日産自動車・仏ルノー連合の2011年の世界販売が初めて800万台を上回ったことが27日わかった。2年続けて過去最高をぬりかえ、トヨタ自動車グループ(795万台)を抜いて世界3位に浮上した。新興国の需要を着実につかんだことが躍進につながった。

 日産の販売台数は前年比14.4%増の466万9981台、ルノーは同3.6%増の272万2062台。ルノーが25%を出資するロシアの自動車大手、アフトバズの販売台数(63万7179台)を含め、トヨタグループを上回った。アフトバズには日産も出資を計画しており、ルノーと共同で過半数の株式を取得する方針だ。

 日産の販売台数は、中国やメキシコで前年より20%前後も伸ばした。新興国での躍進を支えたのは、コスト削減のために開発した世界共通の車台だ。この車台を使って、タイの工場で10年に小型車「マーチ」の生産を始め、11年には中国、インド、メキシコなどでも現地生産を増やした。

 トヨタ自動車は17日、2013年夏までに約200億円を投じて、タイでの年間生産能力を現在の2割増にあたる76万台にすると発表した。タイは部品生産拠点が集積しているほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内や豪州への輸出に関税がかからない利点がある。昨年は大洪水に見舞われたが、長い目で見れば生産拠点としての優位性は揺るがないと判断した。

 まず5月から、カムリやプリウスなどをつくっているタイ東部の「ゲートウェイ工場」の生産能力を年2万台増やす。さらに近くに年7万台の第2工場を新設し、来夏から稼働する。

 今年末からは、休止していたバンコク郊外の工場を設備を一部改めたうえで稼働させ、商用車ハイエースを年2万台つくる。この工場の運営はグループ会社のトヨタ車体が担う。
 中国自動車工業協会が12日発表した2011年の新車販売台数は、前年より2.5%多い1850万5100台だった。米国を570万台上回り、3年続けて世界一だった。ただ、32%も増えた前年から急ブレーキがかかり、13年ぶりの低い伸びとなった。景気の減速を受けて、中国政府は新たな販売奨励策を検討しており、自動車業界は今年、5~10%の伸びを期待している。