上回る見通しになった。昨年12月の生産開始以来初めて。同じHVながらアクアはプリウスより小型で安価、かつ低燃費。エコだけでなくダウンサイジングも求める購入者が増え、HVでも「世代交代」が進むあらわれといえそうだ。

 アクアをつくるのは、7月に東北に生産拠点を持つ3子会社が結集してできたトヨタ自動車東日本。「東日本大震災の復興の一端を担う」とのかけ声の下、小型車の生産拠点としてフル生産を続けている。

 トヨタが部品メーカーに示した生産計画によると、10月のアクアの生産台数は約3万2千台で、プリウスの約2万6千台を大きく上回る。11月もアクアが約3万2千台に対し、プリウスは約2万4千台。アクアはトヨタ車で唯一、月産3万台を超える車種となる。

 三菱自動車は5日、家庭でも充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)を来年初めに発売することを明らかにした。燃費はガソリン1リットルあたり61キロ以上で、トヨタ自動車のプリウスPHVを上回る水準になるという。価格は未定。

 スポーツ用多目的車アウトランダーをベースに、2009年に発売したEV(電気自動車)のアイミーブで培った技術をもとに開発した。大容量のリチウムイオン電池と二つのモーターを搭載し、電気だけでもフル充電で55キロ以上走れる。エンジンを併用すれば、航続距離(フル充電で走れる距離)は880キロ以上になるという。

 電波レーダーで前の車との距離を測り、衝突を避けるために自動的にブレーキをかける安全装置など新技術も搭載する。日本を皮切りに欧州や北米にも投入する。

 PHVは、航続距離が短いEVの欠点を補うため、充電した電気も使いながら、モーターとエンジンを併用して走る次世代の環境対応車。
 ホンダの伊東孝紳社長は2日、軽自動車規格のスポーツカーの開発を進めていることを明らかにした。ホンダは1991~96年に軽自動車の2人乗りスポーツカー「ビート」を発売していた。品ぞろえを広げ、軽の顧客層拡大を図る。

 伊東社長が、開場50周年を迎えた鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)の記念イベントに出席した後、記者団に述べた。伊東氏は「(軽という)限られた規格でどれだけ面白さを出せるかだ」「極端に小さく楽しめるスポーツカーを画策している。日本に根付く車を早くつくりたい」と述べた。今後2年程度で発売されるとみられる。

 ホンダは軽自動車の販売を強化している。現在は鈴鹿製作所(同)を生産拠点と位置付け、「NBOX」などを生産している。新型スポーツカーも、鈴鹿製作所で生産される可能性が高い。伊東氏は「鈴鹿の工場を残せるかどうかは日本の製造業にとって試金石だ」と述べた。